猿虎日記(さるとらにっき) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008年06月21日

命名、妖怪「どっちもどっち」

パレスチナ

かつてこちらの記事 http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20041219/p1で引用した、土井敏邦氏の言葉をもう一度引用します。

 もちろんパレスチナ人の自爆テロは許されるべきではなく、糾弾されるべきである。ただ、自爆テロをはじめとするパレスチナ人側の暴力とイスラエル側の「報復」の暴力を並列し、「暴力が暴力を呼ぶ悪循環」「どっちもどっち」といった描き方で終わってしまいがちな現在の報道や識者の評論は、問題の本質を見誤らせると私は考えている。問題の根源はイスラエルによる”占領”にある。”占領”という状況がパレスチナ人を自爆テロにまで追い込んでいるといえよう。[(『パレスチナ ジェニンの人々は語る――難民キャンプ イスラエル軍侵攻の爪痕――』69-70頁)

パレスチナ、ジェニンの人々は語る―難民キャンプ、イスラエル軍侵攻の爪痕 (岩波ブックレット)

 イスラエルとパレスチナ、機動隊と活動家、警察と西成の労働者、の対立についてのニュースなどがあると、かならず「どっちもどっち」という意見がどこからともなくわいてきます。これをわたしは「妖怪どっちもどっち」と命名したいと思います。

 最近でも、マスコミは「イスラエルと「イスラム過激派」ハマス」という表現を執拗に用いることによって、「どっちもどっち」の発生を促しています。実際は「これまでの衝突では、パレスチナ側からのロケット弾で過去1年の間にイスラエル人7人が死亡、イスラエルの報復攻撃でパレスチナ人400人以上が死亡している」のであり、この数字だけを見ても「どっちもどっち」ではとうていありえないにもかかわらず。

http://d.hatena.ne.jp/hippie/20080619

http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20080517

 しかし、「妖怪どっちもどっち」たちにとっては、事実はもんだいではないのです。ようするにかれらは、あらゆる敵対構造を「どっちもどっち」というフレームをとおしてみるという態度をあらかじめ選択しているのであり(かれらは「闘争」などのことばをはげしくきらい、「紛争」などのことばをこのみます)、しかもそれは、じぶんたちがその敵対構造と無関係な位置にいるかのようにおもいこむための儀式でもあります。じぶんたちが妖怪である自覚がないところがしまつにおえないところでもあります。

三里塚

 こちら http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20050805/p1で引用したアッテンボローさんの記事http://rounin40.cocolog-nifty.com/attenborow/2005/08/post_a5ba.htmlにあるように「三里塚闘争を始め、多くの闘争は最初から武装闘争であったわけではない」わけです。

 非暴力の農民たちの抗議行動に対して、まず、警察、機動隊の圧倒的な暴力がおそいかったわけです。

最初は、空港公団の測量に対して三里塚の農民は道路に座り込みをすることで抵抗した。共産党は「道路交通法違反だから」農民に立ち退くように呼びかけた。その後で機動隊が農民に暴行を加えて排除した。第一次と第二次の強制代執行の際には、農民が立木伐採を止めさせるために木に登り鎖で体をくくりつけているのを、そのまま伐採した。多くの農民が負傷した。地下壕に立てこもる農民の頭上を農民が生き埋めになるのも気にせず、重機で走り回った。大木よねさんというおばあさんが農機具にしがみついて抵抗するところに、殴る蹴るの暴行を加えて住居を取り壊し、家財道具を放り出した。

 しかし、「農民や労働者学生がたまりかねてささやかな武装をして抵抗する」と、妖怪「どっちもどっち」がうごめきだします。

マスコミや共産党は「暴力学生」と言って全学連や反戦青年委員会の労働者を非難する。警察に抗議することはない。民衆が暴力を持って国家権力に抵抗することを非難する人の殆どは、国家権力の暴力に対しては何も言わない。

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*1

日大闘争

 さて、せんじつ、kmiuraさんの記事で、日大闘争当時、大学から金をもらって学生たちに暴行していた元右翼学生のひとのはなしをぐうぜんきいた、というのがありました。

先月日本で鮨屋のカウンターで聞いた話を思い出した。隣にたまたま座っていたオヤジの話なのだが、68年から69年の日大全共闘をめぐって。オヤジはいわゆる体育会系や右翼学生の側にいた理事長側の人で、車のトランクに日本刀を何本も載せて全共闘側の学生を懲らしめにいったという武勇伝を語る。白刃きらめかせて、ってな感じで私はいい気なものだ、とおもいつつもはあはあ、と話を聞き続けた。なんで他の学生と一緒に闘わなかったんですか、とそれとなくきいてみたら、かの有名な古田理事長からカネをもらっていた、とのこと。その後も大学側から某市役所に就職を斡旋してもらい安泰の人生だった、理事長には今でも恩義にきている、とのことである。日大全共闘のことは結構文章を目にしているのだが、右翼学生をカネで雇っていた、というのはちょっと初耳だった。

http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20080526#p2

 で、この記事にたいするブックマークに、出ました!妖怪「どっちもどっち」

# 2008年05月29日 maroon_lance maroon_lance 左右ともにWin-Winの時代CommentsAdd Star

# 2008年05月28日 maangie maangie 歴史 なんだかなあ。まあ左翼も共産党とかからカネ貰ってたんだろうけど…。CommentsAdd Star

 これはもう見事な妖怪ぶりですが、↓も、やや妖怪になりかけ?

# 2008年05月27日 takanofumio takanofumio politics >その後も大学側から某市役所に就職を斡旋してもらい安泰の人生< バリケードの中のヒトの武勇伝もうんざりだけど、こういうのもなんだかなあ。CommentsAdd Starkyo_jumaangieNakanishiB

 で、日大闘争にはわたしもそんなにくわしいわけではないですが(といいつつ『反逆のバリケード』はもっていますが)日大闘争も、「どっちもどっち」どころか、まず、右翼、機動隊の暴力ありきだった、というのは、かつては、わりとゆうめいなはなしだったとおもいます。さしあたたり、菅孝行のフォービギナーズ『全学連』から引用しておきます。

日大全共闘に結集した学生のほとんどは、運動経験のない、全くのノンポリ(非政治的学生)であった。はじめて右翼との衝突がおこったころ、彼らは、その場に登場した機動隊を拍手でむかえたという。当然、暴力的に介入してきた右翼を警察が排除してくれると考えたからである。しかし機動隊は、武装した右翼学生を擁護し、全共闘派の学生に襲いかかったのであった。その体験を通じて、彼らは身を以って、権力と反権力、体制と反体制というものの関係を学んだ。また、自ら武装することの必要性を肌身に感じとったのである。(126頁)

 たとえばテリー伊藤氏は日大出身ですが、私の記憶では、上のエピソードと同じような思い出をかつてテレビで語っていました。ところが、愛読しているたけくまメモ竹熊健太郎氏も、妖怪どっちもどっちの妖気に目をくらまされ、日大闘争(というか全共闘運動)について、以下のようなステレオタイプな記述になっていたのがちょっと残念でした。

現在では考えにくいことですが、大学生が交番を焼き討ちしたり、キャンパス内でゲバ棒や刃物を振りかざして対立セクトを半殺しの目に遭わせたりすることが「日常風景」であったわけです。団塊世代のテリー伊藤には学生運動の過去がありますが、彼が斜視になったのはデモ中に投石を顔面に受けたからだと本人が語っていたことがあります(最近になって手術を受けて治しましたが)。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_b05b.html
全学連 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 12)

全学連 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 12)

追記

ブックマークで知りましたがこちらhttp://d.hatena.ne.jp/blackseptember/20080428/1209387315で日大の同じ話がすでに書かれていました。ぱくったわけではありません(^_^;)

また

あのヘルメット&ゲバ棒&投石スタイルは通常のデモが警察にサンドイッチ状に挟まれて完全制圧、デモとしての実効性を無効化されたことに対する打開策として出てきたわけだからね。

というのも。

*1:ちなみに、三里塚のもんだいについてのさしあたりの最良の入門書は尾瀬あきら『ぼくの村の話』だとおもいます。ざんねんながら絶版ですが(私はamazonの古本で全巻買いました)ネットでもよめます。ヤフーコミックは、一巻300円ぐらいとやすくてたちよみもあります(が、ケシカランことにInternet Explorlerでしかよめません)。http://comics.yahoo.co.jp/kodansha/ozeakira01/bokunomu01/list/list_0001.html 楽天はこちらhttp://dl.rakuten.co.jp/attr/92197317/da30_1.html

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