『イタリア病の教訓』

松本千城 著
洋泉社・新書y
ISBN978-4-86248-175-7
低迷してきたイタリア経済に関して書かれた本。
イタリア経済に関する簡略なまとめ、といえばまとめだが、ただし、本書のモチーフをぶっちゃけていえば、イタリアの財政状況は厳しい、それよりももっと厳しい状況にある日本は財政健全化に努めねばならない、といったところであり、お里が知れるというか、全体に財務省プロパガンダみたいな本。
(イタリア経済低迷の理由が不健全な財政にある、という主張は別になされていない)
良くいえば、新書レベルのそれなりのまとめではあるだろうから、興味があるのならば読んでみても、という本ではあると思うが、でも、さすがにこのモチーフはちょっと違くね、という気はする。
こうしたプロパガンダが気にならない人なら、興味があるならば読んでみても、というところか。
特に悪い本ではないと思うが、積極的に薦める程のものでもないだろう。
以下メモ。
・90年代半ばからのイタリア経済の低迷は、グローバル化やIT化に対応できなかったことがその大きな要因だと考えられる。イタリアでは衣服や繊維等の職人的な産業が盛んだが、この時期こうした製品は中国との競争が激しく、また、イタリア企業は家族経営で規模の小さいものが多いので、規模の小ささから海外進出やIT化も進まなかった。
(最近では、ブランド等、こうした製品の高級化が進められて、製造業には復調の兆しが見えつつある)
・イタリアの店では現金で払えば値引きされることがあるが、それは脱税のためである。
・イタリアの首相には、国会解散権や大臣の任免権がない。