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2010-03-10

池田信夫氏が自分のお粗末インタビューを根拠に環境問題を騙るの巻

池田信夫blog:エコロジーという自民族中心主義を読んだら、以前呼んだことのある池田氏の記事がリンクしてあり、懐かしさとともにもう一度痛さを実感してしまった。本題のアカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞映画「The Cove(ザ・コーヴ)」なんて、はっきり言ってどうでもよさげな話なのでリンク先の記事を再読する。

「地球文明論」の嘘

私は1990年に、ガイア仮説を提唱した英国の発明家ジェイムズ・ラヴロック氏にインタビューしたことがある。「ガイアを守れという議論をどう思うか」という質問に、彼は「ナンセンス」と答えた。「ガイアは、40億年前からずっと生き続け、地球の大気の成分は少なくとも7億年前から一定です。その生命力は強靭で、人類に守ってもらう必要などありません」。

彼は地球温暖化や大気汚染についても大して心配していなかった。「大気の組成を変えて生物に悪影響を与えることを大気汚染と呼ぶなら、地球の歴史上最悪の大気汚染は植物の誕生による酸素の発生です」。植物の祖先となった光合成バクテリアの出す酸素は、初期の生物の大部分を占めていた嫌気性生物には有毒で、ほとんどの生物が滅亡したと考えられている。

つまり「地球環境問題」といわれているのは、地球の問題ではなく人間の問題にすぎないのである。ラヴロック氏は「人類はガイアの保護なしには生きられないが、ガイアにとって人類はゴミのようなものです。温暖化によって地球が砂漠化し、人類が死滅したとしても、バクテリアは生き残ってガイアを維持するでしょう」といって笑った。

まずジェームズ・ラブロック氏の肩書を「発明家」とするのはさておいて、

地球の大気の成分は少なくとも7億年前から一定です。その生命力は強靭で、人類に守ってもらう必要などありません。

というのは地球温暖化問題などとは全く関係ない文脈で語られていること。なにしろ7億年前とは、先カンブリア時代で、まだ高等生物が登場すらしてなかったカンブリア爆発以前の時代。7億年前後に一気に酸素濃度が今日とほぼ同じ20%に高まったという仮説に基づいたものだろう。しかし、いくら何でも大雑把過ぎて、

「ガイアを守れという議論をどう思うか」という質問

の答えとしては素人相手にはあまりに不親切だ。問題は酸素濃度のことではなく二酸化炭素濃度なのだから。これは恐らくラブロック氏の問題ではなく聞き手側の問題だろう。インタビューというのは相手に相応しい聞き手がいて初めて成立するものだ。

geologictime二酸化炭素濃度ならその後も大変動していて、今日に至っている。ラブロック氏が言ったのは、単に生物全体から見ればであって、本人も言っているように、そりゃ人類が滅んでもバクテリアは生き残るだろう、という現実的な解説とすれば冗談か与太話のレベルでの話に過ぎない。それを真に受けるインタビュアーが悪いのだ。

よって、

彼は地球温暖化や大気汚染についても大して心配していなかった。

とそれ以下の文章はNHKディレクターたるインタビュアーの勝手な早合点、思い込みにすぎない。嘘情報を流すためにわざと都合よく解釈して利用したのなら別だけれど。

実際、ラブロック氏の近著「ガイアの復讐〜迫られる究極の選択」では、

しかも彼女(ガイア)がこれほど苦労しているのに、他の惑星までも征服しようと夢見る理屈っぽい部族主義の動物、つまり人間が、自分たちの利益だけのために地球を支配しようとしている。彼らは驚くほどの横柄さで、ガイアが酸素を適切な濃度に保つために埋めておいた炭素の蓄えを掘り出し、燃やした。(235頁)

と書くなど、このままでは地球は滅亡すると主張している。そんなことはウィキペディアを拾い読みしても書かれている。

イギリスの新聞インデペンデントは2006年1月、ラブロックの談話として、地球温暖化の結果として21世紀末には「何十億もの人々が死に、気候的に耐えられる極地でごく少数が生き残るだろう」と書いた

彼の主張によれば、21世紀末までに温帯の平均気温は 8°C、熱帯の平均気温は最高 5°C まで上昇し、世界のほとんどの土地が居住不可能となり、農業もできなくなる。「我々は、変化の恐ろしいペースに留意し、残された時間が少ないことを理解する必要がある。各国は可能な限り文明を保持するために資源の最良の使用法を見つけなければならない」と彼は言う。

一体どこが、

彼は地球温暖化や大気汚染についても大して心配していなかった。

のだろう。別にラブロック氏が宗旨替えした訳ではない。インタビュアーがあまりにお粗末なだけなのだ。そもそもガイア仮説というのは地球温暖化問題がクローズアップされるとともに有名になったと言って過言でない。

したがって、本文にある、ラブロック氏に対する誤解から書かれたような

これが昂じると、「地球を守れ」という倒錯したキャンペーンになる。冷静に考えればわかるように、人間が自然の中心として地球を守るという思想は、天動説にも等しい。地球上の生物の圧倒的多数はバクテリアであり、人類が死滅しても地球上の生態系にはほとんど影響しない。太古のままの地球を守ることが環境保護だとすれば、そんな自然はすでにほとんど存在しないし、それを守ること自体には何の意味もない。環境保護は、あくまでも人間の問題なのである。

というのは全くの戯言である。

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