明日へのメモランダム

2018-08-08 医師数を1.8倍にすることで、医学部入試差別も消失するだろう

 本来、雇用機会の平等の主張は、就労責務の平等の前提の上で、現実的に、説得力を持って成り立つと思う。もし、入口にあたる雇用機会不均等が横行しているならば、まず、不平等となっているカテゴリー間での責務遂行の実態把握の上で、その平等化を担保するような施策が行われることで、そのカテゴリー間での雇用機会の平等の主張が、業界全体としても、文句なくなされるようになる。これは、カテゴリーが、男とか女とか、現役生とか浪人生とか、寄付金金額だとか、あるいは、業界も、医者とか記者とか、そういうことを越えたところの、一般的な主張である。だから、まず、入口の差別を行っていた東京医大側に、まず、その理由についてデータをだして、不平等としていたことについて反論する機会が与えられてしかるべきだと思う。つまり、その不平等を業界内で正当化するような、医師となって以降の就労責務の不平等が、男性、女性間であるのか、現役生、多浪生の間であるのかどうか。そこからしか、どうしたらいいのか、どういう施策を打っていけば、就労責務の不平等について解消されるようになり、その結果、入口での差別が必要なくなるのか、そういうことは議論できないと思う。

 以下、医師の男女比率、人口対医師数や、看護師数の国際比較から考察。


世界各国比較|医師看護師歯科医師薬剤師数ランキング

https://labcoat.jp/medical-workforce-data-ranking/

 医師の仕事の大変さを見るという意味で、日本は、人口対医師看護師数は、スロベニアカナダと近いが、医師の男女比でみると、スロベニア女医55%、カナダ45%ぐらいで多くなっている。医師のみでみると、人口対医師数、男女比ともに近い韓国アメリカと近い。ただし、アメリカは基本的に民間保険の国で、日本とは異なり、支払い能力のないものは高水準の医療からは排除されており、医師の仕事の負担という点で、比較にはならないと思う。日本は、生活保護の者でも、最高水準の医療を受けることができるし、医療者側も義務を負っている。今の人口対医師数で、アメリカ医師に日本の医師と同じ義務を課せば、医学部入試も含めて、アメリカ医療業界は果たしてどうなるであろうか。


日本の医療の「質」は世界最高レベル? 最新の国際調査でランセットにて発表

2017年6月29日

https://www.huffingtonpost.jp/mamoru-ichikawa/japanese-medical-no1_b_17327920.html

 人口対医師数が同数でも、人口に対して達成している医療の質が高いか低いかで、医師の仕事の負荷量が変わってくるため、こういう視点の研究が最も参考になるだろう。上位国としては、日本の外に、スウェーデン ノルウェイ オーストラリア フィンランド スペイン イタリア ルクセンブルク アイルランド が並ぶが、各国の医師の男女比はさまざまであり、あまり関係ないようである。つまり、この論文のみている「もし適切に治療されていたら防げたはずの死を、どのくらい防げたか」という観点からの医療の質という点で、医師の能力のは男女差は、あまりないものと推測される。


 そこで、医療の質、上位国で、人口規模がある国の人口1000人対医師数をグラフから目算すると、

ノルウェイ 4.2  

スウェーデン 4 

イタリア 4 

スペイン 3.8

オーストラリア 3.5

フィンランド 3 

日本 2.3


日本を1とすると

ノルウェイ 1.8 

スウェーデン 1.7

イタリア 1.7

スペイン 1.7

オーストラリア 1.5

フィンランド  1.3


 したがって、結論としては、同じ質の医療を国民に提供するために、日本人の医師は、ノルウェイスウェーデン医師の1.7〜1.8人分の仕事を、1人でこなす責務を負わされている。産休、育休などとるような医師は、女性であっても、おそらく育休をとるようであれば男性であったとしても、白い目でみられ、一人前とみなされず、業界の論理として、雇用機会の入口で差別されることになる、ということになろう。つまり、日本における人口対医師数と、おそらく、国民から要求される医療の質といった業界の構造的な問題が、背景に横たわっている。東京医大入試男女差別の問題は、医療医師に、国民がなにをもとめるのか、スーパーマンみたいなものを求めるのかどうか、も問われている。



東京医科大を叩いてる人達はポリコレと人命のどちらが大切か冷静に考えて欲しい。現場でないと見えない現実 - Togetter https://togetter.com/li/1252985

口は悪いが、問題点はよくでている。冷静にいえば、医師の男女比がイーブンになっても、医師数を約1.8倍にすれば、ノルウェイスウェーデンのように医療の質はさがらないだろう。ランセット医療の質国際比較論文と、各国の医師数データから、今回の問題に対する正当な要求とは、医学部入試点数で女性差別なくせというなら、同時に医学部の定員を1.5〜1.8倍にする必要があろう、ということだ。