最高の「会社」とは?(その3)

さて、今日も最高の「会社」とは何か?について考えていきたいと思います。
 
今日も参考書籍は、
「野村の「人生ノート」夢をつかむ特別講義(野村克也野村克則著)」です。
この本を読み、私は野村監督の深さを改めて実感しました。
本当にオススメの本ですよ。 
 
前日のブログでは、「人間的成長」が、
メンバーの「貢献」とそれによって醸成される「信」の循環を回す原動力になると
書きました。
なぜなら、利害が対立する「会社」と「各メンバー」において、
「各メンバー」の「人間的成長」のみが、両者にとって共有できる「喜び」だからです。
この一点において、「会社」と「各メンバー」の利害は一致します。
そして、「人間的成長」は「各メンバー」の「人生」における
「目的」の一つとも言える究極のテーマです。
 
ある意味、「会社」は「人」が成長するための場を提供する脇役に過ぎません。
「各メンバー」こそが主人公であり、
「会社」は「各メンバー」の「人間的成長」により、結果的に発展していくのです。
 
さて、この「人間的成長」。
社内で、「あいつは嫌い」だとか「あいつは使えない」なんて言っていたら、
「人間的成長」なんてものができる訳がありません。
 
野村監督は、「縁」をとても大切にされているそうです。
書籍で、元総理大臣の中曽根康弘氏の「縁」に関する言葉を紹介しています。
その言葉とは、「結縁、尊縁、随縁」。
「縁を結び、縁を尊び、縁に従う」という意味です。
広い世界でその人と出会ったということは、それだけで何か意味があるということ。
損得など抜きにして、
そういった「縁」を大切にすることで人生は豊になっていくと野村監督は語っています。
「あいつ、使えないからいらない」とか「あいつ、生意気だからいらない」とか、
そんな軽い考えでいては、「会社」は「人間的成長」の場にはならない訳です。
 
では、今いるメンバーで、どうやって「人間的成長」を果たし、
「会社」が社会に「貢献」できるようになるのか?
野村監督が挙げているのが、「適材適所」です。
人を育てるということは、
その人間の適性を見抜くことから始める必要があると野村監督は言っています。
例えば、ヤクルトの飯田選手。
彼は高校時代からずっとキャッチャーをやっていましたが、
野村監督は彼の天性の「俊足」と「強肩」という身体能力を見抜き、
外野の守備に配置替えされ、
結果チームになくてはならない存在として大活躍をすることになります。
野村監督は、その人材が持つ「他の人間が努力しても得られないような能力」に
着目することが大切だと言っています。
そして、それを発揮できる場所を与えることこそが、人材と組織を伸ばしていくのだと。
 
もちろん一般の「会社」は、プロ野球のような選ばれた人達の集まりではありません。
しかし、当然「各メンバー」は皆、全員異なる資質を持つ存在です。
自身の相対的に優れている部分を発揮できる場を与えられることは、
「人間的成長」の大きな原動力となります。
 
できうるならば、
従業員をその所属部署という型にはめ、決まった仕事のやり方を押しつけるのでなく、
従業員のポテンシャルを発見し、彼や彼女に見合った場所と機会を与え、
従業員自ら気付いたやり方を編み出させる方が、
俄然従業員の「成長意欲」と「貢献意欲」を引き出せる訳です。
 
3日間にわたって考察した結果、私は、
最高の「会社」とは、従業員の「人間的成長」を第一に位置づける会社であると考えます。
もちろん、経営者も一緒に「人間的成長」をしていかないと、
従業員と「喜び」を享受できない訳です。
 
これは、口で言うほど容易いことではないと思います。
「お金」や「名声」でなく「人間的成長」が「人生」の「目的」であると喝破できた人だけが、
こういった最高の「会社」を創れるのだと、私は考える次第です。
そして、そう喝破できるようになるには、「人生」への熟慮が必要だと、私は考えます。
 
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