日々の研究

2016-05-25 水曜日

課題研究(卒研)アインシュタイン論文:議論を補間しながら説明をするというセミナーで、数ページ進むのに膨大な時間をかけている。今日は、僕が思っていたのと違う方向で学生が補間してきたが、途中で止まったので、じゃぁその方向ではこんな感じか、、と前にでて説明してしまったが、何かおかしい。さくっとやりすぎてしまった気がする。冷静にノートを書いてそっちからいくとどうなるのかはきちんと抑えないといけない。というので、来週も同じ部分をもう一度。その部分について、現代的にもっとも素直な補間は終えたが、原論文との対応がまだとれていない。それにその前の議論も宿題にしていて、、。おぉ、このペースでいくと、(スカスカフォーマットで17ページしかないのに)夏休みまでに終わらないかもしれない。完璧に理解する、というのは楽しい作業だし、解説ノート出したいんだが。。

研究:朝、アイデアが降りてきたのだが、夕食後検討してボツになった。今日もダメだった。やばいなぁ。。

2016-05-24 火曜日

色々混乱したり、無駄な計算をしたが、やっと自明な整合性の確認がとれた。運動方程式に対するボゴリューボフスタイルの摂動が経路積分の鞍点条件の摂動と一致すること。当然といえば、当然なのだが、その一致の仕方に「思い込み」があったため有効作用で混乱したのだった。(あれ、、待てよ、テクニカルにひとつおかしいな。なんで、あの項なくても大丈夫なんだろう。もう一度清書しないとミスしているかもしれない。)いずれにしても、構造ははっきりわかった。独特な方法で解をつくっているので、経路積分でみるときには不自然なまでに歪みまくっている。さて、どうしたものか。

2016-05-23 月曜日

ノートを書いた。久しぶり。。まずは、忘れないうちに、ばね定数がゆっくり時間変化する調和振動子の系統的摂動論について。WKB型でなく、Bogoliubov 仕様。他の特異摂動との関係でいってもこっちがよいはず。

夜はレポート採点の予定だったが、やはり有効作用を考えてしまった。時間の浪費。どういうことがおこっているのかは分かってきてが、....。

2016-05-22 日曜日

うーむ。ある函数がある汎函数の最小できまるとする。この最適解をきめる変分方程式には複数のスケールがあって、短いのを摂動的に消去して、解を摂動的にかくことができる。(特異摂動の典型的問題。)そこで、変分汎関数にも複数のスケールがあるので、短いのを摂動的に消去し、有効的な変分汎関数をつくる。で、簡単になったその変分汎関数の解をもとめると、前者と違うんだよな。前者は正しいので、変分汎関数のつぶし方が間違っているらしい。無茶苦茶基本的なことなのだが、理解できていないようだ。そもそも、力学系をやっていた期間が長くて、運動方程式を縮約するのはプロだと思うが、汎関数をつぶすのは理解が甘いかもしれない。(有効ハミルトニアンとか有効作用とか、、そりゃ計算したことはあるけど、ぎりぎりのところでのたうった経験はないかも。)ま、そういうことを学んだ。

2016-05-21 土曜日

終日、計算しながら考えていた。途中までは、復習もかねて、もっとも綺麗な形式化を確認し、午後後半からそれを踏まえて本番に入った。いけそうだ、と思ったが、やはりうまくいっていない。なんでだ。例えば、ばね定数がゆっくり変化する場合の調和振動子の断熱定理はランダウにもあるもっとも初等的な例である。この系統的な摂動というのは実は自明ではない。勿論、丁寧に組めば、形式的摂動論はできる。(これ自体、色々なやり方があって、自分がもっとも自然だと思うのも忘れていたけれど。駒場の最後の講義のはベストではないのしか思い出さなかった。)ただ、この形式的摂動論では、ゆっくりでないときのエネルギー変化のずれを摂動的に議論できない。摂動パラメータに関して真性特異点になっているから、いわゆる、非摂動論的方法を考えないといけない。ランダウの特定版では議論されている。

 そういうことをぐっとこらえて、ともかく形式的摂動論を組んでおくことはできる。これを横におくと、ネーター論文で議論した諸々を明示的に見ることはできる。作用の引数を制限するとき、どんな軌道たちに制限するか、というのはわかる。(ここまでは夏にやっていて、それを一般化したはずなのに、あまりにも展開が早くて多すぎて、記憶から消えていた。学会でわたなべはるきさんの質問に間違って答えてしまった。この2,3年でこういう記憶が本当ダメになった。)今日やっていたのは、作用の引数を制限して、対称性を出すのでなく、有効作用を導出して、そこに対称性を見出す、ということである。系統的な摂動論ができているのだから、それに対応するような作用に関する摂動論ができる気がした。その leading をみることでそこに自然に対称性がある、という形をみたかった。

 これができると、実は、視界が一気に広がる「道」がある − というのがこの1ヵ月のたうって分かってきたことである。

2016-05-20 金曜日

GW明けのイベントラッシュの最後を飾る会議があって、疲れた。それでも、研究の議論が2件あって、大きな刺激を受けた。どちらも全く新しい着想にもとづいて面白いかもしれないことがでそうな感じになっている。

 ひとつは、定常状態熱力学(SST)。人生で何度か膨大な時間をとって考えてきたテーマだが、KNST 以降のトライアルで僕は敗北感があった。Hatano-Sasa を使った計算とか、そういう展開はあるけれど、熱力学の拡張自体はどうにもならないと思っていた。ところが、驚くことを中川さんから聞き、ノートを送ってもらっていた。何か所か論旨の間違いを見つけたのだが、不思議なことに、それらを修正しても結果は変わらない。(中川さんのノートはこれまでに何度もそういうことがあるのでこれらは平常運転。)まだ、完全に納得しているわけではないし、僕の検証は十分ではないが、ものすごく非自明で示唆的な結果になっているようだ。大体、ある種、SSTの基本的動機を根本から変えて再構成するのだが、この道が正しかったのかもしれない。2002年や2008年に自分の限界まで考えたと思っていたが、まだ考え切れていなかった。勿論、まだ完遂するかどうかわからないし、かりに、うまくいったとしても、「だから、どうした?」は残る。非自明な実験は提案できるけれど、それがどういう位置づけになるのかは別の話。いずれにしても、成りゆきが楽しみである。僕が関わってきたテーマというのを除いても、研究として僕が好きなパタンである。ただ、研究の着想は僕ではないし、非自明なジャンプをもたらしたアイデアも僕ではない。

 もうひとつは、確率過程へのくりこみ群RG。しかも、手法としては使い古された摂動的RG. 南さんが研究員としてあるテーマに取り組んでいたのだが、当初狙っていたところから脱線して、摂動的RGそのものと延々と戯れている。まだ、全体の風景がみえておらず、話をするたびに迷子になるのだが、少しづつ理解が増えてきている。しかし、摂動的RGに対して、こんなことを考えている − ということ自体が今のところ見たことも聞いたこともない。どういうゴールが待っているのかまだ確信できないのだが、これも研究としては好きなパタン。これは、研究の詳細は全て南さんで、脱線のきっかけになった発見も南さんによるもの。

 

こうしてみなさんの素晴らしい研究結果を聞いて、研究の方向性について議論したり、細部について議論して、楽しい時間を過ごす − というのはもちろんいいのだが、これで研究した気になってしまうのは、今の僕がもっとも恐れていることである。そういうシニア研究者だけにはなりたくない、とずっと思ってきたし、今も思っているので、楽しい反面焦りもでてきた。僕自身はGW中に没頭したことが敗北したまんまで、何とかしないといけない。そう思って、今日も夕食後はあれこれのたうっていた。論文を大量に読んだせいもあって、何となくの方針が生まれてきて、今日はかなり明晰な言葉で、「まず、これをする」「つぎに、これをする」という風に小問に分解できた。その第一問にとりかかっていて、何とかできそうなところで寝る時間になった。いけてくれぇー。変な話だが、研究者生命がかかっている。

2016-05-19 木曜日

何と2ヵ月もあいてしまった。学会で発表して、そのまま行方不明になったかと心配された方もいるかもしれないが、体調は悪くないです。3月は先端研究拠点事業の報告書のストレスがあって、4月に入って色々な書類を出し続けて、イベントがたくさんあって、毎日、くたびれ果てていた。終わったわけではないし、これから始まるしんどい仕事もあるけれど、なんとなく年度末年度初めモードが終わった感じになった。

論文の赤入れも僕のところで止まっていて申し訳なかったり、そもそも自分の本やら論文やらノートやらは何一つ手をつけていない。GWの半分くらいなど、あいている時間は、全部研究につぎ込んでいた。エントロピーのネーター話の量子版を考えていたのである。結果として読んだ論文は膨大になったし、ちょこちょこノートに書いたアイデアも膨大になってきたけど、どうもばしっと方針が見えない。何度も見えかけたと思ったのだけど、時間がぶつぎれになるせいか、もう頭が動かなくなってしまったせいか、違うんだよなぁ。それでも、ひょんなことから、僕たちの論文に対する杉浦さんのコメントをしって、これは大いに盛り上がった。(今も盛り上がっている。)大体の方向性として、結果としてそうなることを見せるのが第一歩と思うし、まず間違いなくそうなっていると確信しているんだけど、式で綺麗に見せれない。

中々辛い。ここで詰まっているから、論文やら本やらが止まってしまってしまい、リズムが悪くなる。まぁ、しかし、寝る直前に量子論の論文を膨大に並べて、あれこれ考えている毎日は自分でも全くの想像外である。面白いもんだな。解析力学については、学生時代の自分の理解を超えはじめた。インドからの帰り道で、時間並進対称性からネーターでエネルギー保存則を出すのに苦労するくらいに何もかも忘れていた。30年くらい離れていたからなぁ。そこから過去の自分においついて、逆転した。量子論については、まだ初心者モードで過去の自分の足元にもきていないが、そのうちに何とか。。

熱力学や統計力学だって、30才を超えてから(研究に駆動される)再勉強をして、理解が深まってきたのだから、50才を超えて(研究に駆動されて)解析力学量子論の再勉強で理解が深まるのはあっていいじゃないか。とはいうものの、記憶力の激しい低下と戦いながら不安はいっぱい。