金曜日

調査委員会が当初に想定したよりも事態がずっとひどかった。そして、それは外部からの指摘で明らかになったので、速やかに対応できる体制ではなかった。仮に僕が調査委員長でも当初の想定は甘かったかもしれないし、事態の急変に対応できなかっただろう。それでも、緊急事態の認識をもっと明示的にして欲しかった。
 具体的に、2/20 に笹井氏と小保方氏より「画像の取り違え」として調査委員会に申し出のあった事項は、今週になってそれは「画像の取り違え」でなく、「学位論文からの直接切り貼り」であることがほぼ確定していると僕たちは理解している。(調査委員会の理解は?関連する質問をしていたようにも思うけれど、よく分からなかった。)つまり、画像が二つあってどっちを使うかという混乱が生じたという説明は成立せず、笹井氏と小保方氏は虚偽の説明を調査委員会にしたことになる。この点についての事実認定がまだできていないなら、調査委員会は事態の深刻さを認識できていないことになる。
 この虚偽の説明は大変まずく、所属機関の調査に対して非協力的であることを示している。申し出をした笹井氏と小保方氏について、その申し出に至った経緯も含めて調査すべきである。また、このことは、「研究室封鎖しなくてもよい」という調査委員会の当初の判断が間違っていたことも示している。判断が甘かったことを率直に認めた方がいい。甘かったこと自体は理解できるので、それを踏まえてどうするか、ということが大事なのだから。
 鍵言葉的に使われていた「未熟な研究者による杜撰な行為」と「チーム間の連携不足」が通用するのは3/8までだと思う。学位論文の画像からの切り貼りで論文投稿するのは、「意図的に不正行為を行ったか」、あるいは、「科学としての作法を知らないままに不正行為を行ったか」のどちらかである。前者の認定作業で「NO」になった場合には、後者で「YES」になり、そもそも研究者ではないと認定せざるを得ない。事態はさらに深刻である。そして、僕は後者だと推測していた。通常の不正行為の調査で後者のようなことが関わってきた事例はこれまでにないと思う。
 今日の日記で、小保方氏を実名表記に変えたのは、「2/20に笹井氏と小保方氏より「画像の取り違え」として調査委員会に申し出があった」という事実を知ったからである。これには意図があると考えざるを得ない。調査に対して事実でない説明を述べるのは、科学の作法以前の問題だし、証拠隠滅にもつながる行為だと思う。主語が「笹井氏と小保方氏」になっていることに注意したい。
 質疑応答で、笹井氏のイギリス出張云々というやりとりがあったが、何故出張できるのか僕には全く理解できない。僕がセンター長なら、出張取り消し命令をすぐに発行する。