殺風景の記録 このページをアンテナに追加 Twitter

2011-03-02

Destroy All Monsters!!  『悪魔を見た』

チェ・ミンシクって、元ジョーダンズ三又又三に似てるね。それに石橋凌を混ぜた感じ。(以降、ネタバレあります)

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婚約者を残忍な連続殺人犯ギョンチョル(チェ・ミンシク)に惨殺された国家情報院捜査官スヒョン(イ・ビョンホン)が、復讐鬼となって極秘捜査でギョンチョルを追いつめて行き、婚約者が受けた以上の苦しみをギョンチョルに強要させてようとしていく…。



『グッド・バッド・ウィアード』の印象も記憶に新しいキム・ジウン監督の最新作。レディースデイだった所為もあってか、イ・ビョンホン目当てと思わしき年配の奥様方も多く見受けられました。御夫婦で来られてた御婦人は鑑賞後に「もう、残酷だわ…」と旦那さんに愚痴を漏らしていた。そうですよねー。残酷ですよねー。いや、そこがいいんじゃないっすか!!いやもう今作は、鬼才キム・ギドク監督の狂気の世界、パク・チャヌク監督の復讐三部作、一連のポン・ジュノ監督作品、近年でもデビュー作で強烈なインパクトを残したナ・ホンジン監督の『チェイサー』等、数え切れない程に生み出された数多の韓国製血塗れ残虐映画。その総まとめ、集大成とも言える『殺人鬼総進撃』『オールサイコパス大進撃』といった趣の、イカれた奴らが大集合!の豪華なお祭り映画でした。

メインはチェ・ミンシク演じる連続強姦殺人犯ギョンチョルと、彼に婚約者を惨殺されたビョン様演じる国家捜査官スヒョンの対決なんですが、その合間にも、ギョンチョルが逃走中に乗ったタクシーの運転手と相乗り客は実は強盗犯で、ギョンチョルと車内で対決するとか、その後ギョンチョルが過去の殺人鬼仲間達のアジト(多分、金持ちの別荘か何かを乗っ取った模様)に逃げ込み、そこで追跡してきたスヒョンと1対3の戦いを見せるとか、かなり豪華な殺人鬼バトルが堪能できます。そこに出てくる殺人鬼仲間も個性的で、大柄な男は肉屋さんみたいな格好しながら生肉(劇中に言及はないが、おそらく人肉)を喰らってて、それが屋敷の不穏さと相まってレザーフェイスか『ホステル』かって言う感じの気持ちの悪さ。そいつと行動を共にする愛人女性も美しく妖艶なんだが、何処か何を考えてるか判らない禍々しさ。この気違い屋敷のシークエンスが、この映画の「サイコ祭り」感を増幅させてます。

いきなり脇役の話から始めてしまいましたが、勿論、メイン怪獣もといメイン悪魔のギョンチョルも存在感ばっちりで、『オールドボーイ』では怒りの復讐鬼でしたが、今作で彼を殺人の衝動に突き動かすのは、怒りでも悲しみでも無い。ただの快楽殺人犯。まさに最高の悪魔っぷりでした。しかし、おそらく彼がそのようになったのも何らかの理由はあったとは思います。途中でスヒョンがギョンチョルの行方の手掛かりを求めて、彼の実家を訪ねるのですが、そこには、ごく普通の老いた両親と中学生くらいの孫、つまりギョンチョルの子供がいます。鬼畜のギョンチョルも妻子がいた時期があったのでしょう。そこで母親がスヒョンに見せた昔の彼の写真は笑顔でポーズを決めているごく普通の男性。そして現在の彼の顔写真を見た母親は「こんな怖い顔になって…」と悲嘆の声を漏らします。悪魔が人間であった頃の手掛かりを辿れる唯一のシーンなのですが、彼が殺人鬼に変貌するに至る心理的な変化が判るような、具体的な理由は明示されません。だからこそ底知れぬ恐ろしさがあります。おそらくギョンチョルも(その萌芽はあったとして)生まれついての殺人鬼では無かったのでしょう。きっと長い人生の中で徐々に悪魔に変貌を遂げたではないかと思います。かすり傷がジグジグと蝕むように。小さな炎がジワジワと燃やすように。

対するスヒョンも、かなりの残忍っぷりで、仇敵のギョンチョルを捕らえては拷問して逃がし、拷問して逃がしと、復讐鵜飼い人みたいな執拗な行為は、常人の沙汰ではありません。公式サイトでも引用されている、哲学者ニーチェの「善悪の彼岸」に「怪物と闘う者は自らが怪物と化さぬように心せよ。お前が深淵を覗き込む時、深淵もまたお前を覗き込んでいるのだ」という一節があるのですが、まあ簡単に言うとミイラ取りがミイラになる」って事ですね。狩りの如く報復を繰り返す彼も、復讐の業火で一気に悪魔と化してしまったのでしょう。ちなみにウィキレベルの情報なんですが、「深淵」という言葉には、水の深く淀んだ場所という意味以外にも、悪魔学においては「進化の終着点」を意味し、即ち人間の行き着く最後の未来を意味しているそうです。

ただ、設定の甘い部分も多々あって、「いや、さすがに警察無能すぎない?」とか「根本的にビョン様つよすぎじゃね?」とか御都合主義だなとは思うのだが、「まあ、お祭り映画だしねー」と割り切って観てました。先程言った復讐鵜飼い人みたいな回りくどい行為をするのも「お祭り映画なんだから直接対決は最低3回はしないと!」という製作者サイドのサービス精神の表れなんでしょう(そうか?)

今作は最初に言ったように、韓国残酷映画の総まとめだと思ったのですが、これはキム・ジウン監督だからこそ出来たのではないかと思います。

監督のフィルモグラフィーを見ると、デビュー作『クワイエット・ファミリー』はドタバタブラックコメディ、プロレスを題材とした『反則王』は正調コメディ、『箪笥』は心霊ホラー、近作の『グッド・バッド・ウィアード』は韓国風王道ウエスタン、俺は未見ですが『甘い人生』ってのはビョン様主演のサスペンス・ラブストーリーと多ジャンルに富んでおり、個人的な印象としては「手堅い作品を撮れる監督」というイメージです。きっと監督は錚々たる過去作の残酷描写を踏まえつつ、自身の確実な演出で今作を撮りあげたのではないでしょうか。だからこそ成人指定を受けるような凄惨で猥雑な描写をしながらも、キッチリした娯楽映画として纏め上げる事が出来たのではないかと思います。

ただそれは、先程例に出した先人達と比べるとクセが無い、悪く言えば個性的では無いとも受け取れます。場面に依っては面白いながらも既視感があったりもしました。そういう意味でも「集大成のお祭り映画」という感想です。

しかし、云わば職人的とも思われる監督ですら、こんな残酷映画を撮ってしまうという韓国映画の土壌は正直羨ましく思います。先日『冷たい熱帯魚』を鑑賞した際に「ようやく韓国映画に対抗できるものが出来た!」と感嘆の声を上げたのですが、韓国では『悪魔を見た』は公開から僅か10日足らずで100万人近くの動員数を叩き出したそうです。正直、大違いです。園監督が「異端」と言われてるようじゃダメなんでしょう。シネコンにも掛けれるような「王道」の血塗れ映画が日本で製作される未来は訪れるのでしょうか。







あとは超どうでもいい部分を箇条書き。


・被害者女性の父親役にチョン・グックァン(『義兄弟』の“影さん”でお馴染み!)が出演していて、ずっと「いつ悪魔に変身して、ミンシクとビョン様をぶち殺すのか?」とドキドキしながら観ていた。

・殺人鬼仲間の気違い悪女キム・インソ。俺は彼女を最初『渇き』のキム・オクビンだと勘違いして「おー、豪華!」とか思ってたが、後で写真をみてみたら全然違う人だった。俺の識別能力なんてその程度ですよ。

・上映始めにチェ・ミンシクは、登場してすぐに判別できたのだが、イ・ビョンホンの顔を理解していなく、「うーん、これがビョン様なのかな?あっ、河原まで来て泣いてるし、こいつに間違いない!」と察した。俺の識別能力なんて・・・。

・俺は血塗れ・残酷・暴力描写は結構慣れてるのだが、その逆にウンコやゲロの描写は滅法苦手。だから例の下剤を飲んで云々のシーンは思わず視線を逸らした。

・ギョンチョルの前にスヒョンが当たった別の容疑者が見ていたエロ動画は日本製だった。血塗れ暴力映画では韓国に負けてるけど、エロでは負けてない!!

yosinoteyosinote 2011/03/06 01:34 俳優識別能力の極度に低い自分も、別荘の場面で、あ、『渇き』の人やん、と思いました。髪型と体型が似ていたですね。
あと、ビョンホン、チャレンジングな作品選びするなーと思いました。ただ、作品内での強さ無双すぎやろ、とは思いましたけどね。武器もたずに両手ぶらり戦法はないでしょう。しかし、復讐鵜飼い人…たしかに(笑。
エロ動画みてた男のきしょさクオリティがやたら高くで、ほんときしょかったですね。自分がビョンホンなら、あの動画見た直後の男の顔とか手とか絶対触りたくないww

sappukei12sappukei12 2011/03/06 03:31 やっぱ似てましたよねー。他の方のつぶやき等を見ても結構、勘違いした人がいるようで少し安心しております。
ビョンホン強さ無双だし、ミンシクも異常に打たれ強すぎでしたね。もう途中からビョンホンVSミンシクの怪獣映画と思いながら観てました(笑)。謂わば別荘の男女二人組はお祭り感を出す為のゲスト怪獣扱いです。
あのエロ動画男は、生理的に嫌でしたね。なんかジトッとした、ヌメッとした感じが…。ちなみに近くの席で終始、険しい顔で鑑賞していたビョン様目当てらしきマダム風の客が、あの行為の最中に電源が落とされるシーンを見て、唯一爆笑をしていました。

yosinoteyosinote 2011/03/07 00:55 復讐競争はじまり!どっちがより強烈な技繰り出せるかな?って感じになってましたね。
たしかに言われてみれば、ミンシクの回復力もすごかった。特にアキレス腱攻撃(アレが一番痛そうだった)を受けても結構平気に歩いてるし、別荘で性欲満たすし(あんだけ散々な目にあっといてもまだ性欲も食欲も衰えてないんかい)…やっぱ怪獣だ(笑)
自分が観たときにおばさま方が一番受けてたのは、冒頭でビョン様が別部屋にはいってフィアンセに歌を歌うとこでしたよ。あのあたりでは、まさかこの後、暴力とか暴力とか暴力ばっかりになるとは思ってなかったことでしょう、南無…

sappukei12sappukei12 2011/03/07 03:10 あのアキレス腱攻撃はヤバいですよね。あんなのされたら普通歩けないですって!あと殺人鬼仲間テジュの口を裂く攻撃とか、“影さん”の顔面潰しのシーンとか、“痛そう描写”はなかなかでしたね。
冒頭のビョン様のシーンには、近くの席のマダム風のおばさま方もキャッキャ言ってはりましたよ。その後の暴力三昧には終始、険しい顔でしたけど(笑)あと、ビョン様に協力する後輩が出てくるシーンにも、若干、色めき立ってらっしゃいました。もしかしたら若手韓流アイドルなのかも知れませんね。てか、何故僕は、オバサマ方の一喜一憂をチェックしてたんだろw

yosinoteyosinote 2011/03/08 01:05 あー、あの口裂きも強烈だった!あんな攻撃よく考え付くなー、技のバリエーションの面ではビョン様の圧倒的勝利ですねwwミンシクは、送ったげるよ、と乗せた女性もボコンと殴るし、タクシーのくだりでもとにかく、叩く、殴る攻撃でしたからね。
途中退席する人もいるかも、と思ってましたが、それはなかったです、ビョン様の姿が大画面で見られるなら内容云々じゃないのかな。それにやってることはえげつないけど、ビョン様は終始キリッ、服はパリッとしてたし。…て、やっぱり韓流ファンの反応が気になっててエンドロール後明るくなった劇場内の様子を見てみたりしてた自分は一体なんなんだ。みんな!ミンシクを嫌いにならないで!という気持ちゆえ、ビョン様ファンの方々の反応が気になってたのかもww

sappukei12sappukei12 2011/03/08 03:21 「技のビョン様」と「力のミンシク」が一大バトル!!なんか『フレディvsジェイソン』みたいですなww
僕の観賞回では、一名だけ途中退席された御婦人がいらっしゃいましたよ。でも内容は残酷でしたけど、基本「ビョン様がミンシク達の魔の手から女性を救い出す!」ってシチュエーションが多かったので韓流ファンの皆様も意外と満足だったのではないでしょうか。僕も終映後の劇場内の様子はチェックしましたが、結構、好印象だった気がします。面食らったような感じの方もいましたが。ただ、さすがにミンシク評価はプラスになってない気がww