小林一茶風日記

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2006-05-31

『日本中世に何が起きたか 都市と宗教と「資本主義」』

網野善彦

洋泉社新書MC

ISBN4-86248-030-6

著者による雑論集。

全体的なテーマのようなものがないという訳では必ずしもないが(テーマについては、大体最後にメモしてあるようなこと)、諸所に発表した論や講演録等を一冊にした本で、余りまとまりはないので、選択に当たっては、雑論集と考えるような本だと思う。

つまり結局は、ファンの人が読むような本。

私は網野善彦の良い読者ではなかったし、日本中世史は私にとって鬼門でもあるので、余りよく分からないが、ファンの人にはそれなりに面白い本なのだろう。

私の感想を一言でいえば、貫徹されていないフランクフルト学派、みたいな感じだろうか。いっていることはフランクフルト学派みたいなのだが、徹頭徹尾そういう主張をしているのではなくて、なんか途中で終わってしまっている感じ。無い物ねだりかもしれないし、雑論集なので元々そういう本でもないのだろうが、一冊の本として評価するには論証も論述も足りないようには思った。

しかしあくまで雑論集で良いのなら、全体的には、可もなく不可もなく。ファンならば読んでみても、という本だろう。

以下メモ。

古代人にとっては、人とその所有物とは強く結び付いていたから、物を交換することは自分の一部を相手の一部と交換することであり、従って、人々が安心して交易するためには、市が神が介在できるような特別の場所に立てられる等の、自分の一部を相手の一部と交換することにはならないための仕掛けが必要であった。

・鎌倉時代に中国に派遣された貿易船が必ず勧進という名目を持っていたように、西国を中心に、中世前半には、商工業や金融にかかわる職業の人は、芸能や技術にかかわる人と同様に、神人、供御人、寄人などとして、天皇や神仏の権威の元でそれに直属するものとして組織化された。

・中国から流入した宋銭が十三世紀頃には社会に広まって、貨幣経済が浸透し、商工業が更に発展すると、神人、供御人のようなシステムは崩れ始め、天皇や神仏の権威が揺らぐようになった。

2006-05-29

宗教批判をめぐる 宗教とは何か[改訂増補版]上』

田川建三

洋泉社新書MC

ISBN4-86248-029-2

著者による評論集。

一応、宗教批判という眼目としては、「現実」以外のところに精神的なものを設定してそこに逃げ込むこと、に対する批判が、テーマというか、ライトモチーフのように何度か出てくる本ではあるが、現実の選択に当たっては、そのようなことが書かれた本、として選ぶよりは、著者の評論集、と考えて選ぶような本だろう。

つまり著者のファンが買うような本。

基本的には著者の独善的罵倒芸を楽しむ本で、佐高信とか日垣隆とかの辺りを想定してもらうと、そういうものだと思う。

それで良ければ、読んでみても、というところ。

人気や知名度では両氏に遅れを取っているだろうが、それは多分に、新約聖書学という著者の専攻の故だと思うので、もう少し人気が出ても良い人だと私は思うし、興味があるのならば、手を出してみても良いのではないだろうか。

ただし、下巻の方はマタイ福音書に関して書かれているということなので、初めての人には、著者の専門であるそちらの方が、(合わなかった時の保険として)良さそうな気もするが、私はマタイ福音書に対する興味は余りないので、下巻は読まないかもしれない、というのが、読まずに薦める訳にもいかないので難しいところ。

興味があれば、手を出してみても良い本だとしておきたい。

ちなみに、確か呉智英が、吉本隆明についてマルクス主義に片足だけを突っ込んでいる(マルクス主義の地盤の上に完全に立脚している訳ではないから、両足でマルクス主義の上に立っている者との論争に強い)というようなことを書いていたと思うが、この著者についても、どうも私には、片足だけを突っ込んだキリスト教徒のような感じがする。

(そのことが、宗教批判という点において、若干微妙な問題を生じさせる可能性はあるのかもしれないが、私はキリスト教徒ではないし、よく分からない)

もう一つちなみに、著者は、「しかも、エルサレムの市場管理者は、最高価格を押えることはせずに、購買量を制限しているのである」という文の意味がどうも通じないので、日本語で著されたこの本のこの部分が誤訳ではないかと疑ったと書いているが、この文章はそんなにおかしいだろうか?

可能性として、専門家である著者は大元の議論を知っていて、購買量ではなく桝目が、ごまかしのないように制限されていた、ということを、予め知っていたのではないだろうか。

2006-05-23

『予告されていたペリー来航と幕末情報戦争』

岩下哲典 著

洋泉社新書

ISBN4-86248-028-4

オランダから通告されたペリー来航の予告情報を巡る動向について書かれた本。

大体の感じとしては、歴史の一断面を切り取って素描してみせた、という本で、だから、幕末の歴史についてある程度知っている人には、それなりに面白い本だろう。本書一冊でどうこう、という程のテーマや内容は、ないと思う。

それで良ければ読んでみても、という本か。

粗筋的には、予告情報を重大視しない幕府官吏の態度に業を煮やした阿部正弘が情報を雄藩にリークした、というところで、欠点として、阿部正弘が主体的にそれを行った、という根拠は弱いということが挙げられるが、後は、可もなく不可もなく、といったところではないだろうか。

そう特別ということはないが、悪いということもない。興味があれば、読んでみても、という本だと思う。

以下メモ

・「泰平のねむりをさますじょうきせん」の狂歌は、『藤岡日記』には類似の歌が載るものの同じ歌はなく、後世に創られたものである可能性がある。

・ペリー側は、自艦に白旗が上がっていたら、日本側が訪ねてきても良い、と伝えたのであって、日本側が白旗を上げて訪ねて来い、といったのではない。

・ペリー来航の予告情報を重視した島津藩では、類焼した品川屋敷に代えて、江戸湾から離れた中渋谷に下屋敷を建設した。

2006-05-20

前立腺 男なら覚悟したい病気

平岡保紀 著

祥伝社新書

ISBN4-396-11039-1

前立腺肥大症や前立腺がん等の前立腺の病気について書かれた本。

一般向けの医学概説書、と考えて大体間違いないが、ほぼ前立腺の病気のみが扱われているので、症状や治療方法等が割と詳しく書かれている。

著者が開発した術式に関する手前味噌的な部分とか、悪いものは切ってしまえといった外科医的頑迷さとか、非専門家の私にはどう評価して良いのか分からない部分もあるが、それ以外の部分では、一般向けの医学概説書としては必要十分な程に詳しく書かれていると思うので、良い本ではないだろうか。

興味があるならば、読んでみても良い本だとしておきたい。

基本的にはベタな一般向け医学概説なので、述べておくようなことは余りない。興味があれば、というところだろう。

以下、メモ

・前立腺は、第二次世界大戦後に使われるようになった言葉で、ラテン語のプロ(前)とスタータ(立つ)を合成した欧米語からの直訳である。プロスタグランジンは、最初精液から分離され、前立腺に由来する名前が付けられた(実際には精嚢腺から分泌される)。

・高齢になると夜間の尿量が増えるので、夜中に1〜2回トイレに起きるのは、生理的な範囲。

・前立腺がんは、腫瘍マーカーPSA(前立腺特異抗原)」を使った血液検査によって、かなり分かる。

・前立腺内に精丘という膣の残滓がある。

・小さな針状にした放射性同位元素を前立腺に埋め込んで、その放射線によって癌細胞を攻撃する小線源療法という治療法もある。

2006-05-18

30代半ばの女性と久し振りに会った時に、30を過ぎたばかりの頃はまだまだ十分に綺麗だったのに、ほんの1、2年しか経っていないのに、うぎゃああああなんじゃこれはあああ、と内心で思わず絶叫してしまう程の変わりようだった例が最近立て続けにあって、加齢とはかくも恐ろしく残酷なものなのかと思っていたのだが、しかし考えてみると、妙に共通点があったような気もするし、ひょっとして、30代の女性に変なファッションが流行している、ということがあるのだろうか?

2006-05-17

陰陽師 安倍晴明蘆屋道満

繁田信一 著

中公新書

ISBN4-12-101844-3

陰陽師に関連して、いくつかのことが書かれた本。

諸所に発表した雑文を一冊にしたものという訳でもないようだが、割とそんな感じの、ややまとまりには欠ける本で、一応、主要部分としては、藤原道長や安倍晴明が活動していた1000年前後の平安貴族の日記から、陰陽師の活動実態や、それとかかわる禁忌や除厄等の平安貴族の民俗を紹介したもの、と考えれば間違いがない。

全体的に、良くもないが悪くもなく、といった十把ひとからげの平均レベルの本なので、そういう内容の平安民俗紹介本で良ければ、読んでみても、という本か。

良くいえば、一つ一つの事例で史料を丹念に紹介している、とはいえるが、悪くいえば、その分、事例の厚みには欠ける。

割とノリで書いてしまったような便乗本っぽい出来の本で、格段優れているということはないが、別に悪くはないので、こんなものだといえばこんなものではあるだろう。それで良ければ、というところだと思う。

メモ1点。

・平安後期の貴族社会は、晴明流安倍氏よりも安倍晴明の師である賀茂保憲の方に権威を認めており、晴明の子孫たちには家祖の安倍晴明を祭り上げる必要があった。

2006-05-15

映画・演劇・テレビドラマ、テレビバラエティを考えた時、その消費層に大人の男性が占める割合は、決して高くないのではなかろうか。

考えられるとすれば、時代劇や大河ドラマ、映画では昔寅さん今釣りバカ日誌であるが、今やテレビ時代劇など絶滅危惧種であるし、大河ドラマも昨今はホームドラマ路線などと揶揄されている訳で、どこまで本気で大人の男性をメインターゲットにしているかは疑問であるように思われる。

売れなくなったアイドルは、脱ぐことによって芸能生命の延命・復活をはかる、というのが定番のパターンだが、映画・演劇・テレビドラマ、テレビバラエティが大人の男性をターゲットにしているのでないならば、ヌードになることによってこれらへの出演が増え、仕事が増加する効果は、よほど小さいのではないだろうか。

せいぜい、大人の男性がメインターゲットである男性週刊誌のグラビアを飾って終わり、といったところであり、実際のところ、売れなくなったから脱ぐ、という戦略は、もはや完全に破綻しているような気がする。

2006-05-13

ダ・ヴィンチの遺言 「万能の天才」が私たちに残した謎と不思議とは?』

池上英洋 著

KAWADE夢新書

ISBN4-309-50316-0

レオナルド・ダ・ヴィンチに関する雑学本。

簡潔にいえば、『ダ・ヴィンチ・コード』便乗本の知的生き方文庫的雑学本で、要するにそういう本なので、他には特に記しておくようなことはなく、それで良ければ、読んでみても、という本か。

本屋に行けば『ダ・ヴィンチ・コード』の便乗本が結構並んでいるが、私の勘では、その中で多分ベストではないものの、そう悪くもない、といったところではないだろうかと思う。ローリスクローリターン。

知的生き方文庫的雑学本が嫌いではなく、便乗本があるのなら一冊くらい読んでおくか、という人なら、読んでみても良い、のかもしれないが、そのカテゴリーにあてはまるのはどう見ても私なので、その私がローリターンといっているのだから、他の便乗本を探してみた方が良い、かもしれない。

こんなものだといえばこんなものだが、これだけ便乗本があれば一冊くらいは良い本もありそうだし、結構微妙だ。

ちなみに、レオナルドの時代には女性が持参金を用意したとか都市に売春婦が多かったとかいう話で、男女比が考慮されていないが、中世ヨーロッパでは男性の方が少なかったという説があるので、そういう関係もあるのではないだろうか。

2006-05-10

記憶と情動の脳科学 「忘れにくい記憶」の作られ方』

ジェームズ・L・マッガウ 著 大石高生/久保田競 訳

講談社ブルーバックス

ISBN4-06-257514-0

情動をかきたてられるような経験程、よく記憶される、ということが書かれた科学啓蒙書。

記憶全般についてというよりは、長期記憶の固定化がどのような場合に促進されるのか、ということが記されたもので、主要部分としては、研究史にそって、長期記憶の固定化に関して、これこれの実験によってこういうことが分かった、ということが書き連ねられたもの、と考えれば間違いがない。

記憶に関する仮説とその根拠となる実験とが巧く折り重なって書かれているので、興味深く、啓蒙書として良い本ではないかと思う。

212pに書かれている結論が、書かれている実験結果からだけではっきりそういえるものではないように思うので、すべて台無し、という気がしないでもないが、そういう批判ができるのも、根拠となる実験がいちいち書かれているから、ではある。

その他に、問題点としては、研究史にそって仮説と実験とを書き連ねるのは、概説書としてはややまどろっこしいかもしれない。

このような問題点はあるものの、基本的には、どのような実験によってどういうことが分かったのか、が解説されていて、興味深く、良い本だと思う。

興味があるのならば、お薦めしたい。

以下メモ

扁桃体ノルアドレナリンによる刺激が、他の脳部位に影響を与えて、記憶の固定化を調節している。

・強いストレスによって副腎から放出されるアドレナリンは、迷走神経を興奮させ、その刺激は孤束核を経て扁桃体に伝わり、ノルアドレナリンを放出させる。

強いストレスを受けるような出来事の経験は、少なくとも一部このような経路によって、よく記憶される。

男性の場合、右の扁桃体の活動が高かった程、よく記憶し、女性の場合、左の扁桃体の活動が高かった程、よく記憶した。

2006-05-09

ウブな女性が悪い男に騙される、という男性向け漫画によくあるストーリーは、つまり男性の願望を現しているのだと思われる。

男にとっては、男に騙される程の女が都合が良いのだろう。

2006-05-06

『πの歴史』

ペートル・ベックマン 著 田尾陽一/清水韶光 訳

ちくま学芸文庫

ISBN4-480-08985-3

πの研究史に関して書かれた数学読み物。

それなりには面白いが、特に分かりやすいということもないし(「微分幾何学教科書に示されているように」などと書かれても分からないとか)、歴史観もエキセントリックで偏狭でやや古い感じがするし、30年以上も昔の本で時代を感じさせる部分も多いので、余り良い本だとはいえないと思う。

そういったもので良いというのなら、つまり簡単でもない偏狭で30年も前の古い本で良いというのなら、読んでみても良いのかもしれないが、普通一般的には、厳しいのではないだろうか。

それをはねのける程の名著だということはないと思う。

無理に、という程ではないだろう。

ちなみに、それでもそれは動く、はガリレオではなくてジョルダーノ・ブルーノの最期の言葉だとされているが、どこまで有力な説なのだろうか。

以下、メモ

ユークリッド公理は定規とコンパスを使った作図の具体化であり、従って、ある定理がユークリッドの公理によって証明され得るならば、その定理は、定規とコンパスのみを使って作図できる。定規とコンパスだけでは作図できないものは、ユークリッドの公理によっては証明できない。

・定規とコンパスを使って作図できる直線も円も、代数方程式で現すことができるので、結局、定規とコンパスを使って得られる点の座標は代数方程式の解であり、円と同じ面積の正方形を定規とコンパスで作図できる場合には、必ず、πが、なんらかの代数方程式の解となっている。

代数方程式の解とはならない数、超越数存在は、1840年に証明されたが、続いて1882年リンデマンによって、πが超越数であることが証明された。

2006-05-03

死体と一緒に住むなんて気持ち悪くてできない、というのが日本文化だと思っていたが、最近はそうでもないのだろうか。あるいは、家族遺体だと違った感覚があるのか。

2006-05-02

『旅のハプニングから思考力をつける!』

樋口裕一 著

角川oneテーマ21

ISBN4-04-710033-1

著者が外国旅行で感じたり考えたりしたことを綴った旅行エッセイ

全体的に、どうということはない旅行エッセイで、悪くもないが良くもなくという本。旅行エッセイだからこんなものだといえばこんなものだが、特別なものでもないといえば、特別なものでもない。

最初からただの旅行エッセイだろうと思って手に取ったので、期待に反して全然つまらなかった、という程ではないが、それにしても、もう少し何かあっても、というのが、私としては正直な感想

エッセイなので合う人には合うだろうから、興味があれば読んでみても、というところだが、別に薦めるほどのものでもなかった。

ちなみに、最後が宣伝臭い感じで終わると、全体が宣伝のような気がして、嫌な印象が残る。実際には、その分宣伝効果はあるのかもしれないが。

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