香港の空港でサボテンのカツカレー。

香港ブックフェア終了。

最後は文化祭が終わったような気持ちになる。他のブースで気になっていた写真集を2冊購入。クリス.ショーと志賀理江子

結局pranaは完売できた。プラス通販1の7冊。da.gasitaは4冊で計11冊。1冊4500円の値段をつけていたので5万円の売り上げになった。

かかった費用はエア代ホテル代、食事代を合わせて13万円ほど。差し引きしたら大損。でも経験値は上がった。作ったものを手売りするプリミティブな喜びも感じることができた。

冬青全体では3日間で71冊の売り上げ、PhotographerHalは2シリーズとも完売。しかもオリジナルプリントまで売れた。

全体の売れ行きとしても良かったようだ。中には数十万円のBOXが売れたところもあった。香港の人がこんなに写真集に興味を持っていることに驚いた。

初日の売り上げが2册と悪かったのは単純で、アートバーゼル香港を見に4時間ほど会場を抜けたせいだ。知名度のない僕は、興味を示した人に「モノクロ写真が好きなんですか?」から始まって、da.gasitaやpranaの意味、構成内容、エピソードを話さないと売れない。

多分僕が参加せずに本だけ出していてもほとんど売れることはなかっただろう。知られていないから、知ってもらう必要性がある。須田さんやHalさんはすでに皆が知っているから、いなくても売れるということだ。

本は出すより売ることが難しい。フェアに参加するとそれを実感する。

わざわざ売り上げを犠牲にして見に行っアートバーゼル香港というのは、本来スイスのバーゼルで開かれる国際現代芸術フェアで、世界中のトップギャラリーが出店してアートを売買するイベントだ。アートバーゼル香港というのはその会場を香港に移して行われるもの。

巨大なコンベンションセンターに数え切れないギャラリーが出店している。出店料は少なくとも1ギャラリー500万円、大きなところは搬入やその他もろもろで軽く1500万円以上かかると聞いた。たった3日間のイベントなのにだ。

1500万円のもとを取るにはそれ相応のものを売らないといけない。億単位なんて当たり前。

アートバーゼルに参加している香港セントラルにある世界的に有名な「ガゴシアンギャラリー香港」では、1点10億円という途方もないアートが10数点展示されていた。なんとそれが一般オープンの前のプレデーで全て完売していたと、展示を見に行った後で聞かされて仰天した。しかも半年後に売れば間違いなく数億の利ざやが出るという。そんな世界があるのだ。

アートバーゼル香港では日本人作家もたくさん売りに出されていた。とにかく草間彌生のものが多かった。巨大なカボチャのオブジェは記念写真の格好の場所になっていた。村上隆奈良美智名和晃平もあった。

戦後現代芸術の教科書レベルのものがズラリ。写真ではグルスキー、ルフ、シュテュルート、デマンド、ティルマンス、シンディシャーマン、クライン、杉本博司荒木経惟。写真は巨大な短辺が2メートル以上あるものが多かった。

現代芸術がどのようにして価格をあげ、それを維持していく仕組みを作ったのか?そもそも10億円の作品を買った場合、お金はどうやって支払って、どうやって保管するのか?分からないことだらけ。

ブックフェアといい、アートバーゼルといい、経験値はものすごく上がった1週間だった。