『オイラーの公式がわかる 数学の至宝を知る』

原岡喜重 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257818-9
オイラーの公式に関して書かれた本。
基本的に、オイラーの公式の導入と、その応用例が書かれた本で、興味深くはあるが簡単ではないと思う。それでよければ、という本か。
いってみれば、オイラーの公式を知らない人のための本ではなくて、知っているが詳しくは知らないという人のための本というところ。
この本だけを読んで、というのは現実に無理だと思う。
微分複素数、ベクトルなどについても、書いてないわけではないが、多少は分かるという人向け。
数学の本を読んでみようという人なら本書以外に何も読んでいないということはないだろうから、これはこれでありなんだろう。
その分、基礎から応用までが書かれていて面白い。
そうしたものでよければ読んでみてもよい本だろう。

以下メモ。
・多くの関数は、f(x)=a0+a1x+a2x^2+a3x^3+…+anx^n+…というべき級数で表すことができる。
f(0)=a0である。
この関数を一回微分すると、f'(x)=a1+2a2x+3a3x^2+…という形になるので、
f'(0)=a1となる。
二回微分すれば、f''(x)=2a2+(3*2)a3x+(4*3)a4x^2+…となり、f''(0)の値から係数a2が分かる。
f''(x)/2!=a2である。
以下、こうやって三回四回と次々に微分していけば、べき級数のすべての係数を求めることができる。
このようにして決定された関数のべき級数テイラー展開という。
・sinxの微分はcosx、cosxの微分は-sinxだから、sinxを微分するとcosx、cosxを微分すると-sinx、-sinxを微分すると-conx、-cosxを微分するとsinxとなって、sinxを四回微分するとsinxに戻る。
これらのx=0における値は、それぞれ0、1、0、-1である。
したがって、sinxのテイラー展開は、sinx=0+x+0-x^3/3!+0+x^5/5!+…となる。
cosxについても、上記のものが一つずつずれた形になるだけだから、テイラー展開は、cosx=1+0-x^2/2!+0+x^4/4!+…となる。
・指数関数e^xは微分してもe^x。e^0=1だから、e^xのテイラー展開は、e^x=1+x+x^2/2!+x^3/3!+…。
この両者を結びつけると、オイラーの公式e^ix=cosx+isinxが導ける。
・指数関数の微分については、複素数aに対して、(e^ax)'=a(e^ax)が成り立つ。
一般的な微分方程式y''+ay'+by=0について、y(t)=e^ctと置くと、y'(t)=c(e^ct)、y''(t)=c^2e^ctになるから、元の微分方程式に代入すると、c^2e^ct+ace^ct+be^ct=(c^2+ac+b)e^ct=0。
指数関数e^ctは0にならないので、c^2+ac+b=0であり、この二次方程式を解けば元の微分方程式の二つの解が求まる。
求まった二つの解を重ね合わせたものが、微分方程式の一般解である。