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ISBN978-4-12-101977-6
シュメル語で書き残された神話についての紹介本。
紹介本で良ければ、一応の紹介本、という本か。
これで別に悪い、ということはないが、特に、という程、面白い訳でもない、と個人的には思った。
後は、普通の紹介本なので、紹介本で良ければ、というところ。
興味があるならば、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・沖積平野であるシュメルでは、余剰生産物や土器を交易して、材木や石材や鉱物を得た。
・太陰暦を採用しているシュメルでは、月神は太陽神よりも上位にある。
・シュメル時代、搾乳は子牛を見て母牛が出す乳を採った。
畑中正一 著
ISBN978-4-7973-4976-4
ウイルスに関する入門概説書。
余り深い内容や面白い話はないが、入門書としては、こんなもの、という本か。
図表の説明の多くが、本文をピックアップしたものになっているのだが、それを、重要なことが二度書かれていて分かりやすい、と思える人向き。何で二度書くんだ? 何で二度書くんだ? と思ってしまう人には、向いてないだろう。
後、全体的に説明にキレがない印象は受ける。例えば、O157が牛に病気をもたらさないのは、溶原化(バクテリオファージが菌の中に共存)しているからなのか、バクテリオファージが外に出ても、感染するための受容体を牛の細胞が持たないためなのか、とか(あるいは、外に出ても感染できる受容体がないから、溶原化しているのかもしれないが)。生ワクチンと不活化ワクチンの違いとか、インターフェロンそのものがウイルスを抑えるのか、インターフェロンはマクロファージやNK細胞を刺激するだけなのか、とか、どうも細かいところを追おうとすると、余りよく分からない本になる気がする。肺の進化の説明も少し変だ。
ただ、入門概説で良ければ、一応のものはあるだろう。重要なことが二度書かれているので、この方が分かりやすい、という人には、良いのではないだろうか。
入門書で良ければ、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・ポリオウイルスには、1型2型3型とあり、2型があると1型と3型の増殖が抑えられるため、ポリオワクチンは2度接種する必要がある。1回目で2型のウイルスに対する免疫を作り、2回目で1型と3型に対する免疫を作る。
・細菌に感染するウイルスをバクテリオファージといい、O157やコレラ菌、赤痢菌等の毒素の正体は、これらバクテリオファージのウイルスたんぱく質である(だから、細胞に侵入して破壊する力を持っている)。かつて赤痢菌にいたバクテリオファージが、大腸菌に感染して、O157になったと考えられている。
・大腸菌は、表面にあるO抗原とべん毛にあるH抗原で分類され、病原性大腸菌O157の正式名はO157−H7である。
松浦光利 著
ISBN978-4-7698-2589-0
JICAの専門家等として東アフリカで海運の指導に当たった人の体験録。
面白いエピソードや感動のドラマといったものはほぼないが、体験録としては一応の体験録、という本か。
アフリカへ海運の指導に行った人の話が聞きたいのであれば、読んでみても、という本。何か面白いものがないかと探している程度なら、若干厳しめだと思う。
後、回想録のせいとはいえ、文章が殆ど「〜た。〜た。〜た。」で終わるのも、少しきつい。
一応体験録は体験録なので、読みたければ読んでみても、という本だが、個人的には、人に強く薦める程の面白さはなかった。
それでも良ければ、読んでみても、という本だろう。
佐藤勝彦 著
ISBN978-4-00-431161-4
宇宙論に関する入門書。
余り充実した感はないが、小著の入門書としては、それなりの入門書、という本か。小著の入門書で良ければ、読んでみても、という本。
小説風の出だしは余り読みやすくはなく、小著だし入門書だから仕方がない面はあるのだろうが、湯川秀樹がパイ中間子を提唱した、みたいな記述があるのも、私としてはマイナス点だと思う。
全体に、特に良い点はなく、やや欠点が多い本か。それでも、小著の入門書としては、そこそこ、こんなもの、という本だと思う。
興味があるならば、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・インフレーション理論は、素粒子の統一理論に基づいて、できあがった。力が別々の力になる時に起こる真空の相転移が、宇宙の膨張を引き起こす。
・インフレーション中における真空のエネルギー密度の量子論的なゆらぎが、宇宙の構造の種になったと考えられる。
・インフレーションの相転移が、過冷却が起こる一次の相転移であれば、相転移を起こしていないところと起こしているところとで、重層的に宇宙が発生し得る。
近年は、ビッグバンのような単一の宇宙の発生ではなく、ブレーン宇宙論等、こうした、宇宙の無限の発生を考えるマルチバースがブームである。
・真空のエネルギーを考えるインフレーション理論では、体積がゼロならば真空のエネルギーもゼロになるから、ゼロ地点における物理法則が崩壊せず、特異点ではないところから宇宙が出発できる。
ただし、この宇宙が収縮する場合、エントロピーが発生しており、放射エネルギーがゼロにならないので、ビッグクランチには特異点ができる。
・現在の宇宙は加速膨張していると観測されており、真空のエネルギー(=暗黒エネルギー)を使った第二のインフレーションを起こしている、とも考えられる。
松浦玲 著
ISBN978-4-00-431159-1
一次史料を軸にしているし、本当に足跡をたどっているだけなので、好事家向けではあるが、一次史料から龍馬の足跡を丹念に追っているので、そうしたもので良ければ、割と良い本だと思う。興味があるならば、読んでみても良い本。
ただし、個々の史料の細かい検討等はだいぶ削られているらしく、私としてはそういう細かいところが面白いだろうと思うので、その点、残念ではあった。別に200ページちょっとしかないのに、岩波の方針なんだろうか。
また、坂本龍馬について一から知りたいとか、幕末の歴史を余り知らないとかいう人が手に取るような本でもない。
一次史料を軸に坂本龍馬の足跡をたどったもので良い、という人向け。
そうしたもので良ければ、割と良い本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良いだろう。
以下メモ。
・初期の頃の龍馬は越前福井藩に近かった。大政奉還論は松平春嶽らが早く唱えている。
・「海援隊日史」等の史料には、所謂船中八策は出てこない。
・徳川慶喜が大政奉還建白を受け入れる前は、龍馬も武力倒幕論に傾いた。
・龍馬が京都の下宿にいることは、危険だと自分でも分かっていた。吉井友実が薩摩藩邸に来るように誘ったが、そういう訳にもいかず、土佐藩邸にも独自の活動をする龍馬を快く受け入れない雰囲気があって行けなかった。
ローマにおけるユダヤ教(及び初期キリスト教)の影響力の大きさというのは、ヘレニズム期におけるユダヤ教の影響力の大きさというのをそのまま引き継いでおり、ヘレニズム期におけるユダヤ教の影響力の大きさというのは、支配者層であるギリシャ人(及びギリシャ文化・ギリシャ宗教)に対する、被支配者層である非ギリシャ人(及び非ギリシャ文化・非ギリシャ宗教)の代表としてのそれであっただろうから(ヘレニズム期において、被支配者層である非ギリシャ人の弱小民族の出身者は、支配者であるギリシャ人になることは難しかったから、被支配者であり非ギリシャ人の代表であったユダヤを、受け入れやすかった)、ヘレニズム期において何故ユダヤ教が大きな影響力を持ったのか、ヘレニズム期の人々が何故ユダヤ教を受け入れたのか、被支配者層である非ギリシャ人において「悪」が何を意味したのか、ということに思いを馳せるならば、(ここからは私の憶測だが)一神教における「悪」の存在こそが、そのまま、一神教が世界に浸透し得た理由なのではないだろうか。