欲望という名の暴走列車・岡崎京子『ヘルタースケルター』


ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)


美容整形という手段を手に入れたそのときから、私たちは“諦める”という美徳を捨てたのだ。決して完璧ではない容姿、年齢とともにおとろえていく肉体を“受け入れる”ことを拒絶したのだ。ということを以前、中村うさぎがいっていたのを思い出した。


全身整形モデル、りりこのキャラクタは痛々しさと同時に、どこか突き抜けた清々しさを感じさせる。ジェットコースターのような物語は加速する。最後の破滅に向かって、はじめから決まっていた終わりを終わるまで。


それでもラスト、タイガー・リリィは笑っていた。


脂肪と言う名の服を着て 完全版

脂肪と言う名の服を着て 完全版


ダイエットには向かないダイエットマンガ。これも中村うさぎが対談でいっていたことだけれど、脇役のエステテシャンとその同性の恋人以外、まともな考えの人間がひとりもいない。僕らはみんな病んでいる。


身体の感覚、自身の身体の評価を他人にゆだねることのどれほどおそろしいことか。