猿虎日記(さるとらにっき) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012年12月13日

生活保護は増えてないし、もっと大事なことは増えて何が悪い、ということ

東京新聞の記事。全体としては、生活保護見直し議論に対して批判的な論調ではある。

生活保護水準の原則一割カット」を言っている自民党をはじめとする、各党の公約の比較もしている。

  • 自民党は「手当より仕事」を基本にし、生活保護水準の原則一割カットを打ち出し、保護費の半分を占める医療扶助の適正化を公約に盛り込んだ。
  • 日本維新の会は維新八策で(1)支給基準の見直し(2)医療扶助に自己負担制導入(3)現物支給を中心にする−との抑制策を打ち出した。
  • みんなの党も「生活保護制度の不備・不公平、年金制度との不整合などの問題を解消」と切り下げを示唆している。
  • 共産党は「必要とするすべての人に受給権を保障」と公約に明記。社民党は「生活保護制度を守る」とした。
  • 抑制に積極的な自民と維新、反対の共産、社民の中間が民主党。マニフェストに不正受給防止のため国や地方自治体の調査権限強化や一定期間ごとの受給要件の再確認を明記したが、支給水準下げは盛り込まなかった。日本未来の党は二日に公約を発表する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012120202000092.html

ただ、この記事を最初に読んだとき、話の前提となっている生活保護受給者数増加、ということを説明するグラフを見て、びっくりした。

f:id:sarutora:20121213233132j:image

これ、パオロ・マッツァリーノが『反社会学講座』で批判していた、少年犯罪増加のグラフと全く同じ。http://pmazzarino.web.fc2.com/lesson2.html

同じすぎてびっくりした。

少年犯罪が急激に増えている!ということを示すために良く用いられるこのようなグラフ

f:id:sarutora:20121213233133g:image

ちょっとまて、グラフのもっと左側、昭和の部分はどうなってるんだ?と見てみるとこうなっていた

f:id:sarutora:20121214013023g:image

というオチですね。まあトリミングというかなんというか。

で、同じく生活保護受給者についても、東京新聞のグラフよりもっと左側はどうなっているのか、ということなのだが、そのことも含めて、生活保護についての誤解・曲解は日弁連のパンフレットに詳しくかかれている。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf

ここのA1にあるように、近年の生活保護受給者数は200万を超えて確かに過去最高を更新しているかもしれないが、1951年当時も、実は204万人も受給者がいたのである。しかしそれだけではない。たとえば1951年当時の人口は8500万しかいなかった。つまり人口当たりの受給者数は、増えているどころではない。60年前から比べると、むしろ減っているのである。その辺がよくわかるように、国立社会保障・人口問題研究所http://www.ipss.go.jp/のデータを元に、人口千人当たり生活保護受給者数の変遷をエクセルでグラフにしてみた。すると、やはり反社会学講座のと同じようなグラフが出現したのである。

f:id:sarutora:20121215171822p:image

つまり、人口1000人あたり生活保護受給者数は、1952年23.8人に対して2010年15.2人。3分の2でしかない。ここ十年の増加だけが強調されるのはやはりおかしい。

そして、生活保護の問題は、日弁連のパンフが言うように、「受給者数が多すぎる」ことが問題なのではなく、むしろ、「受給者数が少なすぎる」こと、言い換えれば、「受給できるのにしていない人が多すぎる」ことが問題なのである。

日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。仮に日本の捕捉率をドイツ並みに引き上げると、利用者は717万人になります。

f:id:sarutora:20121215171825p:image

つまり、「二百十何万人も受給している」ことではなく、その数倍の「五百万人もが受給からもれている」ことが問題なのである。

そして、不正受給についても、日弁連のパンフを見ると、マスコミなどがいかにゆがめて伝えているかがわかる。

不正受給の件数や金額が年々増え、不正受給が横行しているかのような報道がされています。しかし、不正受給の件数などが増えているというよりも、生活保護利用者が増えていることに伴う数字の変化というべきでしょう。不正受給の割合でみると、件数ベースで2%程度、金額ベースで0.4%程度で推移しており、大きな変化はありません。また「不正受給」とされている事例の中には、高校生の子どものアルバイト料を申告する必要がないと思っていたなど、不正受給とすることに疑問のあるケースも含まれています。

もちろん、悪質な不正受給に対しては厳しく対応すべきですが、そういうケースはごくわずかな例外です。数字を冷静にみれば、数百万人の人が生活保護受給から漏れていること(Q2)の方が大きな問題なのです。

f:id:sarutora:20121215171826p:image

さらに、よく言われる「生活保護予算が国や地方の財政を圧迫している」というような説も、誤解ないし曲解である。

日本の生活保護費(社会扶助費)のGDPにおける割合は0.5%。OECD加盟国平均の1/7にすぎません。諸外国に比べて、極端に低いのです。生活保護費が財政を圧迫しているとはいえませんし、生活保護費を引き下げても、財政への影響は小さいのです。

f:id:sarutora:20121215171824p:image

「小さな政府を」とか言うが、社会扶助に関しては、日本は現時点ですでに極小の政府でしかなかった、というわけである。

しかし、日弁連パンフの中で一番重要なのはA8の次の言葉だと私は思う。

そもそも、生活保護費は国民のいのちを守るための支出です。財政問題を理由に安易に引下げを論じるべきではありません。

つまり、(実際には違うが)仮に、生活保護によって(つまり命を守ることによって)財政が破綻するのだとしたら、どう考えてもそれは「そんな「財政」の仕組みがおかしい」ということだ。一体それ以外の何だというのだろうか?

f:id:sarutora:20121215171827p:image

f:id:sarutora:20121215171829p:image

f:id:sarutora:20121215171828p:image

追記:日弁連のパンフ、新しいのが出ていることに気がついてなかったので図をそこからも使わせていただきました。

どうもどうも 2012/12/14 09:33 日本っていまだに大きな政府だと思い込んでる人ってやまほどいますからね。
データを見ずに・・・・・・

感想感想 2012/12/14 10:02 記事を読んだ感想です。

(1)
GDPに占める生活保護費の割合は、もっと新しいデータはないのでしょうか?(1995年以降、日本以外の国のGDPは大幅に伸びましたので・・・。)

(2)
高負担・高福祉の国と中負担・中福祉の国を一緒に比較するのは良くないので、GDPに占める生活保護費の割合で比較するのではなく、税収(もしくは歳入)に占める生活保護費の割合で比較する方が良いのではないでしょうか?(たしか、日本とイギリスの税収は同じくらいですよね。)

(3)
日本とイギリスを比較して思うのですが、日本の問題は、生活保護者一人あたりの支給コストが高すぎて、十分な数の人に行き渡っていないことなのではないでしょうか?(もしくはGDPの割に税収が低すぎて福祉が充実していないということもあるかもしれません。)

 2012/12/14 11:23 ・補足漏れと水準カットは別の話。話のすり替え。
・混乱期の戦後の話まで持ち出すのはナンセンス。持ち出すなら捕捉率と生活実情も比較すべき。
・財政とGDPは違う。
・命を守ることと水準カットは全く違う。
・捕捉率は上げる努力をすべき。

aaaa 2012/12/14 12:56 60年前の話持ち出して減ってるとかアホか

aaaaaa 2012/12/14 14:15 まあ結論には大きな異論はないのですが…。

数値の分析は将来の政策立案の利益のために取捨選択して用いられるべきであって、人口当たりの受給者数が過去20年に渉って増加しているのは重要な情報です。
「1960年代より少ないという情報が入っていないからごまかしだ」という意見は公平なものとは思えません。なぜなら、社会のさまざまな状況が全く異なる1960年代と比較しても、今後の政策立案に益するところはほとんどないと思われるからです。

なんつーか、ウヨクの意見の馬鹿馬鹿しさにはあきれますが、サヨクの意見も、このブログ記事のようなごまかしめいた揚げ足取りやネガティブ・キャンペーンが多くて、いまひとつ信用できないですね。
あんまり左右対立に興味のない人間からすると、信頼できる情報が少なくてめんどくさいです。

bushimichibushimichi 2012/12/14 14:26 バブル崩壊以降の経済悪化に伴い生活保護者が増えたことに焦点をあてるべきで
高度経済成長前の日本の話を持ち出すのは、比較対象として不適切かと。

さてさて 2012/12/14 15:36 なんでしょうねこれ。
こんな比較の仕方はおかしい。
「増えてなにが悪い」・・・頭おかしい?

りあじゅりあじゅ 2012/12/14 16:12 突っ込みどころ満載じゃないか!w

kkkk 2012/12/14 19:17 額と率、どちらが正しいものの見方なのだろうか・・・。

韓信韓信 2012/12/14 23:58 「生活保護が増えてない」はいいすぎだと思うけど、
高齢者の割合が増えて、景気も悪いという状況じゃある程度は生活保護が増えるのは仕方ないと思う。
だがそれを受給者のモラルのせいにしてる人がいるのには腹が立つ。

読書家読書家 2012/12/15 00:01 生活保護に関してはテレビは不正受給の事ばかりを騒ぎ立て本質的な議論をしてる所は書籍ぐらいですよね。
テレビにノセられて吹き上がってる人達は、普段「マスゴミ」という割には、自分で生活保護や社会保障についての本を1冊も読まず、実態を知らないで語る人達が多い。
受けるには三親等内の親族に養える人が居ない等々「補足性の原理」すら知らないで騒いでる人が多い。
不正受給も全体の0.4%という数字すら知らない。
捕捉率も先進国でぶっちぎりで低い事も知らない。
生活保護のここ数年の急増は主に、「無年金」と「母子家庭」といった他の社会保障がザルな故の最終的なしわ寄せがきてる事が実態ですね。

k 2012/12/15 01:58 欧米先進国との単純比較って意味があるんですかね?
これいつも疑問に思うのですが……
戦後との比較はまあなんとも笑

ただ生活保護は必要な人にきちんと行き渡らなくてはなりません
そしてそれが好奇の目にさらされることは断じてあってはなりません
私が望むのはそれだけです

jj 2012/12/15 05:30 生活保護者のバッシングが取りざたされているが上記のように弱者に対しての保護である。
企業の非正規や契約社員の賃金が保護費より少ないことに異論が出ていないのは何故?
最低生活保証の生活保護費より1ヶ月の賃金が少ないのはおかしくないのだろうか?
また、仮に1ヶ月まともに働いても一人が食べていくのにやっとの賃金を
なんとかしなくては・現実をもっと詳しく精査するべきで企業の低賃金を推奨する割には
政府は何も言わないどころか法人税の引き下げすら言っているのは・・
生保を少なくするには生保より賃金を上げて少しでも楽な生活を楽しめるように
するべきではないか?

morishitamorishita 2012/12/15 16:29 財政を理由に安易に引き下げるべきではありません!
不正受給者を厳罰にせよ

morishitamorishita 2012/12/15 16:29 財政を理由に安易に引き下げるべきではありません!
不正受給者を厳罰にせよ

ohsuiohsui 2012/12/16 12:52 勉強になります。
正直、私の理解は「デフレ乙(最低賃金が生活保護より下じゃなあ、政治の責任だよなあ)」
くらいが関の山ですので、
※欄も含めて、これからもさらに勉強をしようと思います。
ありがとうございました。

生活保護5割カット生活保護5割カット 2013/01/23 12:27 生活保護自体は悪じゃないが、生活保護の支給額が高すぎるのが問題にされているのでは?
今の生活保護は年金の倍額、平均賃金と比較しても破格の支給額。
本来の弱者はワーキングプアなどであって、現状の生活保護者は弱者でもなんでもない。
生活保護費を現状の半額にするか、住居食事をすべて現物支給にして現金支給はしない形にするのが
妥当でしょう。

私も愛国者私も愛国者 2013/01/27 20:22 生活保護の水準は、憲法にある「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するためのものです。
つまり、生活保護の水準を引き下げるということは、「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を引き下げるということです。
最低賃金や国民年金の水準より生活保護の水準が高いからおかしいというものではない。
そもそも、最低賃金や国民年金の水準が低すぎるのがおかしいのでは?
最低賃金や国民年金の制度を始めた時に想定していた状況が、現在の現実とは違うのですから。
「最低賃金(スレスレ)の仕事に就くのは、一家の大黒柱ではなく、扶養者のいる主婦や学生」
「国民年金加入者は自営業者や農家だから、年をとっても年金以外の収入がある」
こういう想定で始めているのですから、
「扶養者はいないけれど最低賃金の仕事に就いている」「自営業者や農家ではなく、年金以外の収入はない」という方々の収入が、生活保護の水準を下回るのはある意味当然(よいというわけではないですよ)です。
最低賃金を引き上げなくていはいけないでしょう。他の先進国(とくにチップの習慣のない国)と比較してみたいです。金額、平均所得との比率などを。
今すぐ、何とかする方法としては、年金を受けながら、最低賃金であっても働きながら、生活保護水準に満たない分を受給することができます。もちろん、保険や貯金があってはだめですが。

elsewererelsewerer 2013/01/28 04:03 私も愛国者さんのいう
「生活保護の水準は、憲法にある「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するためのもの」
という考えには賛成です。

不正受給を厳しく取り締まることは当然であり、これをもっと厳しくしようということなら話はわかりますが、生活保護を削減しようというのは…個人的には反対です。
が、選挙を控えて国民が議論を尽くした上でこうなったのですから、しかたないかなとも思います。

自民党はこの政策を公約に掲げて選挙を戦いました。
これを本当に止めたいと思ったのならば、国民は自民党に勝たせるべきではなかった。
本当にこれが国民にとって必要であれば、共産党が圧勝していたでしょう。
国民は「トータルの政策として」生活保護の1割削減をやむなしと答えたということです。

私は自民党になれば当然これをやってくるだろうと思っていましたが、これには反対でした。
しかし、憲法改正をして欲しい、自国領土をきちんと防衛して欲しい、教育水準をもっと上げて欲しいという思いから自民党に投票しました。
「2番じゃダメなんですか?」
などとうそぶきながら、国会議事堂内でグラビア撮影をするような議員をまかり通らせる…そんな政党には任せておけないからです。
国会の赤じゅうたんの上でポーズを取って笑っているような議員には、生活保護を受けている最底辺の民衆の気持ちはわからないと思ったからです。

自民党は確かに生活保護を削ると公約した。しかしその一方で
「仕事にちゃんとつけるようにする。経済対策だ」
との公約もし、現に円高は是正されつつあり、また株価も8500円から1万900円超へと急上昇しています。
これが続けば、
「生活保護を受ける必要のある世帯」
そのものが減るというのが自民党の主張でしょうし、それを支持した人が多かったのだと考えます。
そうして、私自身もそれを支持します。

生活保護は、「次善の策」です。誰も国に養ってもらうことがベストとは考えていません。
失業しないこと、自分で自分の生活を支える社会へ進めることが「ベスト回答」なのです。

もちろん、そこに至らない人もいますから、私は生活保護の給付水準削減には反対です。しかし、今のところこれは見守るしかないでしょう。

私も愛国者私も愛国者 2013/02/02 15:35 elesewereさんの、生活保護が次善の策であり、失業しないこと、自分で自分の生活を支える社会へ進めることがベストということには同感です。
わたしが今の政権を恐ろしいと思うのは、そこに至らない人(非正規雇用(一般的な事務職などにも派遣社員を使えるように法整備がされたころ、「(企業業績を守るための)雇用の調整弁」という言い方をしていたのを覚えています)を増やした結果、景気が悪化すればなれば、昔とは比べ物にならないほど容易に職を失います。また、そうでなければ「雇用の調整弁」になりません)もいるということをわかっていながら、「雇用の調整弁」にされた人その他のことを、政権党(になろうとしていた者)が説明もせず、誰もが怒る不正受給のことを大きく宣伝して、直接関係のない給付水準削減を公約したこと(またそれが支持を集めたこと)です。「坊主憎けりゃ袈裟まで」で、悪い奴に似た者をたたいてガス抜きを図っているように見えます。ガス抜きの対象はいつ何時、誰が必要とされるかわかりません。イジメのターゲットみたいなものです。
ついでに民主党政権ですが、いろいろバカなこともした者もいたと思います。ただ、あの「2番じゃダメなんですか?」は、世間で言われているようなものではないと思っています。テレビで見ましたが、あれは、「2番でよいので金をかけるな」という意味ではなく、「巨額の税金をかけてでも、1番でなければならない説明をしてください。いい機会だから科学技術・基礎研究の意義を国民に説明(宣伝)してください」という意味だと思いました。教養講座番組によくいる「きき手」の役をやっていたのだと思っています。しどろもどろになった高級官僚が解説者として勉強不足(まさか政権の足を引っ張った?)なのです。

denkiirukadenkiiruka 2013/11/13 20:16 制度として作ったのだから、当然補足率100%を目指すべきでしょう。
20%って、何のための生活保護なんでしょうか?

不動明王不動明王 2014/02/27 22:51 生活保護費少ない、天涯孤独で、仕事したくても、できません、知り合いは、夫婦友働き、祖母の年金、障害手当、子供手当、の家族リッチですよね

皇帝ネロ皇帝ネロ 2014/03/30 12:25 難病と精神障害で差別されているのか仕事に採用されません。隠してなら

短期間でなら何とかなると思うが。一か月持たないので。

今は生活費も赤字状態です。自民党に票いれたやつは出てこい。謝罪しろ。

明らかに難民としての項目に当てはまりますよ。生活できないのでは何のための政府だか。

生活保護費を返さずに海外に難民申請したら永久に自民は政権を失うんだろうな。

外国からも叩かれて。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証