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写真生活

2016-07-22

ワークショップ54期募集中です。

ワークショップ54期は土曜日の午前と午後の部で募集中です。

よく「敷居が高そうで」と思われているようですが、むしろこれから始める人向けのカリキュラムです。カメラの無料貸し出しもありますのでお問い合わせください。


先日書いたアルルの展示で人工妊娠中絶の問題を扱ったライアの記事が出ていた。これが今現在も行われているという事実に驚く。エルサルバドルでは中絶ではなく後期の流産でさえ罪に問われ20年から40年もの刑を求刑されると言うのだ。妊娠と中絶について考えざるを得ない。
https://www.theguardian.com/artanddesign/2016/jul/20/ive-seen-horrible-things-photographer-laia-abril-on-her-history-of-misogyny

ライアがサンタフェで言っていた「私は、このことが重要な問題だと思うの。私の展示を見てたくさんの人が議論してくれることを望むわ」がそのまま形になっている。


アルルで撮った22本のフィルムを現像に出した。30年にわたりモノクロ現像は堀内カラーに頼んでいる。。手順を忘れないように、たまには自分でやるが、本数が20本を超える場合は条件を一定にする意味で外注していた。

ところが7月から1本600円だった現像代が900円に跳ね上がった。しかも店頭で堀内カラーの工場でで現像するのではなく外注に出すことになったと説明を受けた。

1本900円はしんどいぞ。30本撮ったら税込3万円だ。もう次からは自分でやるほかない。

現像上がりを受け取って暗室に入りベタ焼きを作った。目ぼしいものをRCにプリント。10枚くらいバライタにプリントしてみようと思えるものがあった。

2016-07-18

54期土曜日午前午後の部募集中です。

時差ボケで14時間も寝てしまい、体内時計がグズグズ。1週間たってようやく元に戻った。

時差ボケ中は「もう海外には行かない」と思っていたが、治るとまた行きたくなってしまう。次はアジアがいい。

2007年に初めてアルルフォトフェスティバルに行って以来、海外の写真に触れる機会が増えた。

その度に今まで自分が思っていた写真と大きく違うのを目の当たりにして戸惑うばかりだった。

2013年にレビューサンタフェに参加して、もう根底から写真の定義が変わってしまった。このままでは彼らの写真が理解できないし、自分の写真をプレゼンすることも不可能、話が噛み合わないのだから。

写真は大きく変わってきている。これから先「近頃の写真はさっぱり分からない。あんなの写真じゃない」という人が続出することになると思った。

それからというもの、もう一度美術史をやりなおすことにした。彼らがベースにしている歴史を知らないことには彼らが作るものが理解できない。宗教も勉強した。彼らの考え方の指針は宗教にある。問題は何を前提にしているかだ。

3年経って分かったことのひとつに、アートは個人の感情や意識によってのみ作られるものではないということ。むしろ感情や意識をどうやって外すかということに腐心している。

理解できたからといって作れるわけではないが、写真が音を立てて変わる瞬間に立ち会えているようで面白い。

2016-07-14

ワークショップ54期募集中です。

今回のアルルでは自分の展示で忙しくて公式の展示を 回る時間が少なかった。

カタログを見ると昨年と違い自分が知っている作家が少なかった。有名どころで目に付いたのは報道写真家のドン・マッカラン、ゲイリー・ウィノグランド、ウィリアム・クライン細江英公くらい。

1960年を中心にした雑誌メディアによるジャーナリズム写真と、対抗する構造での現代アート文脈の写真。それを明確にした構成に見えた。

アワードに選ばれた中には日本人作家として横田大輔が大型のインスタレーションをしていたのが印象的だった。

アワード受賞者は大きなブースを使って展示できるのだが、その中にレビューサンタフェで会った女性アーティストが展示していた。彼女と会ったことで現代アートと写真の関係性(http://d.hatena.ne.jp/satorw/20130621/1371784886)に気がつくことができたので、この展示はとても楽しみだった。

サンタフェでは拒食症を扱った作品だったが、今回は妊娠中絶の問題を作品化したものだった。女性特有の問題としては同じだ。

会場全体を使ったインスタレーションは写真だけではなく、映像、中絶器具等のオブジェ、音声、すべてを使っている。おそらく自分で撮った写真はほとんどない。そして中央には象徴的な巨大なキリストの絵が。

キリスト教においては妊娠中絶は罪になる。現在でも法律で禁止している国はあり、レイプによってできた子供の中絶を認めないということでニュースになったりしている。

アメリカ選挙でも候補者はその問題について是非を言及しなくてはならない。今でも違法な医療行為による妊娠中絶で多くの女性が命をなくしている。会場中央に針金のハンガーが山積みされていたが、そのような粗末な器具で堕胎している国がある。

日本では理解しえないことが、キリスト教国家では大きな問題として存在しているのだ。だからこそ展示でのキリスト像に意味がある。

歴史的に見て宗教とアートの関係性は深い。西洋の前提は初めにキリスト教ありき。厳密な約束事を壊す行為がアートとなるし、壊すものが目の前に存在している。

そしてそこから離れようとする行為もまた、現代アートなのだろう。

日本人が西洋でやっていこうとする場合、彼らが生きている前提の理解が必要になるはずだ。

彼女の展示は、会う人ごとに「あれ、見た?」と話題にのぼった。そして妊娠中絶についての話になった。サンタフェで彼女が言っていた「たくさんの人に作品のことについて話し合って欲しいの」は見事に実を結んでいた。

良い写真とは美しい写真という意味ではなくなってきている。考えるきっかけを与えるものであり、手段によっては自分で撮るだけではなく、見つけてきてもいいことになる。

日本人が持つ前提とは何か。価値観はどこから生まれているのか。どのように西洋と違っていて、どこで繋がっているのか。

環境も食事も宗教も躰つきさえまったく違う。ということは物事の捉え方もまったく違うことになる。

今回の アルルではそのことを改めて考えることになった。

2016-07-13

ワークショップ54期募集 日曜日の募集は終了しました。土曜日午前午後は募集中です。

ワークショップ2B「54期」の募集
*2003年にスタートして以来ずっと続いている、写真の基礎を学べるワークショップです。
*フィルムカメラ以外にも、デジカメでの参加も可能です。
*フィルムカメラを使って撮影実習した場合は、次回の印画紙を使用したプリント作業(暗室作業)を繰り返し行うことで、露出計がなくとも写真が撮れるようになります。
*講座中は、フィルムカメラの貸出(無料)も行っています。また、写真の歴史や現代アートの流れ、そして撮った写真をどうセレクトしていったらいいかなどについての講座を設けています。
*下記のアドレスは、講座の詳細を説明しています(ただし、フィルムカメラ参加の内容となっています)。
http://blog.livedoor.jp/workshop2b/WS2B.pdf
「写真芸術の現場」でもワークショップの様子が動画で紹介されています。
http://polosonearth.com/?p=546

<申し込み時の要項>
/住所 /氏名 /連絡先 /所有しているカメラ /簡単な写真歴
/プリント経験(暗室)の有無  /希望の曜日・時間帯
ワークショップ2Bの講座は、毎週土曜日が「午前の部」と「午後の部」、日曜日が「午前の部」の3つのコースがありますが、いずれも内容は同じです。ご希望の曜日と時間帯をお選びください(日曜日は午前のみ)。
申し込まれた講座日(日時)で、都合がつかない回があれば、時間帯や曜日(土、日曜日での)を振り替えることが可能です。

<講座料>
1回につき5000円(消費税別)。当日受講後ごとの支払いになります。プリント時の印画紙代はいりませんが、フィルムの購入、現像代は別途となります。
<カメラについて>
*フィルム仕様のカメラ(絞りとシャッタースピードをそれぞれ単独に変えられる)でもデジカメでも参加可能です。
*フィルムカメラをお持ちでない方は、貸出(無料)もありますので、初回にご相談ください。
*カメラを購入したい方は講座中いつでもアドバスをいたしますので、申し出てください。

<場所>
西武線江古田駅大江戸線新江古田駅より徒歩5分ほどです。
お申し込み完了時に住所と地図をお送りします。
<54期の日程>

――土曜日(午前の部・午後の部)――
1回目  8月6日 「露出(基礎)について」
★8月13日 お盆のため、特別講座(土曜・日曜合同/詳細は初回時に説明)
2回目  8月20日「屋外撮影(露出の基礎を実践)」
3回目  8月27日 「暗室作業(前回の屋外撮りのプリント)」
4回目  9月3日 「室内での小物撮影」
5回目  9月10日「暗室作業(小物撮影のプリント)」
★9月17日  2Bでアートブックフェア参加予定のため、お休み(変更あり)
6回目  9月24日「座学/写真史について」
7回目  10月1日「屋外ポートレート撮影」(11時より午前・午後合同)
8回目  10月8日 「暗室作業(ポートレート撮影のプリント)」
9回目  10月15日 「屋外撮影実習/浅草寺」(11時より午前・午後合同)
10回目  10月22日 「暗室作業(前回撮影のプリント)」
11回目  10月29日 「暗室作業(カラープリント)」
12回目  11月5日 「ビューイング/作家オリジナルプリントの鑑賞」(午前・午後合同)
13回目  11月12日 「座学・まとめ」(11時より午前・午後合同)

――日曜日(午前のみ)――
1回目  8月7日 「露出(基礎)について」
★8月14日 お盆のため、13日に特別講座実施(土曜・日曜合同/詳細は初回時に説明)
2回目  8月21日 「屋外撮影(露出の基礎を実践)」
3回目  8月28日 「暗室作業(前回の屋外撮りのプリント)」
4回目  9月3日 「室内での小物撮影」
5回目  9月11日 「暗室作業(小物撮影のプリント)」
★9月18日  2Bでアートブックフェア参加予定のため、お休み(変更あり)
6回目  9月25日 「座学/写真史について」
7回目  10月2日 「屋外ポートレート撮影」(11時より)
8回目  10月9日 「暗室作業(ポートレート撮影のプリント)」
9回目  10月16日 「屋外撮影実習」(11時より)
10回目  10月23日 「暗室作業(前回撮影のプリント)」
11回目  10月30日 「暗室作業・カラープリント」
12回目  11月6日 「ビューイング/作家オリジナルプリントの鑑賞」
13回目 11月13日 「座学・まとめ」(11時より)





<時間帯>
●土曜日●
「午前の部」 午前9時30分〜12時30分
「午後の部」 午後13時〜16時
(ただし、7、9、13回目は、午前・午後合同のため11時よりスタート)
午後・午後の部とも内容は同じです。時間帯は先着順で受付いたしますが、講座がスタートしてからは、時間帯や曜日の振り替えが可能です。

●日曜日●
「午前の部」 午前10時〜13時(7、9、13回目は11時からスタート)
受付は先着順となります。

*なお、渡部の仕事の都合により休みとなった際には、講座日程が長引くことがあります(随時お知らせします)ことをあらかじめご了解ください。

<初回に必要なもの>
1回目には、カメラは使用しませんが、持参できる方はお持ちください。フィルムカメラの貸出をご希望される方は、ご遠慮なく申し出てください。
*これまでに撮った写真(モノクロ、カラー、サイズ等は一切問いませんので)を何枚か見せてください。デジタルで撮ったものでもかまいません。お持ちいただければ幸いです。
<申し込み先>
★正式な申し込みをいただいたあと、2Bの所在地や地図を添付にてお送りします。
 申し込みアドレス workshop2b10th@yahoo.co.jp  
「ワークショップ2B  54期申し込み」とご明記ください。








夕方に帰国。夕食は居酒屋で刺身と揚げ物と、冷奴に餃子。

帰国。朝4時に目がさめた。

パリに戻った日はサッカーユーロ2016決勝でフランスxポルトガルだった。その日は早めにホテルに戻り、惣菜とワインを買い込んでホテルでテレビ観戦することにした。

時おり窓の外から歓声が聞こえる。そして落胆の声が。

帰国便が夜の11時だったので、翌朝は優雅にガルドリヨン駅構内の老舗レストラン「ル・トラン・ブルー」で食べた。ここは内装が素晴らしい。映画にもよく使われている場所だ。ミスタービーンのシリーズで、このレストランを舞台にした短編があるが最高に面白い。オムレツベーコンパンコーヒーで2000円くらい。

お昼からはポンピドーへ。昨年はオルセーだったから時代性で言えばその続きという感じ。

エスカレーターで最上階まで登り特別展へ。むき出しのパイプ状の建物からはパリ市内が一望できる。こういうところでまず盛り上がれる。

今回の企画展は「パウル・クレー」と「Beat Generation」。ヨーロッパ1920年代とアメリカ1950年代だ。

ジャックケルアックの「On The Road」を中心にギンズバーグやロバートフランクの写真が並ぶ。ケルアックのタイプライターやテープレコーダー、そして伝説の「On The Road」生原稿が古文書のように展示してあった。

アメリカを移動しながらタイプライターで書くのに、紙の入れ替えが面倒だからと最初にテープで紙をとめて巻物にして書いたものだ。アメリカ文学のバイブルみたいなものだ。

ギンズバーグの詩の朗読があったり、8ミリ映画があったりと立体的な構成になっている。ロバートフランクの「The Americans」オリジナルプリントはやっぱり凄い。ケルアックとその友人達の行動が戦後アメリカの思想や文化に大きく影響しているのが見える。

パウルクレーは昔彫刻の森美術館で見た覚えがあるが、時代の流れを把握してから見るのは初めて。ピカソとの交流やバウハウスの時代、ヒットラーの台頭による芸術家の弾圧など、作品が時代とともに変わっていく様子が現れている。。

ヒットラー時代の彼の絵はかなり精神的に追い詰められてきて、それまでの柔らかさから一変して暗くて重いものになっていく。アートが時代性を孕む、アートを見れば時代が分かるというのを実感する。

ふたつの展示でたっぷり2時間以上使ってしまって常設展は駆け足になってしまった。それでもピカソマチス、ブラック、レジェから始まって、これでもかと作品が並ぶ。一作家数点とかじゃなくて、個展レベルの量。

初めてジャクソン・ポロック大型作品も目前数センチで見ることができた。

これで企画展ふたつ、常設展合わせて14ユーロ。1500円。

パリはルーブル、オルセー、ポンピドーを回ればアートの歴史と流れがどうなっているか一目瞭然で分かる仕組みになっている。

ヨーロッパアートの話をすると必ず文脈の話になるが、ベースになっているものが連綿とと残っているからこそだ。

3年前に現代アートと写真の関係についてこの日記で書いたのがすべての始まりだが、ようやく知識と経験が輪になって繋がってきた想いだ。