シチリアの血、マフィアの血

日大アメフト部の学生さんが記者会見をしていた。関西学院大学
QBに対しての行為は決してやってはいけないことだが、きちんと
自分の言葉で質問に答えていた。

見ていて気の毒になって来た。20歳の学生がまともな会見をして
いるのに、日大の監督は「文書で回答します」しか言わなかった
よね。

日本大学は学生を守らない学校と言うことでいいのかしらね。

ゴッドファーザーの血』(マリオ・ルチアーノ 双葉社
読了。

映画「ゴッドファーザー」でマーロン・ブランドが演じたドン・
コルレオーネのモデルであり、伝説のマフィアであるラッキー・
ルチアーノ。

その末裔が日本にいるだと?しかも本を書いたって?これを読まず
にいられようか。いられるわけがない。

末裔と言ってもラッキー・ルチアーノの直系ではない。母方の祖母の
いとこの息子がラッキー・ルチアーノと少々ややこしい。それに著者
が生まれる前にラッキー・ルチアーノは亡くなっているので面識も
ない。

それでもギリシャ人の父とシチリア島出身の母の間に生まれた著者
は、母方の祖父・伯父がマフィアだったことで幼い頃からいわゆる
「ファミリー」に囲まれる生活を送る。

5歳で父と共にアメリカに渡り、ろくに学校にも行かず9歳で既に
ファミリーの運び屋の仕事を手伝っていた。

勿論、そのままアンダーグランドの世界へまっしぐら。アメリカを
振出しにコロンビア、パキスタン、フィリピンへ。

同じようなアウトサイダーの世界の住人は同類を嗅ぎ分ける能力が
あるのだろうか。著者はどこへ行っても「その世界」の人たちと
関りを持つ。

そうして23歳で日本へ。大理石の輸入販売を行っていた父親の仕事
を手伝いながら、山口組傘下の組長と杯を交わし経済ヤクザとなる。
5代目渡辺組長にも気に入られたとか。

それにしても波乱万丈の人生だ。PLOやマルコス大統領の名前は
出て来るわ、肉親の裏切りには遭うわ、そっちこっちで結構あわや
命の危機なんて場面にも遭遇しているのに、現在は既に経済ヤクザ
も引退し、東京都内でイタリアン・レストランを経営している。

マフィア・スタイルでお馴染みの麻生太郎も来店したことがある
とか。

アンダーグランドを歩き続けて来た著者なので、読む方はハラハラ
ドキドキしっぱなしだったが、安らぎを得られる女性との出会いが
ラストの方で綴られているのでほっこりした。

これは映画化して欲しいな。映像にしても面白くなりそうだもの。
表紙カバーの著者の写真もさすがに貫禄がある。

著者のお店、行ってみようかな。店名は「ウ・パドリーノ」。
シチリアの言葉で「ゴッドファーザー」という意味だそうだ。