明日へのメモランダム

2017-11-22 ガッティ指揮、コンセルトヘボウ マーラー第4番 17年11月 日本公演

  半年ぐらい前に、カーラジオをつけているとNHK FM ベストオブクラシックで、マーラー2番『復活』が流れていたのだが、これがすごい貫禄のあるテンポ感で、かつ、音楽の構築がギリギリ崩れず、壮大な伽藍を提示してくるようなこれまでにない演奏で、瞠目しながらきいていた。それが、ダニエレ・ガッティ指揮、コンセルトヘボウ管の演奏であった。「ガッティ」で検索したところ、幸運にも11月に来日するとのことで、昨日、サントリーホールで、念願のガッティ指揮、コンセルトヘボウ管のマーラー交響曲第4番を堪能してきた。会場で販売していた2番『復活』のCDも購入し、演奏後にガッティのサインもゲットすることができた。

 彼は、昨年の9月に、コンセルトヘボウ管弦楽団首席指揮者に就任したばかりとのことで、コンセルトヘボウだからといって尻込みなどなく、これからやってやるぞ、という意気込みがみなぎった指揮者だ。小澤征爾もそうだし、握手もした樫本大進もそうだが、大器のある演奏家なり芸術家は、独特の率直さとオープンネス、健康さがあるものだと感じる。その中にきわめて繊細な感性と、力強い構築力を兼ね備えているものだと思う。ガッティのサイン会では、「Your tempo is fantastic, I think.」と賛辞を贈らせてもらった。最初警戒した表情でおられたが、破顔笑顔で「Thank You!」と返答してくださった。半年前のラジオでの感動を、直に、世界的指揮者に伝えることができるというのも、すごいものだ。日本人らしく、みんな粛々とサインもらってたが、もったいないね。サイン会やるぐらいだから、演奏家も一瞬、ひとことぐらいだったら、聴衆の感想をききたいんじゃなかろうか。


 ハイドンチェロ協奏曲は、とにかくチェロもうまいし、オーケストラもしびれるほど一体化したサウンドで申し分はなかったが、なかなか身が入らなかった。しかし次のマーラーは、最初から最後まで、ガッティの振るコンセルトヘボウ管の音楽に、息をのむように聴き入ることができた。ラジオできいたガッティの解釈によるマーラーが、そのままに、目前に生で展開されているわけだ。枯山水のような静寂なピアニッシモが極めてゆっくりと続いたかと思うと、いきなり振り切れるような壮大な伽藍があらわれる。それも、管弦ともに一糸乱れぬ凝集力がある。特に、第一楽章の最終部は、驚くほどの表現力だった。

 テンポが遅い方に振り切れるだけでなく、早い方にも振り切るときがあり、また、ピアニッシモフォルテッシモの差も効果的に表現されている。それは、彼の確信に満ちた音楽的な解釈によるのだろうと思う。ピアノポゴレリチを彷彿とさせる所がある。こういう演奏は、N響ではなかなかできないだろうし、小澤征爾を拒否したように、もしかしたら、受け入れられないかもしれない。しかし、マーラーも指揮をした、創造の源を受け入れるコンセルトヘボウであるからこそ、こういう音楽表現の自由さを許容する度量と技量があるのだろう。私としては、大いに評価したいし、応援したい指揮者である。



【参考】

マーラー1860-1911) 交響曲第2番『復活』 ダニエーレ・ガッティコンセルトヘボウ管弦楽団HMV

http://www.hmv.co.jp/product/detail/8233405

大枚果たいて、生演奏きかなくても、これでコンテンツ的には堪能はできるが、ライブの経験は、代えがたい。



ガッティ指揮「マーラー第4番」ロイヤル・コンセルトヘボウライブ

https://www.youtube.com/watch?v=7toiS71nBK8

21日に、サントリーホールで聴いたのと同じメンツのものが、Youtubeですでにあがっていた。私が生で聴いたものと同じ解釈による演奏内容である。