『行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由』

杉山尚子 著
集英社新書
ISBN4-08-720307-7
スキナーが創始した行動分析学に関する入門書。
要するに、スキナー流の心理学の入門書、と考えておけば良い。
行動随伴性(行動とその行動がもたらした効果によって環境等が変化することとの関係性)というただ一つのキーワードで、全体が説明されているので、すっきりとして分かりやすい本ではある。入門書としては結構よくできている本ではないだろうか。
問題点としては、その分、あんまり広がりはないし、行動随伴性にかかわらないものはそれなりに捨てられているのだろうし、やや手前味噌な感じはしないでもない。
しかし、あれもこれもという訳にはいかないのだから、入門書としては結構よくできているとするべきだろう。
入門書として、お薦めできると私は思う。
以下、メモ。
・スキナーは第二次世界大戦中、ミサイルにハトを乗せ、スクリーン上の標的をくちばしでつつかせることでミサイルを誘導するプロジェクトを行っていた。
・行動によって好ましく状況が変化する時、その行動は強化され繰り返されることになるが、好ましい状況が他人から与えられる場合などでは、毎回、その行動によって好ましい状況が与えられる訳ではない。(他人が)好ましい状況を与えなくなれば、その行動は、やがては繰り返されなくなり、消去されるが、毎回好ましい状況が与えられていた場合と比べ、元々何回かに一回しか好ましい状況が与えられていなかった行動は、なかなか消去されない。
(デートの誘いに毎回応じていた相手が嫌になって断った場合と、デートの誘いに時たま応じていた相手が嫌になって断った場合とでは、後者の方があきらめが悪い)