おたけ坂のお話

執筆者:サトラレ

地元にまつわる昔話です。このお話は地元に古くから伝わる怪談のようなラブロマンス(!?)ちゃんと調べて、無断転載しないようにゴニョゴニョしたやつです。それでは はじまりはじまり…

むかし間々田の宿に、とある旅籠屋がありました。旅籠屋にはとても気だてがよく、顔だちも美しく、親孝行な娘がいて名をおたけといいました。お店には番頭兼料理番の佐平と女中のお留と下男と女中と父と兄がいました。あるとき父と兄は、おたけをお嫁にやろうとと相談しました。そうして粟の宮の豪農の息子と縁談が決まりました。父も兄も大喜びで、さっそく結納が取り交されました。父はその事をおたけに話しました。おたけはうちで楽しく暮らしている事が幸せだったので、縁談の話に困りました。その晩、おたけは、母の位牌の前に、長い間座っていました。女中のお留がそばにきて、心配そうに聞きました。おたけは、今日のことを話しました。お留の生まれは粟の宮でしたから、お婿さんをよく知っていました。お留の話ですと酒癖が悪く怠け者だというのです。それからおたけは暗いかげりが目立つようになりました。嫁入りの日取りまで十日となり、おたけの顔は青ざめみるみる内に痩せていきました。いよいよ明日が祝儀となり、おたけは家を出る決心をしました。その事を知ったお留は内緒で佐平に相談しました。(女性の一人旅を気遣ったのでしょう)すると佐平はおたけの為ならどんな苦労をしてでも守ると約束しました。おたけもそれを聞いて喜びました。佐平の伯母が上州の高崎にいたので、そこを頼ることになりました。夜がふけ、おたけと佐平は裏口から忍び出ました。お留は、寝床に座って、手を合わせてお祈りしていました。ふと、足音がして、主人の姿が現れました。(目がさめた時に明日の用事を思い出して、それを言いに来たようです)主人はお留と並べて敷いてあるおたけの空ふとんをみて、おたけはどうしたとたずねました。お留は返事ができずに、目をつむりました。おたけと佐平とが家出をしたのがわかって、父と兄は急いであとを追いました。兄は出がけに、刻み包丁を持って、飛び出していきました。おぼろ月の畑道を走り、思川の渡しへ降りる板の手前で、早くもそれらしい人影を見つけました。おたけと佐平は、坂道のサクラの根もとに居すくんでいました。兄は佐平におたけをそそのかしたのかとどなり問いただしました。答えない佐平のかわりにおたけがわたしがわるいのですと弁解しました。兄はおたけが佐平をかばうのをみてますます怒りました。兄は包丁をふりかざして、佐平をにらみつけました。おたけは驚いて、兄の腕に飛びつき、刃物をもぎ取ろうとしました。兄がおたけをふり放そうと腕を振ったとき、包丁の切先がおたけの首にささりました。おたけは悲鳴をあげて倒れました。二人は驚いて、左右からかけよりました。兄は、意外な結果にただぼんやりと立ったままでした。(もともと、二人をおどかそうとして持ち出したものでした)夜風が起こって、サクラの花が雪のように散りました。美しいおたけは、美しいままに亡くなりました。おたけに同情した人々は、いつしか、そこを「おたけ坂」と呼ぶようになりました。

地元では怪談めいた伝わりかたをしていますが、調べてみると実に業の深い悲恋の物語でした。
うおぉぉ、おたけさんカワイソス!!美人薄命とはこの事だ!!…ってかアンちゃんなにしてんねん!!今日はおたけ坂でお酒を飲もうと思います。歩いていけるほどの距離なんで。実は本当の目的があります。後輩の墓参りです。おたけ坂の麓(麓っていうのか!?)に墓地があり、かつての後輩がそこに眠っています。非常に親しい間柄というわけではありませんが友人がとても贔屓にしていた後輩ですから、やはり自分にとっても後輩だと思っています。ここしばらく行ってなかったので、ゆっくり話でもしてこようと思います。