さんさか ネルドリップ珈琲と本と

大変ご無沙汰しております。

まずはお詫びから。
さんさかは1月末をもちまして閉店いたしました。
こちらにて広くお知らせしませんでしたので、足を運ばれてからがっかりされたり
ご迷惑をおかけした方には、申し訳ございませんでした。
 
一人で営業していたこともあり、店頭にて閉店の経緯や次のことなど、
その都度やりとりを繰り返すわけにはいかず、
連絡先や居所の分かる方と閉店間際にお越しいただいた理解ある方のみに、
お手紙などでお伝えしただけでしたので、懇意にしていただいたにもかかわらず
お伝えできていない方がたくさんいらっしゃるので、ご無礼の段、お詫び申し上げます。
 
さて今後の展開はと申しますと、昨年10月頃から準備を始めたものがようやく形になり
まもなくですが9月下旬に、場所は烏丸三条にて新しいことを始める次第です。
まだホームページなども準備ができていませんので、お知らせできる段階になりましたら、
順次お伝えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

1月27日(土曜)、28日(日曜)の営業について

いつもありがとうございます。
今週末の土日は訳あってお約束をいくつかいただいております。
もちろんご予約のお客様が優先となりますので、時間帯によっては
混み合い、お断りせざるをえませんのご了承下さい。
この寒さが週末も続くようですのでご自愛くださいませ。

インド深煎りは定番にしました。

2017-01-25 - さんさか ネルドリップ珈琲と本と
自分が美味しいと思っているので、たびたびおすすめしているうちに
「インドある?」とよく言ってもらえるようになったので、インドは定番にしました。
ということで珈琲4種類は、
タンザニア深煎り、グアテマラ中深煎り、インド深煎りの定番3つと
いまはブラジル深煎りの4つをご用意しております。

センスないなぁ...

センスの良し悪し - さんさか ネルドリップ珈琲と本と
昨年5月にはまだこんなこと↑書いていたのに、自分がセンス無くなったぁと感じた一部始終。
店の中から窓越しに行き来する人の服装で最近気になっていたのが
10月の初旬からウールコートを着ている人がなんでこんなにも多いのだろうと。
木枯らし一号が吹いたなんて聞かないし、流行り?なんでしょうか。
洋服屋の頃の記憶を辿っても、こんなに早くから競うようにウールコートを
羽織る10月はなかったはずと、見かけるたびに違和感を感じていた。
マフラーやストールを巻いてる人もいて、むち打ち症で首を固定するかのごとく
ガチガチの真冬仕様の巻き方しかできない若者を見かけて一人でツッコミをいれている。
自分はどうなのかというと、店と自宅の往復以外にほとんどどこにも出かけてなくて
御所南周辺をウロウロしているだけで、なんとも適当な格好でいるので
着こなしなんて言えた立場にないなぁと自分にがっかりしている。
▼自動車運転免許の更新に、新しく運用が始まった京都駅前の更新センターに行ってきた。
全身が写るわけではないが、向こう5年は免許証の写真として残るのでそれなりにきちんとした
服装をと試みたものの、ウールのパンツに革靴を履いても、自分の持ち物とは思えないくらい
しっくりせず、馬子にも衣裳状態。
違和感を抱えたまま更新を済ませて、新しい免許証の写真を見てみるとこの5年で老けたなぁと。
体重こそ変わらないが、体型や姿勢が加齢には抗えず、今までどおりの服装も似合わなくなることを
目の当たりにし思いのほかショックを受けた一日でした。
▼スーツの着こなしについてアドバイスを求められることが今でもある。
スーツでなくてもかまわない仕事に就く知人が、5年ほど前からスーツを着始めた。
初めのうちは、どうしても不慣れな感じは否めなかったけど、ずっとスリーピースを着続けている。
月に一・二度は会っているのに、こっちが気がつかないくらいうまく着こなせるようになっていた彼を見て
高い意識をもって続けることの大切さと、若さへの嫉妬のようなものまで感じた。
自分もそういう頃があっただろうし、いっぱい頭に詰め込んで頭でっかちだったろうし
いつのまにか無意識でもできるようになり、その無意識を言語化するくらいは
できたはずの自分をとり戻そうと固く思う。
頭と体を使って実践しないとセンスはこうも枯渇したり錆びつくものかと思い知りました。

「コツ」のはなし

この春ようやくスマホに替えて、多くの人がそうであるように本なんて読まなくなるか、
忘れてきた花束。 (ほぼ日ブックス)
少なからず本との距離感は遠くなるのでは心配していていたら、以前より自然と積極的に
本を読むようになった。
そもそもスマホを使いこなすような能力も興味もないのだから仕方がないけれど
Y!ニュースを少し見ていると、新聞記事とは違い、コピペを繰り返し即席で書かれたような原稿というか
テキストを読んでいると、コンビニの弁当を食べているかのように味気なく思えてくる。
温かい手料理が食べたくなるみたいに、ちゃんとした「文章」が読みたくなるのか
少しの時間でも積極的に本を開くようになった。
 
今年に入ってから、中村文則花村萬月さんの小説を、ニンニクたっぷりのこってり味みたいな
本を続けて読んでいて、心の闇ばかりみたいな感じなので読んでいるこちらも疲れてしまうのか
先日の「マチネの終わりに」で落ち着いたところで、糸井重里の「小さいことば」シリーズを
何冊か読んでいる。
 
言葉にするのが難しかったりあるいは恥ずかしかったり、そもそも文章にするほどのことでもないような機微を、身近で立体的なものに変換させるのは、やっぱりうまいなぁと思う。
糸井さんのことばのなかから「小さいことば」を選んで、1年に1冊ずつ出版されているのだけれど
タイトルも装画も毎年違うし、凝った仕様の製本だったり、文章によってフォントを使い分けていたり
こうして本として価値あるものに作り上げるのはおてのものという感じ。
短い文章ばかりなんだけど、自分のことを俯瞰して捉えることができるように思う。
日々の些細な選択などの意思決定や、軸となる価値観であったりするものの理由が
分かるような気がする。
分かりやすくいうなら、自分の一長一短をピタッと言い当てられるような文章がいくつも出てくる。
 
気に入ったもののひとつに「コツ」のはなしがあって、要約します。
〜〜〜まだ始めてもいないのに、「コツ」を知ろうと思っても意味がない。
   「コツ」なんてことばを忘れるくらい取り組んでいたら、
   「コツはなんですか?」と他人が訊いてくるようになったら、それが「コツ」。〜〜〜
 
珈琲を美味しく淹れる「コツ」のはなし。
珈琲の味を変える抽出の要素は、①湯温、②抽出時間、③粉の大きさ ということは
広く知られているし、自分も珈琲教室やらいろんなところで話したり書いたりしているので
実際にそのとおりですと断言してもいい。
ただし、ほかの条件が一定というか固定できるならという前提での話なわけです。
④蒸らし時間
⑤抽出量
⑥豆の量
⑦ミルの性能
⑧抽出方法の違い
⑨道具選びと相性
⑩焙煎度合い
⑪鮮度
⑫テクニック云々・・・とまあ、ざっと思いつくだけでもこのくらいは出てくる。
これ抽出だけの話なので、そもそも珈琲豆を焙煎するということ自体、多くの要素が絡み合うわけで
こうやって考えてみると、美味しい珈琲が飲めるということはなかなかの奇跡的なことで
こういうのを「小確幸」というのだろうと思う。
 
要するに近道はないのだけれど、あえて「コツ」を伝えるとするなら、
「蒸らしをたっぷりかつゆっくりと、それに愚直なまでに丁寧に淹れること。」となる。
でもやっぱり、相手の持っている技術とか経験によって伝えるべき「コツ」は違うんだろうなぁ。
あとできるかぎり、その日最初に飲む珈琲を自分で淹れること。
午前中のほうが味覚が鋭くて、朝イチに飲む珈琲の美味さにはかないません。

9月10日(日曜日)はお休みにさせていただきます。

9月10日(日曜日)は近くの御所八幡宮のお祭りで神輿が出ます。
店の前の間之町通りを神輿が巡行し、小規模な祭りではありますが
騒がしくなり穏やかな営業には不向きですので、勝手ながら休業とさせていただきます。

ゆくりなく

一日経ってみると夢でも見てたのだろうか、という気になってきたのでどこかに書き留めておこうかと。
お帰りのお客様とのお会計の最中、窓の向こうの外で店の本棚を見て、少し立ち止まりながら
通り過ぎるおじさんに目が止まった。
「あの人」だとすぐに気がついたものの、100%の確証はなく、お客様を見送っている間
にもどんどん行ってしまう。
その一瞬で、5、6年前にも常連の方から「今、どこそこをご夫妻で歩いてはりますよ。」
という目撃情報をお電話でもらったものの、出ていくわけには行かなかったことを思い出した。
そうなると後先考えず体が勝手に動き出し、あわてて鍵をかけて店を飛び出し追いかけていた。
ちょうど周囲に人がいなかったので「○○さんですよね?」とただのオッサンやったらどうしよう
とか考えながら思い切って声をかけたみた。
ご本人だった。
顔認証の能力にはちょっと自信があるけれど、精度の高さに感謝。
もちろん怪訝な顔をされはしましたが握手してもらった。
慌てて走って追いかけたので息はあがっているし、舞い上がって声もうわずるし
見事に何を言っているのか伝わらなかっただろうが仕方ない。
店に戻り、走ったことによるものだけではない、心臓のバクバクと手の震えがあって心地良かった。
いろんなことがあるけど、店をやってて良かったのだ。