小林一茶風日記

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2007-05-30

『核爆発災害 そのとき何が起こるのか』

高田純 著

中公新書

ISBN978-4-978-4-12-101895-3

核爆発によってどのような災害が引き起こされるかについて書かれた本。

大体のところは、核爆発についての啓蒙概説書、と考えておけば良い本で、私には結構面白かったし、知っておいて損はないだろうから(知らないで済むことを願いたいが)、読んでみて良い本だと思う。

広島原爆の生存者の事例から始められていて、読み物としても読みやすい(原子爆弾原子力という呼称は、科学的に不適切だとして、本書では余り用いられていない)。

欠点としては、日本語のたどたどしい箇所が少しあって、そのせいかどうか若干分かり難いところもあるが、そんなに、酷いという程ではないだろう。

(一応例を挙げておくと、「なお、この闇のビジネスには、核兵器開発を放棄したリビアから、日本企業も無関係でないことが判明している」などと書かれている。リビアからのからとは、リビアから日本企業まで、ということなのか、リビアの証言によって、という意味なのか、二通りに解釈できる)

内容的に興味深いものはあるので、悪い本ではないと思う。

興味があるのならば、お薦めしたい。

以下メモ

・核爆発が発生した場合、それによって高温の火球が形成され、火球からの閃光と熱線、続いて爆発による衝撃波がやってくる(光速で到達する閃光と熱線に比べ、衝撃波の到達には時間がかかる)。熱線は火傷と火災の原因になり、衝撃波によって砕かれ、飛び散る窓ガラスはヒトに対して大きな脅威となる。

・火球からは核分裂に伴う初期核放射線放出される。火球は上昇して地面からは離れていくので、初期核放射線の被曝は爆発の規模によらず最初の1分間くらいである。

・空中核爆発では、核分裂生成物は上空へ巻き上げられるが、火球が地表に接する地表核爆発の場合、地表粉砕物が上昇気流に吸い上げられて混じるため、核分裂生成物は大きな粒子を形成し、核の灰となって爆発地点の風下に落ちてくる。地表核爆発では甚大な残留核放射線災害が生じ、メガトンクラスの大型核兵器では、特別の防御がないと致死リスクを負う被曝となる範囲は風下数百キロにも及ぶ。

(空中核爆発だった広島に降った黒い雨に含まれる放射性物質は、初期核放射線の中性子を吸収して放射化したナトリウム24(半減期15時間)等である。これらは核分裂生成物に比べて半減期が短く、一週間程で危険はなくなる)

・核爆発で発生する電磁パルスによって電子機器が故障したり、放射線で電離させられたイオンによって長時間電磁波通信に障害が発生するおそれがある。この影響は空中核爆発の方が大きい。

・広島と長崎では、0.2シーベルトを越えて被曝すると、ガンの発生リスクが高まることが確認されている。妊婦の場合、0.1シーベルトで胎児に影響が出る。1シーベルトを越えて被曝すると嘔吐等の急性放射線障害を引き起こし、4シーベルト以上で下痢が生じる。4シーベルトは、その後60日以内で半数が死亡する半致死線量である(汚染された食物を取るなどして消化管が損傷した場合、4シーベルト以下で下痢となることもある)。

・熱核兵器は、核融合材料を劣化ウランで閉じ込めるため、爆発時にウラン238が中性子を吸収してプルトニウム239に核変換され、更なる核分裂爆発を引き起こす。

陽子や中性子の数が奇数の核種は偶数の核種に比べてより不安定である。核燃料となるウラン235とプルトニウム239は、どちらも質量数(及び中性子の数。陽子の数は92と94)が奇数である。

・TNT火薬換算で1キロトンの威力を持つウランやプルトニウムの重量は、56グラム。それが爆発した後の1分後の全放射能は、3700エクサベクレルである(チェルノブイリ原子炉事故で漏洩した放射能は、2エクサベクレルと推定されている)。

(ただし、核分裂連鎖反応が続くにはある程度の量が必要である。その臨界質量はウランよりもプルトニウムの方が小さく、小型化できる上に濃縮が必要なウランに比べて製造も楽なので、プルトニウム型の核弾頭の方が多数作られている)

・全核分裂生成物の放射能は、7倍の時間が経つと10分の1に減衰する。1キロトンの威力の核分裂爆弾の場合、爆発1分後に3700エクサベクレルだった放射能は、7分後に370エクサベクレル、49分後に37エクサベクレルとなる。熱核爆弾では、威力のおよそ半分が核分裂によるものと考えられている。

・もし核攻撃の警報を直前に受けたなら、ガラス窓が視野に入らない屋内で身を屈める。それによって、最初の熱線と、衝撃波で砕かれたガラス破片からの被害を防ぐ。地中貫通核兵器が使われるのでない限り、地下街は比較的安全。

・初期被害を回避したら、爆発のゼロ地点と自分が居る位置との距離を推定する。建物が大破し自動車が横転しているような場所は、ゼロ地点から近く、熱線による火災の危険があって残留核放射線も危険なので、ただちに地下鉄で脱出をはかる。建物が半壊していても自動車が横転していない場所は、火災の危険は少なく、短期核ハザードが減衰するまで1時間屋内退避をしてから、脱出する。窓ガラスが破損していなければ、ゼロ地点からは距離があるので、屋内退避する。

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