リツエアクベバ

satomies’s diary

紙類整理からもそもそ

なんだかんだといった「紙」で、棄てないでおくものをどさっと入れて置いたカゴを整理。引っ越しのときになんだかんだと物の整理中に「物を見つめて思いにふける」時間があるような、同様タイム発生。
その中のひとつ、A4の紙に手書きの汚い文字で二枚ぎっしり。これはFAX送信に使ったもの。送信相手は息子の中学の時の部活のダブルスのペアの子のママ。彼女は少し耳が遠い、連絡にはFAXを使う。携帯をたいがいの人が持つようになって携帯メールもよく使うようにはなったけれど、長文になることがわかってたのでFAXを使った記憶。ああそうだ、携帯メールでやりとりしてて、「長文になるからFAX送る」って、わたしが言ったんだった。
部活の最後の引退試合の数日後だったと思う。棄てたくないし取っておきたいんだけど、この紙自体は棄てたい。ってなことで、よし打ち込んじゃえ、と。打ち込んじゃうなら出しちゃえと。
この試合に関しては日記として残してた。

2009年7月12日更新分「息子、部活の引退試合」

実はこの試合、最後の相手のマッチポイントの時、ラインの判定に微妙なところがあった。アウトとセーフのぎりぎりのところでアウトとなって負けが決定。線審は他校の生徒。アウトの判定を出した途端に、そのラインの周辺の子たちが「ええっ!?」と叫んだ。騒ぎになるかと周囲が固唾をのんだときには、もう負けが決まった息子ペアが試合終了の挨拶をするために動いてた。で、以下がその「きったない手書きだらだら書きFAX送信文」。

微妙な判定だったけれど、息子は「あれでいいんだ」と言っていました。ルールはルールで審判は絶対で、自分も審判をやるときがあってああいうこともあるだろうと。ああいうときに「審判の判定が違う!」と抗議されたら自分だったらとても困ってしまうので、「だからあれでいいんだ」と言っていました。
Aチームの子たちには市大会は見えていたけれど、「もう受験だ、もう引退だ」とBチームの大半の子がやる気がなくなってきていたこの時期で、「○○君はあまり勝ちたくないと言っている」と、ちょっと気にしていました。*1「いやいや試合になれば勝ちたくなるだろう、アンタたちのペアはすごくうまくいっていると思う」と言いつつも、「アンタにつきあってくれてるんだろうね」とも言っていました。
以前別の試合の時、車で送迎しているときに3人で話していたときのこと。○○君が息子のことを「コイツはバカ正直だ」と言うので、「そうだよ」と。「こういう風に育てたんじゃない、最初っからこういう子だった。『あなたは損ばかりすることが多いけれど、それでもその素直さは一生の財産になるんだよ』って本人に言ってるんだよ」と言いました。そうしたら○○君が「損ばかりするの?」と聞くから「そうだよ」と。「世の中ってのはね、ちょっと悪いヤツの方が得をするようにできてるんだよ。その中でこの子のバカみたいに強固な素直さは弱点にもなるんだよ」と言いました。
そのわたしの返答に納得がいかないと不満を大きく見せたので、「あのさあ」と。「『昔昔、いいおじいさんがいました』って時に、そのおじいさんがちょっとでも悪いことをしたらすぐに『悪いキャラ』にならないか? でも、『悪いおじいさん』が悪いことばっかして、それがまあちょっと『いいこと』とかしたら、それは『改心したステキなおじいさん』とかにならないか? あとさ、悪いことばっかで金貯めたヤツがいいことに寄付したら、美談になったりするじゃない? 悪いことされた被害者の方には?ってのは、みんな忘れるじゃん」。「ほうら、世の中ってのはね、ちょっと悪いヤツの方が得をするようにできてるんだよ」。「でもね、それでもね、この子の素直さってのはこの子にとって一生の財産になるんだよ、わっかるかな〜〜?」と。
実際の「損」の例は、言うと怒り出しそうなので、こんなアホ会話であははと笑ってました。口をとがらせるように「納得いかない」風を見せるのを、ちらっとミラーで確認して、あははと思いながら、(要するにこの子たちは仲がいいんだな)と思っていました。
ああ、それと。この日の翌週だか翌々週だったかの練習試合の時に、○○君は都合が悪いので休むと。この話になったので、「ああ、じゃあアンタはシングルスで出ることになるからボロ負けするね、めげんなよ」となんの気無しに言うと、「どうしてシングルスになったらボロ負けするの?」と聞いてきまして。「この子はね、気が弱いんだよ。プレッシャーにも弱いし崩れるとすぐガタガタ崩れる。でもダブルスだとね、ペアのために頑張るって力が出る。そこで1人だったら絶対立て直せないようなシーンで立て直せるんだよ」と、答えまして。これは練習試合だの試合だのを見てるとすぐわかることだった。*2
休むのを責めるつもりは全くなくて、それでちゃんとそれはわかってくれていたようで。その上でそんな話をゆっくり聞いていてくれました。
なんてことで、あの子たちはホントにいいペアだったと思います。いい感じのペアだったからこそ、最後の試合がみんながびっくりの大健闘になったのではないかと思います。2人にとっては最後のいい思い出になったでしょう、めでたしめでたし(飛び散るクソ下手なハートイラスト付き)。

この最後の試合に関しては、3回戦まで全戦、三脚立ててビデオに撮った。2回戦終了後、「また勝っちゃった〜♪」とスキップしてカメラの前を横切るアホかーちゃんがしっかり写ってる。後で真剣にこのビデオを見ていた息子が、このシーンでのけぞってた。
高校で部活に入ったときに、またバドミントンに入部することになって。「ダブルスの相手はアイツがいいんだけどな」と。そんな無茶言わんと前へ進めよな、と。
新しくペアを組むことになった子は、中学時代はサッカーのクラブチームに参加していたとかで、バドミントンは初心者。ただスポーツやってただけあって、基本的な力はかなりあるらしい。
先日、他校との練習試合で初めてのこの子とのダブルス参戦。「どうだった?」と聞くと、「試合中に謝ってばかりいた。『そんなことはいいから、落ち着けよ』って言いまくってた」って話。ペアに助けられるって自分の実感や経験があるからこそ、ってのもあったんだろうなとも思う。高校でのこのペアも、いいペアになるといいなと思う。勝つの負けるのより、そこ一番大事かな、と思う。
息子本人も、そこ一番大事だったようで、「どうだった?」に対して点差とか結果とかじゃなくて、まず「ペアの相手の状態」だった。結果に関しては一戦も勝てなかったそうだけれど、けっこう強い相手揃いのチーム相手に善戦はした様子。あと、同じ中学から相手校に進学した部活のチームメイト(市大会出場経験アリ)の男の子が、「来た時と帰る時に投げキッスをしていった」と。ちょっと笑えた。

*1:このペアの子が部活に入った理由は「内申で部活三年間という加点が欲しい」ということだった。高校に入ったら部活には入らないと言っていた。

*2:一度、一軍の試合に控えで参加したときに、終盤で顧問が息子をシングルスで出した。悲惨な結果だった。チームに迷惑をかけたと大泣きした。チームに迷惑をかけるとどんなに思っても、「コートに1人」はキツかったらしい。