精神科医の本音日記

2016-07-26

サインバルタが慢性腰痛症に適応

f:id:satochan8:20110201211525j:image:medium:left 抗うつ薬サインバルタ(僕が今飲んでる薬)が慢性腰痛症の適応を取った。整形外科のDrへの説明に聞きに行ってみてビックリした。まるで同じ薬とは思えないような説明であった。副作用が50%というのだが、確か精神科では90%、と言う事になっていた。精神科では頭痛が20%あり、頭痛対策では鎮痛薬などを併用して下さい、と言う事であったが、整外では頭痛は3%以下なので問題ないとされていた。精神科では服薬後の衝動性の亢進や自殺に十分注意、と言われていたが、整外では治験では一例もなかったので大丈夫、と言っていた。そう言えば、ちょっと前に出たトラマドールという鎮痛剤は、麻薬系の薬で、アメリカなどでは依存が社会問題になっているのに、「依存は殆ど問題に成りません」ってやっていた。整外は昔から結構アバウトな科だったけど、整外Drに抗うつ剤が使いこなせるかしら? 精神科が使いこなせているか?と突っ込まれても困るけど。何れにしろ、現代日本で、薬屋さんの陰謀が進行中!操られる医者も問題ね。

植松聖の責任者は誰だ

f:id:satochan8:20160726210419j:image:medium:leftf:id:satochan8:20150225181325j:image:medium:left今日未明の19人を殺したらしい植松聖(左端)は、精神科病院に2月19日に措置入院し、3月2日に退院していたという。「精神科に入院までしたのにどうしてこの惨事を防げなかったのか」と周囲の人に聞かれる。宅間守(2人目)の時もそうだったし、平野達彦の時も、徳勝もなみの時もそうだ。でも、精神科医なら自傷他害を未然に防げるハズとの思いこみは幻想だ。そんな予言者みたいな事はどんな精神科医にも出来はしない。 確かに昔はアブナイ患者は退院させない事は可能だったし、退院後は責任者(保護者)が見張っていたものだ。でも、今はどんな患者でも、とにかくフローチャートに乗せちゃって退院させるのが目標だから、アブナイ患者はむしろ地域にいるのだ。そして、地域での責任者は誰だか分からなくなっている。精神障害者の脱・施設化とはこういうことなのだと思う。で、脱・施設の先進国アメリカイギリスではアブナイ精神障害者刑務所にいるらしい。名付けて、Dangerous and Severe Personal Disorder。地域での責任者は警察だ。

2016-07-19

向精神薬受難

f:id:satochan8:20160719210901j:image:medium:left 薬は匙加減。でもこの頃は向精神薬抗不安薬抗うつ薬抗精神病薬など)への風当たりが強い。確かに副作用は多彩で、効果は主観的判断になるので、客観的有用となると、差し引きで微妙な所だ。でも、例えば癌末期などのモルヒネなどはむしろ推奨されているし、重症感染症ステロイドなども碌なエビデンスなど無いのに投与されていても文句を言う人はいない。エビデンスを言うなら、漢方薬だってあやしいものだ。抗精神病薬だけが、ケミカル・レストレイン(化学的拘束)なんて悪口を甘受している。精神科医療医療評価されずに、患者虐待非難されるのだ。この頃のガイドラインは皆口を揃えて、認知症の問題行動に対して、先ず非薬物療法で、次に漢方薬。で、ダメな時に限ってごく少量を短期間使うことが許されるのだそうだ。でも、非薬物療法なんて、要するに良い看護介護以上のものではない。良い介護看護は家族に勝るものはないと思う。だったら病院なんかに来る必要はないのではないか? そんなにアブナイ薬なら、精神科がなんでこんなに盛況なのか? 「薬の為に救われた」と思ってる人は何でこんなに多いのか? 保険でも多剤併用がどうのと言いだして、でも、薬を減らすと、せっかく収まってた症状がまた騒ぎ出す人も少なくない。「臨床は匙加減なのだ! 統計学者や官僚が口をはさむ問題ではないのだ!」・・と声を大にしては言ってはイケない様なご時世なんですね。ちくしょう。

2016-07-12

認知症病床が足りない

f:id:satochan8:20130312211245g:image:medium:left 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は6月30日の記者会見で、増加が予想される認知症高齢者への対応策として、精神病床を一般病床に転換させた上で、精神科医と総合診療医が共診出来る態勢にすべきだ、と言った。彼は7万床は必要だろう、と言った。何で一般病床を精神病床に転換じゃないのか、良く分からないけど、ベットが足りないのは間違いない。日本全国で精神科入院の認知症患者は、H11年で2万人がH20年で5万人、H23年で5.3万人となっている。当院でも着実に増えている。救急で引き受けて、でも退院させられないのだから溜まる一方だ。認知症高齢者はこれからも増え続けるのは間違いないし、その増え方は予想以上だ。厚労省は以前より、団塊の世代後期高齢者となる2025年認知症高齢者が何人になっているか予測しているが、H14年では320万人の予測だったのに、H24年の予測では470万人になっていて、H26年の新・オレンジプランでは、730万人と上方修正した。でも、「安心しろ、精神科病院入院の認知症高齢者用ベットは現状以上には増やさなくて大丈夫」とお役人は言う。でも、その対策はと言えば「早期発見・早期治療」らしいから、これはお先真っ暗だ。f:id:satochan8:20110924211713j:image:medium:leftそれに追い打ちを掛ける様に、この頃の介護認定では「介護」とならない人が増えている(「要支援」では施設に退院させられない)のだ。認定者は、精神症状が軽くなった患者を前にして、「自宅で良いでしょ」とつれない。でも、家族は具合の悪い時のことを根に持って、「家では面倒見れない」という。市や県は、「認知症も最後まで地域で」と言ってるけど、誰も本気にはしていない。結局は精神科病院が最後まで面倒見るしかないようだけど、もうそこもいっぱいナノダ。精神科救急の現場では「退院の見込みのない老人は受けるな」になりつつある。2025年を待つまでもなく、今、もう病床が足りない

2016-07-05

韓国・中国の精神科病院事情

f:id:satochan8:20110925184703j:image:medium:left韓国朝鮮民族にはDSM認定の「火病(怒りを抑えることが出来なくなる精神病)」があり、この疾患に年間12万人が罹患する。30万人の呪術師がいて、「精神病は先祖の悪行の祟り」とやるらしい。自殺は10万人当たり32人(日本は23人)。精神科病院が急増中で、ベット数は千人当たり1.58(日本は2.8)。全入院の9割が強制入院。2人の親族と1人の専門医の同意で強制入院が可能で、しかも退院には家族の同意が必要というから驚きだ。病院には無資格の「保護司」がいて、彼らの患者への日常的な暴力が問題になっているという。無認可の入所施設も多く、そこでは患者が鎖で繋がれていて、火事で毎年数十人死亡するということ。
中国では精神病の9割が未治療。最近の精神病犯罪者数は年間1万人。患者による無差別大量殺人が絶えず、刑事犯罪者の82%が精神病者ということ。精神科病院は主に公安機関で運営され、「社会不適合者、秩序乱す者、政府に陳情を繰り返す者、宗教に嵌った者。権力者に反抗する人など」も入所させられているらしい。陳情を繰り返し入院させられた人は「二度と陳情はしない」、と誓約書を書くまで退院させないらしい。地方には、自宅で檻の中、足枷つけて数十年の患者がいる。河北省だけで鉄の檻の座敷牢に10万人。監禁は警察の許可が必要で、村の村民委員会で討論されるということ。女性患者の中には嫁として安値で売られてしまう人もいるらしい。ネットの情報なので、どこまで信じるかは、自己判断でお願いします。

自動車交通事故死は偶発的?

f:id:satochan8:20160705100600p:image:medium:left 73歳男性がアクセルとブレーキ踏み間違えて、横断歩道通行中の7歳児を死なせてしまった事件の公判が先日あった。運転者は執行猶予付きの3年禁固で、裁判官は「事故は偶発的」と言った。執行猶予つきの3年と言えば、自殺幇助並みの扱いだ。児童の父は「○○が戻ってこないのは分かっている。でも、執行猶予判決が出て、相手は普通の生活に戻る。悔しい。判決に納得すれば、○○が亡くなったことを許してしまうことにもなる。つらすぎる」と語ったというが、現代社会ではそれは「許す」ということだと裁判官は思ったのだろう。航空機墜落はあってはならない、と言われるが、自動車事故は目標自体が「減らそう」だ。自殺ゼロ、とか、虐待ゼロ、とか良く聞くけど、確かに、自動車交通事故死ゼロは聞かない。自動車交通事故死は有って当たり前らしい。でも、アクセルとブレーキを踏み間違える事が、本当に偶発的に起こるのか、どうか。偶発的に起こす人が運転免許を持ってて良いのかどうか。日本人男性の健康寿命は70歳デスよ。運転者は病院に通院中だったというが、その病気が運転能力に関係してたのかどうか。飲んでた薬との関係はどうか。高齢者自動車運転について、もう少し真剣に考えないといけないのではないか、と、思う。でも、薬の副作用での死亡、とか、手術死・産褥死などは、リスクの内にして貰わないと、困るけど。

2016-06-28

がん放置療法の波紋

f:id:satochan8:20160628211916j:image:medium:left 去年は近藤先生のがん放置療法が話題になりましたが、先月、その近藤先生の信者(子宮癌、49歳女)が精神科に入院して来た。3年前に癌が見つかった時は手術を勧められたが、拒否。今年2月にメタメタで近くのホスピスに入院したんだけど、そこで「スタッフの態度が気に入らない」と騒ぎ出し、でも、家族が退院を拒否して、僕の知らない精神科開業医が「躁鬱病の躁状態」と診察して、当院に送って来た。同僚のM先生が担当し、「癌の治療や手当は何もしない」という事で入院を引き受けた。でも、子宮からの出血が続いて、貧血(Hb5.4)。当然全身倦怠感で、「苦しいので助けてくれ」、「せめて輸血でも」と本人、家族が言いだした。「治療拒否を撤回するから助けて」とスタッフにすがるが、「今さら何を」とM先生(多分意地になってる)。患者の姿は、所謂癌性の悪液質(カヘクシー)で中世の絵巻に出てくる餓鬼状態で、何かヘドロのようなニオイもする。精神科診断の適否は別にしても、可哀そうで哀れで見ていられない。そういや僕が学生だった頃、○○サナトリウムでこんな人々がいた事を思い出した。癌放置療法はやっぱりヤ・バ・イ・ぞ!!。中村仁一先生などあちこちで「死ぬなら癌で」と言いふらしているが、それは、年取って、「加齢現象としての癌は」、ということだと思う。僕は絶対引き受けないことにしましたね。