小林一茶風日記

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2011-02-24

生命はなぜ生まれたのか 地球生物起源の謎に迫る』

高井研 著

幻冬舎新書

ISBN978-4-344-98198-0

地球生命の誕生について書かれた本。

基本的に、著者が表に出すぎて、うざい。

それに耐えられる人、その方が面白いという人向けの本か。人を選ぶ本だと思う。

私としては、この分野についての最新の動向を知ることができたのでそれなりに面白かったが、深い説明はないのでその点でやや物足りず、うざいので人に薦めるほどではない、というところ。

著者が表に出てくるのは、著者の主観的には、軽くて読みやすい本にするためなのだろうが。

が、しかし、という感じ。

序にいえば、生命の発生そのものも軽く捉えすぎているようにも思うし。

それでも良ければ読んでみても、という本だろう。

以下メモ

・星間塵の中で化学進化は起こるようだ。星間塵の中だと、中性子星からシンクロトロン放射の円偏光や、ベータ崩壊時(超新星爆発において発生吸収された中性子によって引き起こされる)の対称性の破れによって、L型アミノ酸過剰の問題がクリアできる、という利点がある。

DNAを使う生物の前にRNAを使う生物がいた、という説は広く受け入れられているが、RNAが合成されるような環境ならDNAもタンパク質も合成されるだろうから、RNAだけを使う生物がいなければならない必然性は薄い、と著者は考えている。

・原始の地球における深海熱水活動域では、高分子有機物の濃縮が進み、おそらく多くの有機物発酵生物が生まれたことだろう。ただし、有機物発酵生物は、発酵できる有機物が尽きてしまえば、それで死に絶える。

・深海熱水活動域には金属硫化鉱物が大量に存在するが、その表面では、理論上、二酸化炭素からメタンを発生させて、チオエステルATPを作る有機化学反応が可能である

エネルギー代謝にかかわる多くの酵素の活性中心には、鉄やニッケル硫黄クラスター構造があり、初期の生命がこの構造を取り込んだことが考えられる。

・原始深海熱水活動域で誕生した有機物発酵生物が、金属硫化鉱物表面で起こっていた有機化学反応を取り込んだとき、一次生産が可能な持続的な生命が誕生した。

2011-02-17

財界の正体』

川北隆雄

講談社現代新書

ISBN978-4-06-288087-9

財界について書かれた総花的な解説書。

全体的に、ややまとまりなくあれこれ書かれており、最初の一冊としてならこんなものかもしれないが、それ以上のものではない、という本か。

財界の力を過大に評価すると陰謀論っぽくなってしまうが、力がないとするとこの本の意義もないわけで、難しいところか。実際のところ、財界はこんな風に政治に影響を及ぼしている、力の源となる企業献金マジけしからん、という話でしかないだろうし。

一応の参考にはなるだろうが、それ以上のものではない。

それでも良ければ、という本だろう。

2011-02-10

『巨大翼竜は飛べたのか スケールと行動の動物学』

佐藤克文 著

平凡社新書

ISBN978-4-582-85568-5

生物のスケーリングに関する話。

簡単にいうならば、生物の形が相似形ならば生物の能力も大きさに比例したものになる、空を飛ぶには体重が軽い方が良く羽ばたく力は体重が重い方が強いが、羽ばたく力は体重が増えても比例係数が小さくしか増加しないので、どこかで限界が来る(ミズナギドリ目の鳥で著者が実際に試算したところ、41kgと出た)、絶滅した巨大翼竜は、例えばケツァルコアトルスが体重70kgと想定されているが、こんな大きさでは飛ぶことができないのではないか、というもの。

基本的には、結構面白い。興味があるならば、読んでみても良い本。

ただし、本書のかなりの部分は動物の行動データを採る著者の研究の話になっていて、それはそれで面白いとは思うものの、内容が二つになってしまって虻蜂取らずの感はある。

本書のテーマけが知りたいという向きには研究の話は邪魔だろうし、研究上の苦労などが書かれた簡単なエッセイがいいという人には、比例の計算などが入ってくるのは煩雑で難しいだけだろう。

両方楽しめるという人向きか。

それで良ければ読んでみても良い本だろう。

以下メモ

ペンギンなどが深い場所に潜っていくと肺や羽毛にある空気の体積が減るので、受ける浮力は潜れば潜るほど小さくなる。

ウミガメも一応ポリ袋が餌でないと判断できる(場合がある)。

マンボウは、ペンギンが両手を使って泳ぐように、背びれと尻びれを同時に動かして泳ぐ。実際にはぷかぷかと浮遊するのではなく、結構泳いでいた。

2011-02-04

『働かないアリに意義がある 社会性昆虫の最新知見に学ぶ、集団と個の快適な関係』

長谷川英祐 著

メディアファクトリー新書

ISBN978-4-8401-3661-7

ハチ目を中心に社会性生物の生態を進化生物学的に描いたエッセイ

エッセイなので読みやすいし、あれこれ書かれていて、楽しめる本だと思う。興味があるならば、お薦めできる本。

エッセイであるいか、ヒトの社会とアリの社会は違うと自分で書いておきながらやや我田引水的に教訓を引き出すきらいはあるが、個人的には許容範囲内だった。

科学者が自分の研究領域に関して一般向けに書いたエッセイとして、標準といったところ。実際にはその標準を達成するのが難しいと考えれば、悪くない本だと思う。

興味があるならば、購読しても良い本だろう。

以下メモ

・複雑な情報処理能力を持たないハチやアリが仲間に仕事を分担させるとき、反応閾値を使っていると考えられる。働きアリの個々の個体で仕事のしやすさに違いがあり、必要とされる仕事量が少ないときには、仕事をしやすいアリだけが働き、必要な仕事が増えたときに、仕事をしにくいアリも働く。こうして、必要とされる仕事が管理者もいないのに巧く回っていく。

オオズアリの兵隊アリは普段子育てなどをしないが、働きアリの数を減らすと子育てをするようになる。

・反応閾値が同じだと、あるときに皆が働いて、次の瞬間疲れて誰も働けなくなる、ということが起こりかねない。

・反応閾値の違いは少なくとも一部遺伝に基づいており、ミツバチでは、女王が何匹ものオスと交尾するによって、働きバチの反応閾値の分散が大きくなっている。

・膜翅目(ハチ目)はオスが単数体であるため、娘はヒトなどと同じく1/2しか自分の遺伝子を持たないのに、姉妹は父親の同じ遺伝子と母親の遺伝子の半分を共有することになり、遺伝子の共有が3/4になる。ハチやアリで真社会性への進化が複数回起こったのは、姉妹の方が娘よりも血縁度が高く、姉妹で社会を作ることによって自分の遺伝子を残しやすくなるからだと考えられる。

・社会性生物の中には、自分では働かずに他のメンバーの働きにフリーライドして子孫を残そうとするチーターが出るが、コロニーの中にチーターがいるとコロニーそのものの増殖率が落ちるので、チーターだらけにはなってしまわない。

ヤマトシロアリの女王は、次世代の女王に自分の遺伝子をホモ接合で持つメスを産む。オスの王は非常に長命で、何世代もの女王と配合を繰り返すが、王の遺伝子が濃くなっていくことはない。

コカミアリやウメマツアリは、次世代の女王に自分のクローンを作る。ワーカーは有性生殖で産まれてくるが、女王が産むオスは、女王の遺伝子を持たず、父親の遺伝子だけを受け継いでいる。女王とオスは、遺伝的には別種になる。

2011-02-01

『絶海の島ニコバル諸島戦記 インド洋最前線の孤島守備隊物語

前田酉一 著

光人社NF文庫

ISBN978-4-7698-2669-9

太平洋戦争に従軍した著者による従軍記。

著者はまったく戦闘を経験していないので、戦記というよりは従軍記で、内容的には、内地での訓練と南の島で飢えに苦しんだことがメインという本。

この手の戦記としては、特に可もなく不可もなく、といったところで、興味があれば読んでみても、という本だと思う。

やや描写が簡潔だし、波乱万丈もないが、一通りまとまった従軍記ではある。悪くいえば、本書独自の意義、みたいなものは少ないか

既に名のある優れた戦記と比べればそれは落ちるだろうが、これはこれで一個人の貴重な体験記ではあると思う。

興味があるならば読んでみても、という本だろう。

ちなみに、フィラリアのことを南の島の風土病として描いているところから見ると、戦前の和歌山にはこの病気はなかったのだろうか。

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