納豆はメタボを救うか

There is no panacea under the sun.
「あるある〜」で納豆「ないない」おわび広告掲載  納豆がダイエットに効くとかで品薄だという。結局、ナットウキナーゼは血栓予防になると言うより広告効果があるようだけれど・・・。(1/20追記あり)

歌手の加藤登紀子さんの夫で、学生運動指導者の後、有機農業を手がけた故藤本敏夫さんはかつて「納豆は地球を救う」と提唱したことがあった。
ところが、藤本さんは、この文章を書いたわずか4ヵ月後に他界した。死因の肝臓癌になる前に糖尿病を患っていた。健康に良い有機栽培納豆を食っていたのに、皮肉にも成人病になってしまった。その頃、テレビに出ていて「ショックだった」と言っていたのが印象に残っている。
藤本さんが1日にどれだけ納豆食っていたのか知らないが、どうもこの方、「これさえ実践すれば全て良くなる」と思い込むタイプだったのかもしれない。学生運動だって「これさえ実践すれば世界を変えられる」と思い込んでやっていたのかもしれない。
学生運動から有機農業に転身しても、その一神教的思想はちっとも変わっていなかったのじゃないだろうか。それが「納豆は地球を救う」のスローガンに現れていたような気がする。革命であれ、納豆であれ、「世界革命」レベルじゃないと承知できない、実践する価値がないと思い込んでいた骨の髄まで過激派だったのか、と思ってしまう。
大豆にしても、ついこの間、イソフラボンの過剰摂取に発癌の危険が指摘されたばかりだ。このネガティブ情報を打ち消すためにメタボリック・シンドローム対応の「ダイエット」というキーワードが登場したのかと思ってしまう。とにかく、最近の食品情報は一神教的効果をわざとらしく喧伝するのが戦略のように見える。
一神教的志向はある意味「これだけやれば救われる。だから頑張って実践しなさい」という日本人の志向に合うのかもしれない。けれど、それはあくまで「一神教的」なだけで、「一神教」そのものではない。日本の神様は多神教だろう。
平たく言えばブームに乗せられやすいということか。とにかく、気紛れにあれこれやることには否定的で、とにかく食生活も勤勉な実践でなければならないのだ。本当は、あれもこれも満遍なく色々なものをほどほどに食べるのが一番健康的な食生活と思えるのだが、それでは食品産業は困るのかもしれない。
[1/14追記]久し振りにスーパーで納豆売り場見たら、本当に品薄で、3パック100円前後だったのが2パック130円ものしか置いてない。値段一気に倍になっているorz そして、その下にインドネシアの発酵大豆テンペが申し訳なさそうに100円で売っていた。
[1/20追記]その後、続・フジ『発掘!あるある大事典II』の納豆特集でねつ造と判明、納豆価格は下落したが、わずか1週間といえ、納豆高騰を招き、市場に混乱をもたらした関西テレビの罪は追及せねばならない。これも一種の粉飾決算的偽計である。私の損害額は推定70円である! 納豆の消費額は全国で年間1600億円らしいので、1週間で換算すると32億円だ。1週間だけ価格が倍になったとして被害額は32億円と推定できる。大阪地検は即捜査を開始せよ。
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硫黄島からの手紙

摺鉢山グンバイヒルガオ硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)を遅まきながら観る。20年ほど前に実際に訪れた島だ。懐かしさが先に立つ。
副題がRed Sun, Black Sandの通り、硫黄島の海岸は黒砂だ。溶岩が砕けた砂浜だ。ちょうど3月でグンバイヒルガオの花が咲いていて、黒砂とのコントラストが美しい。硫黄島の戦いも2月から3月だったので、その時も咲いていたに違いない。傍に放置されていた戦闘機の残骸もそのまま映画に映されていた。
島全体が火山みたいなもので、飛行場の地面の割れ目から蒸気が出ていた。だから地下壕に入ると地熱で暑い。蒸し風呂に入ったような気分になったことを覚えている。この映画でちょっと残念だったことは地下壕の暑さが映像から伝わって来なかったことか。恐らく兵士達はうだる暑さの中で掘ったのだろうが。
それ以外の映像もわざとセピア調にしているためもあってか、「暑さ」が伝わって来ない。本当の硫黄島はもっと明るく暑く、海も、空に浮かぶ雲も、映像よりはるかに明るい。
緑も豊かだ。現在の、島を覆うギンネムは米軍が戦闘で荒廃した島の植生を回復するために航空機から種子を撒いたものだ。そのためか、映画では現在のギンネムの緑は消されているようだ。
ばかりか生き生きした自然が映画では故意に消されているように見えた。人間の累々たる死がそれを圧倒したのか。
摺鉢山の頂上に立つと絶景だ。文字通り島全体を見渡せる。黒砂の浜に打つ白波、飛行場。ツアーでもっと多くの人が訪れるべき場所だろう。露天風呂だって簡単に作れそうだし。防衛省はもっとこの島を開放すべきだろう。
しかし、こんなに慎ましく美しい島は、本来なら世界的に知られるべきではなく、ひっそりと太平洋に浮かんでいるべきだった。
映画そのものはまことに素晴らしい。俳優では二宮和也が特に良かった。監督が良さを引き出したのかもしれない。
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