精神科医の本音日記

2016-09-27

親父殿ピンチ!

f:id:satochan8:20110210214521g:image:medium:leftf:id:satochan8:20101229181734j:image:medium:left この頃は定期的に親父殿を見に(診にではない)実家に行く。相変わらず失神は繰り返し、遂には主治医の医院の待会室で倒れたが、主治医は「脳外病院に行って」とワンパターン。お袋様が限界で、先週は久しぶりに救急車を呼んでしまった。行った先の某救急センターで意識は回復し(30分の意識障害は今迄で最長)、お手軽検査(脳MRI)のみで「異常なし」で翌日退院(〆て3万円)。その後の家族会議主治医を往診してくれる医師に変える事に決定した。今迄の主治医は、家族からみて「商売第一主義低能(失礼)開業医」にしか見えなかったけど、親父殿本人にとっては「神様の様に尊い」人だったらしいから驚いた。確かに3時間待って2分診察になる位の流行りの医院で、待会室での評判も「今の自分が有るのもこの人のお陰」となっている。去年のOECDの日本の医療システム評価でも、「日本の医療は質の評価がない」と言われていたけど、僕もそう思うようになった。そして、東京の救急システムは一般には評判が高いけど、実際に体験してみるとロクなもんじゃない。死なない薬、若返りの薬がない以上、どうしたって近いウチに死んじゃう89歳の親父殿は、医療難民デス。可哀そうだな・・中村仁一先生のご意見、「大往生したけりゃ医療とかかわるな」、ごもっともです。カトリック塗油の秘跡、バカにしてたけど、とっても大事ですね。日本人の臨終には宗教が足りません。死んでからでなくて、死ぬ前の儀式が必要ですね。

2016-09-20

遺骨の始末

f:id:satochan8:20160920135623j:image:medium:left 熊本地震行方不明となっていた大和晃さんの遺体を、家族が頑張って遂に見つけた。インタビューで父親が「やっと晃が家に帰って来られる」と言っていた。僕の周りの人達も皆素直に喜んでいたけど、僕はどうして骨がそんなに大切なのかがイマイチ理解出来ない。死後の魂があったとしても、死骸は抜け殻なんだから。。。東北津波での行方不明者の捜査は未だ続いているというし、フィリピンとかロシアでは日本人の遺骨を探す商売まであるらしい。日本人は骨を大事にする文化があると言う人もいる。「骨を放置すると、自縛霊となって祟る」と脅かす宗教も多い。でも、調べて見ると、平安時代京都庶民鳥葬(つまり死体遺棄)だったようだし、江戸時代でも町の庶民の死体は墓標もなくそのまま埋められてお終いだった様だ。僕が思うには、遺骨に墓標を立てて弔うのは、宗教や民族の問題ではなく、唯の成金趣味ではないかしらん? もっと言うと、死後閻魔様に生前の悪行を追及された時に「こんなに盛大に弔って貰っています」と言い訳をする為なのではなかろうか、と勘ぐってしまうのですね。 
 前の大戦で海外で戦死した人達の遺骨収集は国家の責任でやる、という法律が去年出来てしまった。魂は靖国へ帰り、遺骨は千鳥ケ渕へとなる。魂の帰還は無料だけど、遺骨の帰還は有料だ。今生きてる日本人の医療年金が足りないのに、遺骨収集に税金が使われるのが、良いのかどうか? 今度参議院議員になった青山繁晴あたりが、「硫黄島の滑走路を掘り返して遺骨を収集する」なんて言い出したら、安倍さんはどうするつもりなんだろうか? 政治と宗教は分けなくちゃね。

 

2016-09-13

ナショナリズム

f:id:satochan8:20160913203126j:image:medium:left ナショナリズム精神医学的には「妄想」だと思うけど、吉本隆明の言う「共同幻想」だから、強制的には治療が必要とはされない。イギリスはこの妄想でEUを離脱してしまったし、ドイツでは移民排斥の怪しい雰囲気が漂っている。精神病患者で、ナショナルに「目覚めた」と言い出すのは、大抵再発の前兆だ。ナショナリズムは言いだされると実に訂正がムズカシイTPOのはっきりしている異常体験なら、例えば「屋上に宇宙人が居る」などは屋上に連れて行けば納得するけど、ナショナリズムは、「盗聴器」と同じくらいの難題だ。「ナショナリズムは異常」とは分かっていても、例えば「尖閣諸島領域に中国漁船240隻」なんて話を聞くと、精神科医(僕だけでなく)でも嫌中意識が高まるのを押さえられない。理性ではおかしいと思っても、自分の感情が抑えられない。人間は理性的に行動すべきだ、という倫理感は持ってるけど、生物は総じて理性的ではないのはいたしかたないようだ。地球で戦争や紛争が何時まで経っても終わらないのは、人間が生物だからなのだと、現実を肯定せざるを得ない。でも、患者のナショナリズムは、再発と思って治療すると大抵は目立たなくなっていくように、いわゆる正常者のナショナリズムも、そこに焦点を当てなくても、事を荒立たせなければ、自然に収まっていくのかもしれないと思うのだけど。。ナショナリズムわき役の本能なのだね。

2016-09-06

広島キノコ雲は火災が原因?

f:id:satochan8:20160830213000j:image:medium:left f:id:satochan8:20120228212718j:image:medium:left有名なこの(←)キノコ雲。「ピカドンの直後発生した」と原爆記念館にも表示されてるし、今迄それにクレームが付いたことはなかった。でもこの写真は、「直後では有り得ない」、と原爆を開発した米ロスアラモス国立研究所が今年5月に明らかにした。「写真の規模の雲が直後にできたとすると、広島原爆とは比較にならない威力が必要」で、だから、この写真は、原爆数時間後の「火災による煙の柱」なのだと言う。僕は「実際そこに居なかった人がそんな事言うのは幾ら何でも失礼だろう。オバマ大統領が来る前に、原爆被害を過少にみせる為に言ったに違いない」とも思ったが、でも、過去の過ちは率直に反省するお国柄のアメリカが、そんな事はしそうにない。「日本の原爆語り部たちが当時の状況を間違いなく再現している」と考えるほうが間違っていたに違いない。犯罪捜査だって、当事者の記憶に頼りすぎると間違えるし、精神病にも「虚偽記憶症候群」てのがある。僕も、「自分が子供の頃、一人で電車に取り残されて怖かった」のを鮮明に覚えていたのだが、ある時その記憶と全く重なる写真を見つけてビックリした。父と一緒に動物園に行った時に撮ったのらしく、どうも取り残されて云々は、後日この写真を見た僕が自分で自分のおとぎ話を作ってしまい、それを本当の事、と勝手に信じていたようなのでありました。だから、多分、語り部達も、記念館で見つけたこの写真が、知らぬ間に、自分の話の中に入ってしまったのでしょうと理解される。そろそろ、あの戦争で本当にあった事は何なのか、学問的に追及する時期に来ているのだと思う。原爆だけでなく、韓国慰安婦とか中国南京虐殺とかも含めて。当事者の記憶に頼らない、本物の歴史を残して行かなければいけないのだろうと思うけど、日本人にそれが出来るかどうか、、、ね。

2016-08-30

ビビった

f:id:satochan8:20120501212538j:image:medium:left アル中老人(71歳男)が自殺企図(首吊り)で、失敗後徘徊中に警察に保護されて、当院に任意入院した。「本当に死のうと思った」と言うが、首に紐の跡もなく、そのきっかけも彼女(65歳女)に振られた、とナサケナイ。3日して取り敢えず酒が抜けて、本人の希望通り退院になったが、その後、「家族からクレームが入って、事務では対処しきれない。家族は主治医との面談を希望している」となって、息子に会ったんだけど、この息子がピカピカのヤクザ。チンピラ3人従えて診察室にご登場となった。広島弁で「アル中だからってちゃんと治療しないんだったら許さんぜヨ」と始まった。何をインネンつけられるのかと思って、久しぶりにビビった。でも、その後は普通のアル中家族の悩みの相談で、「若いもんに見張らせていても、いつの間にか逃げ出して、ツケで酒を飲むので、何とかならないか」、との事。で、アル中の家族の会を紹介して、終わりになったけど、いつもは、アル中家族には、「身内の者が隔離拘束しても誰も文句は言いませんョ」と言うんだけど、今回は怖くて言えませんでした。