小林一茶風日記

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2006-10-24

『性と暴力アメリカ 理念先行国家の矛盾と苦悶』

鈴木透 著

中公新書

ISBN4-12-101863-X

性と暴力という観点からアメリカ社会を論じた本。

全体としてのテーマは必ずしもはっきりとはしない、要するにぐだぐだとしたいつものよくある人文系社会評論、だが、よくあるぐだぐだとしたものに慣れ過ぎてしまったせいか、論証のやり方すら忘れてしまったかのような本。

発想としては面白い指摘もあるので、よくあるぐだぐだとした人文系社会評論が好きな人なら、これで良いのかもしれないが、圧倒的に論述が足りていないので、発想はすべて思い付きレベルでしかない。自分が何を論じたいのか、そのためにはどういう論証が必要で、どのように論述していけば良いのか、ということを、もう少しまともに考えてみてもばちは当たらないのではないだろうか。

例えば、性と暴力の問題は、人為的な集団統合というアメリカの根幹に関る問題だ、という話が、はしがきとあとがきとに出てくるが、最初と最後に出てくることからも想像が付くように、本論中にそういった話は殆ど出てこないし、これ以上の敷衍も説明も、論証もある訳ではない。本論中では、アメリカは性を直視する伝統がある、という話と、共同体から危険なものを排除するリンチの伝統が現代におけるイラク戦争などの対外戦争にも色濃く現れている、という話が二つの軸として出てくるのだが、こちらに関しても、前者は一応論じようとはしているものの論証を中心にすえたすっきりとしたものではないし、後者は何を以ってリンチ型の戦争とするのかという定義さえない体たらくで、思い付きを越えるものがあるとは余り思えない。

事例の積み重ねだけで証明になるのか、事例の積み重ね以外に論証のしようがあるのか、どれだけ事例を積み重ねれば、論証したといえるのか、といった厄介な問題があることは認めるにしても、それにしても、という感じか。

思い付きで良ければ、発想としては面白いものもあるので、こういうのが好きな人なら読んでみてもの良いかもしれないが、安直な社会批判みたいな部分もあるし、全体的には少し厳しいのではないかと思う。

私としては余りお薦めできる本ではなかった。

以下メモ

・ピューリタンにとっては、性の誘惑を断ち切ることが到達度を示す一つの指標だった。

フロンティアの消滅は、広大なフロンティアの治安を自警団などによって維持してきたアメリカにおける暴力的伝統を断ち切る好機だったが、ジェシー・ジェイムズやビリー・ザ・キッドといったアウトローを英雄視することで、暴力に対する美化が続いた。

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