これは氷山の一角なのかもしれない

国会で頓珍漢な答弁を繰り返している桜田オリンピック・
パラリンピック担当大臣だが、この方、サイバーセキュリティ
も担当しているのね。

でも、ご自身ではパソコンは使わないとか。まぁ、政治家センセイ
の周辺には優秀な側近がいるだろうから、パソコンを自ら操作する
必要性もないんだろうけどね。

お飾りにしても随分粗末なお飾りだな。

『凶悪─ある死刑囚の告発─』(「新潮45」編集部:編  新潮文庫
読了。

延命目的、復讐心、贖罪。死刑判決を受けた人が、公になっていない
事件を獄中から告発するには、様々な動機があるのだろう。

東京・小菅拘置所に収監されている知人を介して新潮社の編集者に
もたらされた情報は、のちに「上申書殺人事件」と呼ばれるように
なる事件のきっかけだった。

告発を行ったのは元暴力団員。身寄りのない資産家、借金苦に陥った
会社経営者等を殺害し、大金を手にした「先生」と呼ばれる不動産
ブローカーがいる。

最初は懐疑的な思いを抱いた編集者だが、元暴力団員との手紙のやり
取り・面会を通じて得た情報の裏付け取材をするうちに、告発が信頼
に値するものだと感じ、月刊誌「新潮45」に記事を掲載する。

隠され続けて来た事件の内容の酷さに背筋が寒くなると共に、この
不動産ブローカーが係わった事件以外にも日本国内で失踪や自殺・
病死として片づけられた裏側で、似たような事件が隠匿され続け
ているのではないかと感じた。

暴力団員が告発した事件は3件だが、「上申書殺人事件」として
不動産ブローカーが裁かれたのは事件に関連した会社経営者の家族
が自白した1件のみ。

事件の衝撃もさることながら、雑誌メディアが掲載した記事が警察・
検察を動かした稀有な例であろうと思う。

新潮45」が本事件を掲載したのは2005年。「文庫版あとがき」で
は雑誌メディアの可能性に紙数を割いている。安倍チルドレンの杉田
水脈議員の論文掲載をきっかけとして休刊してしまった今になってみ
れば虚しさが残る。

表に出ていない事件を掘り起したノンフィクションとしては秀逸だし、
各事件の内容が生々しく迫って来る。ただ、時系列が行ったり来たり
するのはもう少し整理できなかったかと感じた。