かかりつけ医にはなりたくない

 患者が介護保険を受けるようになるのに、かかりつけ医をお願いされることが多いが、なるべく断るようにしている。例えば眠剤希望で通院中の患者Aさんがいて、「他に病気はないのでかかりつけ医をお願いしたい」と言われ引き受ける。ある日意識消失して救急車で搬送された病院で、子宮ガンの脳転移が発覚する。家族は「医者に掛かっていたのにどうして・・・」と僕にモンクを言うことになる。僕は当院外科先生に頭を下げてターミナルケアをしてもらうことになる。別の患者Bさんは心不全でデイサービスで倒れる。かかりつけ医だから、と、当院内科に搬送される。やはり家族は「医者に掛かっていたのにどうして・・・」となり、僕は内科先生に頭を下げることになる。
どの科の医者も全人的に診るべきだ、とは理想ではあるが、現実からは程遠く、また、実際に全身管理を希望する患者などいない。精神科は眼科や耳鼻科同様に「マイナー」な科であり、自殺を除けは精神病で死ぬ人はいない。しかし、身体的な病気のない老人など、先ずいないので、かかりつけ医などやると大変メンドクサイことになる。かかりつけ医は開業の「メジャー」な科の先生にやってもらいたいものでありますネ。