無様な自分を省みて

放射能ガレキを受け入れたら私は自殺します」

秋田県大館市の市役所の壁2カ所に書かれていたそうだ。
ふ〜ん、そうですか。どうぞ、どうぞ。

放射性物質は拡散しないに越したことはない。しかし、受け入れを
表明したり検討している自治体は、どこも「基準値以下」と言っている
ではないか。

影響を心配し、震災瓦礫の受け入れに難色を示す人の気持ちが
分からない訳ではない。だが、ここまでやってしまうと暴力以外の
何ものではないではないか。

落ち着けよ、脱原発派。

『タブーの正体!──マスコミが「あのこと」に触れない理由』(川端幹人
 ちくま新書)読了。

既に休刊して久しいが私の愛読誌であり、「タブーなき反権力ジャーナリズム」
を謳い文句にしていた「噂の真相」。その元副編集長の筆になるだけあって、
期待に違わぬ。

「第4の権力」とも言われるメディアは、本来であれば権力及び権力を
行使する者に対しての監視機関であった。

しかし、チェック機能は失われるどころか権力側を慮って自主規制に走る。
それは右翼の暴力的抗議や部落解放同盟の吊るし上げの他、メディア
各社の経済に影響を及ぼす大広告主の広告引き上げの脅し文句にまで
屈するようになった。

公人であるはずの政治家のスキャンダルさえ名誉棄損訴訟の賠償金の
高騰で、おいそれとは記事に出来なくなる始末。

森達也が『放送禁止歌』で書いていたが、所謂「マスコミ・タブー」と言われる
もののほとんどがメディア側の自主規制なのだよね。

メディアも自社を守りたい。それは分かる。しかし、提灯記事ばっかりでは
メディアとしての体をなしていないだろう。

噂の真相」はその刊行中、編集部を右翼に襲撃された。著者はその時の
恐怖を正直に記している点でも好感が持てる。「自分はこんな脅しにも
屈しませんでした」となってしまうと、鼻白むものね。

既存メディアに疑問を持ち始めた人への入門書としても良書。上杉某を
読むなら本書をお勧めしたい。笑。