日々の研究

2016-11-26 土曜

休養... というわけにいかず、大学へ。集中講義中の腰痛は何とか持ちこたえたが、やはり相当にがたがきている。足がしびれる感じになっている。(ちなみに明日も終日業務だぜ。。。倒れるかも。。)

刺激をたくさん受けたので、精神的には活発な感じがする。帰宅してから、体をいたわるように横になっていたが、うたたねの後でひとつ分かった。集中講義の最後のコマで、平衡状態の特徴づけ、という無茶な問への一試行を説明した。そこで使ったある鍵テクがあるのだが、本郷さんに「それは射影になっている」と指摘があった。それを確認して、確かにそうなのだが、この射影はひょっとしたら、、、と手を動かしてみると、川崎先生の非線形射影そのものではないか。そうか、、非線形射影って、「ぶち」だったのか。その鍵テク演算のことを「ぶち」という擬音語で説明していて、その「ぶち」のことはこの1か月結構考えたのだった。多分、初めて、非線形射影の本質の影が見え始めている気がする。(これまでちっともわからなかった。始めて計算をフォローしたM1のときに計算は追えた。関本さんの本などでテクの気持ちは分かった。しかし、そもそも最初の"slow variable"がどう定義されているかが不明なまま、形式的にそこへの非線形射影を考えても無意味、、というところから一歩も動けなかった。今回、やっと、そこを動かせる気がする。)そこで、研究を開始するために、まずは非線形射影の方法(形式論)について整理整頓した。形式的なことは終了。ここからが本番。。。まずは、この例題だろう。。。時間切れだが、ちょうどいいので、ここまでを月曜日の研究室セミナーで喋ればいい。その後、火曜日午後のオムニバス講義の準備をした。これは、香港会議のスライド案も兼ねることにした。

2016-11-25 金曜日

3日間(12時間の)集中講義終了。とにかく睡眠をとること、食事をとること、休養をとること、をまず自分に言い聞かせた。12時間を走りきる、というのが第一の目標であり、そのためには、体力のほとんど全てを講義にあてないといけない。次に、腰痛との闘いである。できるだけ負担がかからないように、45分で一度5分くらい椅子に座るようにする。それでも、講義後は何度かやばい感じになっていたが、何とかもった。

 そして、講義。11月に入って、いくつかの案件の他に、論文終盤でのドタバタが重なって、なかなか講義の準備時間がとれなかった。そのため、全体的に精度が低いままになっていた。(講義ノートを何度か書き直して、次第に仕上げていき、最後は完全に頭にロードされたら、そもそも何もみずに講義できるはず。それからはほど遠い。)それでも何とか形になったのは、適切なとことで適切なコメントを入れてくれた参加者の皆さんのおかげである。

 今回の講義を通して、やはり、entropy本を書きたい気はましてきた。エントロピー概論を大学院講義でやったのは2001年度で、15年前だった。あのときも講義しながら勉強して、理解のレベルを段々とあげるつもりだったが、結局、半端なままになってしまった。また、極端に忙しくなってきて、entropyに割く時間の優先順位が低くなった。(エントロピー概論のような話は、研究としては難しい。)今も忙しいが、今回の機会をうまく生かして何か残せたらいいな。

 あぁ、2001年の後は、NESSでのエントロピー概念に没頭していた。これが色々と苦しいので、entropyに戻れなかった。あ、今日の講義後に白石さんと話しをして思い出したが、「過剰情報損失のゆらぎの定理」という論文を2000年6月にarXive にだしている。https://arxiv.org/abs/nlin/0006042 独創性という点だけなら、個人史上最高のものだが、何と査読の途中でやめてしまった。(別にnegative なレポートは来ていない。)あの頃は、あるテーマの研究に没頭すると他のことは捨ててしまう感じだった。NESSでのエントロピーにいってしまったんだな。40才ぐらいで人生を変えたので、それ以前の話。しかし、これを2000年に出しているって、素直に凄いと思う。ただし、その数値実験を理論化することはできておらず、いつか何とかしたい。

 今は、NESS のエントロピー話は、中川さん版で(個人的には)大きく盛り上がっているし、エントロピーそのものもネーターとの関係で(個人的には)大きく盛り上がっているし、これらがうまくいって、あとKSエントロピーと熱力学エントロピーを結びつけることができたら15年前に残した諸々を回収できて大変よいなぁ。。

2016-11-19 土曜日

木曜日の夜、「これでは、査読者と「意義に関する議論」になったときに、ダメだな。」と思い至った。木曜日の夕方、skype で杉浦さん、横倉さんと打ち合わせをして、テクニカルな整理はほぼ完了して、どこまではほぼ大丈夫で、次に何をしないと多くの人に納得してもらえないか、というのを確認した。そういう理解で論文構成の議論もしていたのだが、帰宅後、論文草稿を見てゆっくり検討すると、現状のままだと、肝心の対称性の部分がふわっとしてしまって、主張として成立していない、という判断になった。また、対称性と保存則の話もつくりなおさないといけない状況になっていた。(鞍点評価するときに、積分測度においやっていたのを見落としていて、それが決定的にありとあらゆることを変えてしまう。現状では、作用の素朴な鞍点(定常位相点)は主要な寄与を与えなくなったから。ただし、積分評価そのものは、特定の模型では可能なはずで、これは冬休みの課題。それはそれとしても、作用の対称性からの保存則ではなくて、経路積分のままで保存則を議論しなおさないといけない。もちろん、通常の基底表示の場合には、WT の話と同じなので暗算レベルで再構成できるが、今は、基底が変なので。。まぁ、しかし、それ以前に、対称性の話を正しい地点に戻ってから作り直さないといけない。。)「これは相当やばいな。」といいながら木曜日に就寝した。

そして、金曜日。おそらく、1年に1度あるかどうか、「(当社比で)倍の力がでる日」がきた。朝いちばんに、対称性の話の作り変えの筋が分かったので、速攻でノートに書く。起きてから1時間のできごとだった。そして、深夜、就寝予定時刻25:30前の最後1時間で保存則のノートを書いた。最初、想像と違ってうまくいかなかったが、すぐに道が見えた。そして、その深夜までは、朝の知見の流れに沿って論文草稿の構成を変える決断をして改訂作業をした。昼間はイベントがいくつかあり、事務的な対応をし。。。途中からは記憶もあまりない。最後の保存則のノートを書いているときなどノートがあるのでやったというのが分かるだけで、意識としてはほとんど何も覚えていない。(テクニカルには、とある量の定義さえ分かれば、難しい話ではないのだが..。)

土曜日は、(予定より相当遅れて)東工大でのセミナーのスライドを作った。筋が通ったので、気持ちよくスライドも書けて、よかった。基本的に考えることは少ない。(てふくりっぷがうまく働かずイライラしたが。)予定していた外出をして外の空気も吸ってきた。

2016-11-11 金曜日

土曜日に書いたノートは、計算は間違っていないが、物理の設定で気になるところがあり、それを詰めていた。現在までに、極めて謎い状況にある。平衡条件下の場合に正しい記述は理解したつもりである。マイナーなところでは、20世紀のいくつかの論文は間違っているが、まぁそれはどうでもいい。問題は、そこから非平衡条件下にいけない、ということにある。不思議としかいいようがないが、そういうことになっていて、その残った論旨の「自然な拡張」として、再び、中川SST がでてくるので、結局のところ、中川SSTは死んでいない、ということになっている。ちょっとここからの展開は、すぐにはできそうもないので、しばらく、休憩かな。。これが火曜日まで。

と、それと入れ替わるように、水、木と量子多体系の問題が表にでた。部分公開とinformal な議論を通じて、結局、問題点をふたつ理解した。論文の結果には関係ないが、ひとつは物理の理解ではシーリアスで、ただでさえ分からんのに、ますます分からんようになった。しかし、物理的な考察で得た結果というより、間違ってはいない操作をつないでいって得られた不思議な結果なので、分かっていない段階で下手に物理的な説明をしたらいけない、ということが良くわかった。そういう限界をぎりぎり抑えながら、もちろん、最終的には物理的な理解を目指しつつ、当面は、間違いないことをきちんと伝えるようにすることに焦点をあてる。もうひとつは、計算の初等的な話で、ちょっとうっかりしていた。きちんと詰める前にしていたところがあった。(こういうのは良くない。論文が終盤にいくにつれ、かなり詰めたつもりだったのに、見過ごしてしまった。深く反省。)

2016-11-05 土曜日

朝、うーむ。一気に計算がおわってしまった。

90年頃の僕を召喚して、トップスピードで最後までいった。形式的に綺麗な方法、計算が早い方法、(係数はともかく)定性的なことを抑える物理的な方法、、などなどの方法があるのだが、今回はまずは3番目ですすむ。系統的な計算は(それ自体の意義はあるとはいえ)後回しで、まずは結果を知りたいから。(中立安定な)解の族から(実験で観測される)ひとつの解を抜き出す方法として、「変形法」と個人的によんていだものを使う。20年近くご無沙汰していたとはいえ、さすがに、長いこと解析力学やってませんでした、、とはわけがちがう。やりはじめたら、かなりの高速で問題が見え始め、計算もできはじめ、そして、ひととおり終わった。(3月までには終わる、、、と言っていたのだが..。)1週間前の計算は、そういうことを回避して計算できるかも、、と勘違いしただけで、今回はそういうのではない。そして、おそらく計算間違いはない。ただ、途中でふっとばした、作業仮説的なものの妥当性は厳密には間違っている、あるいは、不完全な可能性はある。

で、結論。中川さんのSST の予言とは一致しない。むしろ、何も考えずに、(厳密にいうと理由はないのだが)、えいやぁーと思い込んだのと一致している。問題を解くなかで、中川さんのSST的な構造に似てきたので、これはもしかして..と思ったのだが、最後のところで別の道にいった。

さて、、と、どうなるかな。このまま勘違いがなければ、やはり、SST のような都合のいい話はない、というのが合理的だろう。(相当に非自明で綺麗な話なんだけどなぁ。)勿論、さっき終わったばかりなので、設定等で大きなポカをしている可能性はある。でも、ここからの逆転は、驚きだが。ノートはまだ書いていないので、後日に書く。

量子多体系の対称性の論文の編集にもどろう。中旬には公開できるよう、頑張る。。

SST問題:やはり、微妙な問題なので「物理的にすっとばしているところ」が気になるかな。超絶フォーマルな方法もわかったので、そっちでノートを書くかな。。(うにー。優先順位を間違えているよなぁ。)

ノートを書いた。設定と計算を完全に分離し、後者については(すっとばしや意味不明な近似は一切なく)一点の曇りもなくなった。前者の設定 − つまり、考えたい状況を式で表現する部分については、分からないこともある。渋い学問的問題として面白いこともある。。しかし、主たる目的だった大域的熱力学関数を使った形式とのマッチングは相当に苦しい状況になった。

2016-11-03 木曜日

月曜日、量子多体系の対称性論文のdraft7を作る。火曜日、講義。水曜日、卒研。

今日は、気になっていた問題に没頭した。(To do がたくさんあったので優先順位的には間違っているのだが、仕方ない。)でも、もやもやしていたことを概ね整理整頓できた。復活SST に向けての計算である。数学サイドからは、SSTと無関係に、ある偏微分方程式の解析をしたい。「解の選択問題」とカテゴライズしていた問題で、実は、僕は、博士課程のときにかなり極めた。方程式に安定な解がたくさんあるのだけど、現実に観測されるのはひとつに決まる場合が結構ある。それを決める論理は何か、という問題である。問題の分類や解法の分類など、相当な知見を得ていた。が、論文はひとつも書いていない。自分では新しいことができなかったからだけど。。(90年代にhttps://arxiv.org/pdf/patt-sol/9506002.pdfをひとつ発表しただけ。291回も引用されているが、僕はこの問題をそれ以降研究していないし、会議で発表したこともない。思い入れはほぼないし、独創性もあまりないと思っていたが、今読むと、高質で独創性も少しはあるかな。)歩きながらイメージはあったのだけど、中々式にのらない。先週の金曜日にできたと思ったのに間違っていたやつ。。

1日かけて途中の峠までいった。80年代に僕が考えていて、かつ、論文とかでそうポピュラーになっているわけではない考え方を使う。まさか、ここで生きてくるとはなぁ。。今回は問題が全然違う。この問題は、yes ならSST復活祭が始まるし、No なら人生においてSST に終焉をうつ。そういうギリギリなところまでいっているところで、これを使うか、、と。まだ、yes or No は決まっていないけれど。。

例えば、PDE系に対して界面の相互作用を計算することはできるけれど、PDE にポテンシャルがあれば、エネルギー論的考察が使えて標準テクニックが使える。しかし、界面相互作用はポテンシャルがなくても有効であり、具体的に発展方程式から直接計算できる。今回の話は、非ポテンシャル系の界面相互作用系に対して、”ポテンシャル”を定義可能にするフレームワークにみえる。素直には積分可能条件がないのに、かなり巧妙な変数のとりかえで積分可能にできる、というような話に近い。まだできていないのだが、そういうことを形式化することができるように思える。中川さんのSSTは、それを「発見論的に」定式化した、のかもしれない。そういうところに落ち着いたら、理論的にも相当に面白いことになっているが。。(今のところはできていない。とある関数がとあるクラスになることを言えればいいのだが、うーむ、成り立ちそうもない。)しかし、面白い。特異摂動をばんばん使う話と熱力学をばんばん使う話が同じ紙の上に書かれている。(特異摂動のときの)この可解条件がぁ、、というところにあるのが自由エネルギーだったりするので、これはもう何のこっちゃ、、と。[ネーターのときもそうだった。対称性の条件である偏微分方程式の可解条件がぁーというところでエントロピーが登場した。]

そういえば、25年前に結婚式をしたのだった。

2016-10-30 日曜日

土曜日は公務があった。結構な頻度で土曜日に公務があり、かなり消耗する。平日の用務の数倍疲れる。(できるだけそうならないようにしたいが、昨今では大変難しい。だから研究会などはできるだけ土、日を避けるように希望しているが、希望どおりにならないことが多い。)いつもよりは早い帰宅だったのに、疲れ果てて色々な仕事ができなかった。

今日はまぁ元気で、順番に仕事している。

エントロピーのノート:式の上ではやはり自明で、既知事項の整理整頓にすぎないが、何か未来への手がかりがあるようにも思えるので、もうすこし丁寧に整理を続けたい。優先順位はあとだが、赤入れだけは昨夜したので、何とか今日中にversion をあげたい。

量子系の対称性論文:今、編集権は僕のところにないが、修正する箇所があったのでその部分だけ書いた。昨夜からやっていたが、昨夜は疲れていたせいか、うまくいかなかった。ほんの僅かなのに。。11月中旬公開を目指している。(どんどん遅れているが。。)

伊丹論文の改訂:ざっと見た限り大枠はいいような気がするので、それほど時間はかからない気がする。

SST: 金曜日の夜に分かったことをテフノートに書いていたら、一か所間違いが見つかった。あらら。"原理的には"数値積分が増えただけだが、これは複雑だな。それに何か物理を間違えている気もする。これは痛い。。まぁ、そう簡単にはいかないか。。