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2012-01-10

「誤用学者」でもある中川恵一東京大学准教授

放射線被ばく基準の意味:中川恵一東京大学医学部附属病院放射線科准教授緩和ケア診療部長

「2mSv余計に浴びると、200万人の福島県民のうち、がんで亡くなる人が200名増える」などの議論は典型的な誤用である。ICRP自体が、LNTモデルをこうした計算に使うべきではないと以下のように明言している。

実効線量は、特定した個人の被ばくにおいて、確率的影響のリスクを遡及的に評価するために使用すべきではなく、またヒトの被ばくの疫学的な評価でも使用すべきではない」。

このICRPの引用原文、

ICRP Publication 105 「医療における放射線防護」

の当該個所の前後がどう書かれているかと言えば、

(31)委員会は、放射線防護ガイダンスを確立するための主要な防護量として実効線量を使用するつもりであった。実効線量は、特定した個人の被ばくにおいて、確率的影響のリスクを遡及的に評価するために使用すべきではなく、またヒトの被ばくの疫学的な評価でも使用すべきではない。なぜなら、委員会は組織加重係数を定義する目的で「損害」を導き出すために放射線リスクの様々な構成要素の相対的な危険度について判断を下してきたからである。確率的影響の場合の放射線リスクは年齢と性に依存する。(実効線量を導くための)作業者と一般集団の年齢と性の分布は、電離放射線を用いる医学的手法を受ける患者の全体的な年齢分布と全く異なる可能性がある。また、評価される病状に対する人々の罹患率に依存して、医学的手法のタイプ異なる。これらの理由から、電離放射線を用いた医学診断と治療に対するリスクアセスメントは、リスクにさらされた個々の組織と、医学的手法を受ける個人の年齢及び性比率の分布に対して適切なリスク値を用いることにより、最も良く評価される。

となっている。中川恵一氏は省略して引用しているが、「なぜなら」の以下を読めば、特定個人の場合、実効線量をそのまま適用できないのは年齢と性によってリスクが異なるという至極当たり前のことを述べているにすぎない。ちなみにここで言われている「確率的影響」とは平たく言えば「癌にかかるリスク」のことだ。よって、「2mSv余計に浴びると、200万人の福島県民のうち、がんで亡くなる人が200名増える」などの議論は典型的な誤用である」と述べている中川氏の方が誤用している。中川氏は自らを「御用学者」でないと述べているが、少なくとも「誤用学者」ではありそうだ。

「200人」というのは、100mSv被曝すると、生涯でガンで死亡するリスクが0.5%高まるというICRPの公式見解をなぞったものであり2mSv上乗せされれば当然、200万人×0.5%×2÷100=200人の癌患者の増加という「目安」が出る。「目安」に意味がないとしたらICRPは何のために「目安」を示したのか意味不明になってしまう。

中川氏は、

放射線の科学的な「リスク評価」とその防護上の指針(リスク管理)を混同すべきではない。たしかに、ICRP勧告の「公衆の被ばく限度は年間1mSv」は、各国と同様、わが国の放射線障害防止法にも取り入れられている。しかし、この法令上の年間1mSvとは、健康影響上の科学的なデータではなく、安全を十分に見込んだ防護上の目安に過ぎないことを忘れるべきではない。なぜなら、チェルノブイリで顕著であったが、非常時に平時の目安に固執すると逆に健康被害が出るからである。

福島第一原発の事故以来人口に膾炙した「直線しきい値なしモデル(LNTモデル)」はICRPが、その安全哲学から提唱する防護上のポリシーであって、科学的データを示しているわけではない。しかし、「リスク評価」と「リスク管理」を合体させたような姿を呈している。

とも述べている。不思議な文章である。言われなくても科学的データに基づいた「目安」であることはまともな理解力のある人なら誰でも分かる。中川氏が「ICRPが、その安全哲学から提唱する防護上のポリシー」には意味がないと言いたいのなら、それを実証しなければならないのだが、そうは言っていない。「目安」に意味がないのなら「科学的データ」も意味がなくなってしまうことになるが、実は「リスク評価」と「リスク管理」を混同させて混乱させているのは中川氏一人だと理解するのがもっとも妥当な評価だろう。本人は「科学的」という言葉を恣意的に使って印象操作しているつもりらしい。

「チェルノブイリで顕著であったが、非常時に平時の目安に固執すると逆に健康被害が出る」というのは意味不明なのだが、そもそも、この引用されたICRP論文は医療放射線についてのもので、推測すれば、医療用放射線を受けるべき人がチェルノブイリによる被曝で既に許容被曝量を超えてしまい、医療用放射線による検診や治療を受けられなかったということだろうか。どっちにしても文脈からはみ出た“脅し”の文章テクニックのように見える。

ところで、この中川氏の論説を、

中川氏のポイントは、現在のICRPの年間1mSvという基準は放射線防護のためのリスク管理の基準であり、それ以上は危険だというリスク評価を意味しないということである。これはわかりにくいが、たとえば自動車の制限速度を時速40kmにするのはリスク管理であってリスク評価ではない。41km以上になったら自動車がすべて危ないということを意味するわけではない。

と、今更とは言わないが支持している人がいる。この場合、「41km以上になったら自動車がすべて危ないということを意味する」が正解だ。40kmという速度制限内が絶対安全だなんて誰も思っていない。1km増せば確実に1km分、「すべての自動車」の危険度が増すことは常識を弁えているだけで理解できる。

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