ドル・キャリートレードと日銀総裁人事

円、101円台に上昇――05年1月17日以来の円高水準に(日経) 日経平均株価を始めアジアの主要な株価指数が軒並み下落したことに加え、欧州の株式相場も下落して始まったことからリスク回避目的の円買いが膨らんだ。日銀の福井俊彦総裁が金融政策決定会合後の記者会見で「円高は(輸入物価を下げて)交易条件を改善し、原材料高を打ち消す効果がある」と発言し「円高容認」との見方が広がったことも円買いを誘ったという。
福井俊彦総裁よりもFRBの追加利下げ観測を見据えたドル・キャリートレードだろう。
キャリートレードは低金利で、通貨高になる可能性が極めて低い通貨で借金して他国通貨に替える投資手法だから、ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が仄めかせば仄めかすほど、ドル・キャリは加速する。これまで円キャリだったけれど、投機マネーがドルに乗り換えているようだ。FOMCが開かれる18日まではドル安=円高傾向が続きそうで、それまでに1ドル=100円は突破するだろう。ひょっとすると昨年3月に書いた「1ドル=90円説」も1周年を待たずに示現するかもしれない。ま、金利の絶対水準ではそれでも円がより低金利だから、追加利下げイベントが終われば、また円安にぶれるだろうが。
つまり、投機マネーはバーナンキには注目するが、引退する福井総裁はおろかもめている日銀総裁人事も関係ない。武藤敏郎副総裁が総裁になろうが、空席になろうが、どうせ日銀のやることとは、「世界の経済情勢を慎重に見極め」で「世界の空気」を読むのが仕事だから、スルーしてOKなことは世界中のコンセンサスになっている。「日銀総裁が空席になれば世界から信用を失う」などということは最初から有り得ない。そう思っているふりをしているのは日本の政府関係者だけだろう。
大体、日本が信用を失えば、円は暴落しなければおかしい。ドルを除いた通貨に対してはまだまだ円安だけれど、自虐的な「日本は世界から信用を失う」などと言って自国通貨の高騰を心配しているのは日本ぐらいだろう。冷静に考えると奇妙な現象だ。
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