弱いものいじめの後期高齢者

 僕は現在の老人世代と相性が良くない。「老人には優しくしましょう」とは良く言われますが、当の老人たちは果たして後輩に優しくされるに値するのか、と考えてしまうことも多い。近所の老人達は殆ど皆自己中でよそ者には冷たい様に見えるし、当院に現在入院中の僕の担当の老人でも、「性格(相性?)の悪い」人は少なくない。彼らは概して差別主義者だ。最近特に腹が立つ人がいて、弱いものいじめの認知症患者である。病気が進んで人格も変化するのはしかたのない事とは理性では思えるのであるが、実際に医者や看護師にはへいこらしているのに、新前のヘルパーとか学生とかには威張りちらし、こっそり半身不随の患者の杖を蹴っ飛ばしたりするのを偶然見てしまったりすると、その後はどうしたって優しく出来なくなってしまう。「この世代の人達は皆こんなのばっかりで、だから戦争にも負けちゃったんじゃないか」とまで思いつめたこともあった位だ。
 実は僕の父親が87歳。久しぶりに実家に帰った時、母親をあごで使う彼を見て、「こんな人ではなかったハズ」と思って、でも、「そう言えば昔から自己中だったよな」と思い返しました。「自分が生きるのが精一杯だったんだろう」と思えば同情しなくちゃだけど、「日本の将来の為を思って、皆に迷惑を掛けないように立派に死んでみせる」という心意気はないのだろうか。僕のエディプスコンプレックスかしら?