『山県有朋の「奇兵隊戦記」』

一坂太郎 著
洋泉社・歴史新書y
ISBN978-4-8003-0073-7
山県有朋の回想録を元に描いた幕末奇兵隊の戦記。
個人的な感想としてはとりたてて新しい視座や新発見があるのではなかったが、奇兵隊の戦記としては一つの戦記という本か。そうしたものでよければ読んでみてもという本。
幕末長州藩の内戦や戊辰戦争を戦った一つの戦記ではあるから、戦記としての面白さはある。
ただし、山県だから云々という内容はあまりないと思う。
たとえ藩主や天皇の意見でも自分の気に入らないものは側近が悪いと簡単に否定してみせることくらいか。
帝国陸軍は確かに山県の直系だったのかもしれない。
長州について一歩引いた冷静な視点を保っているのが長所といえば長所だが、死もまた社会奉仕と言われた山県に入れ込む人は少ないか。
後はそうしたものでよければ、という本だろう。