試練からは逃げられない

イチローは運を持ってるのではなく、運をたぐりよせた。
先日、WBCで日本が2大会連続の優勝を果たした。決勝戦で、最後に決めたのは、イチロー。優勝を決めたあとの会見でイチローは「俺は何かを持っている」と発言。
今大会で、イチローが不振で苦しんでいたのは、誰が見ても明らか。誰もがイチローへの期待をなくしていた。イチロー自身もそうであったのかもしれない。試合後の記者との会話も殺伐としたものだった。周囲の期待に結果が伴わないとき、誰もが心に余裕がなくなる。それはイチローほどの実績のある人でもそうであるように見えた。
勝戦で、どの試合でもチャンスを活かせなかったイチローに、10回延長2アウト、1打勝ち越しという最大の試練が訪れる。プライドが砕かれ、ボロボロのイチローにとってはチャンスではなくピンチだったに違いない。あの場面でのイチローの出番は、TVを見ている人をも駄目かと思わせた。
しかし、イチローはこのチャンスを掴み取った。自身のヒットにより、勝ち越しを決め、WBC2連覇を果たした。イチローは試合後の会見で「何か持っている」と言ったが、やはり、これは「たぐりよせた」というのが正しいと思う。あのとき、あの試練がイチローに訪れたのは、偶然ではない。もちろん、失敗したかもしれない。しかし、今回は、イチローは試練を乗り越えられた。
試練は誰にでも訪れる。しかし、それを乗り越えるのは非常に大変。人並みの努力では抜け出せない。何故なら、誰もが人並み以上の努力をしているから。もちろん、乗り越えられないときもある。そのときは、もがくしかない。
試練を乗り越え、砕かれたプライドを取り戻す方法は、人の100倍もがくことだと思う。試練からは逃げられない。しかし、試練は乗り越えられるものだとイチローが教えてくれた。