『グリム童話の世界 ヨーロッパ文化の深層へ』

高橋義人 著
岩波新書
ISBN4-00-431041-5
グリム童話の何篇かについての神話解釈的なことが述べられた本。
「シンデレラ」が灰かぶりの時期を過ごした後、美しく輝いて王子と結婚するのは、冬から夏へという農耕儀礼的な遷移である、とか、「蛙の王さま」のような異類婚姻譚は、自然と一体化し、自然の偉大な力を得ようとする近代以前の人間の願いを反映している、とかいうことが、主題としては書かれたもの。
全体的には、そんなに特別な内容のある本だとは私は思わないが、読み物としてはそれなりの読み物ではある、という感じの本か。
特別な内容はないが、読み物としてなら、興味があるのならば読んでみても、という本ではないだろうか。
上記のまとめで、へぇと思わなかった方が読んで面白いような本かどうかは疑問に思うし、へぇと思った方には、しかしそれ以上の内容はあんまりないよ、という感じで、内容的には特別なものはないと思う。
あくまで読み物としては、それなり、というところだろう。