『戦国時代の終焉 「北条の夢」と秀吉の天下統一』

斎藤慎一 著
中公新書
ISBN4-12-101809-5
本能寺の変から小田原の陣直前までの北関東の政治史を語った本。
北条軍と反北条の佐竹・宇都宮等が対陣した沼尻の合戦を中心に、その前後の北関東の情勢を、豊臣秀吉徳川家康の動きと絡めて描いた歴史読み物。タイトルのようなことは、一応、自力によって領土を守り支配を広げていく中世的考え方から、公権力の権威に頼る近世的発想への移行、ということが、彩り程度には語られているが、基本的には、歴史の細かい動きを追っている本だと考えて間違いない。
歴史の細かい部分をがたがたとやっている本だし、北条vs反北条という北関東の動きを、北条と同盟した家康vs秀吉という中央での動きと連動させながら興味深く描いているので、戦国好き歴史好きな人ならば、読んで損はない本だと思う。私としてはかなり面白かった。
問題点としては、全体的に読み物っぽい感じで、余り論証は多くないような気がする。
後、これは問題点ではないが、地方の細かいことを追っているので、ある程度この時代の歴史を知らないと楽しめないだろう。豊臣秀次のその後はどうなったのかとか。
そうしたもので良ければ、結構楽しめる本。戦国時代の好きな人なら、お薦めできると私は思う。
以下、メモ。
・辻加賀守という人物は、(おそらく仕官の際)佐竹家に出した申告書に、北条に仕えていた当時、沼尻の戦いで佐竹方の首を取ったことを堂々と書き記している。
・北条のような大大名が上洛するとなれば、進物等に多大な経費が必要だった。