「21世紀のクリスマスカード」をVandercookで製作してトニカク文字イリ展で販売

あと1週間に迫ってきたJ-LAF主催「〜トニカク文字イリ〜 Christmas+Christmas展 in 関西」、前回に引き続き出品するが、その出品作品を先週自ら活版印刷を、但し今回は手フートでもプラテンでも無く、なに活さんに新しく加わったVandercook SP-15時間貸ししていただいて刷ってきたのである(記念すべき時間貸し第1号!)。
 
これが遠くUSAより1ヶ月かけて渡航してきたVandercook SP15。見て分かる方は分かるが、本来は手動式活版校正機だけど、小ロットでの印刷用としてかの国では人気の機種。LetterMpress™ for iPadで登場するマシン。見た目はゴツいが、手順さえ教われば誰にでも簡単に印刷が出来るスゴいヤツなのだ。それ故、引く手数多で中々手に入らない憎いヤツでもある。


で、このマシンを使って、活版印刷では余りしない多色刷り、それも薄赤・赤・墨の3色+メジウムの計4版(!)で、B4のクッション紙0.5に印刷してみた。
まずは1版目の薄赤版の樹脂版を、余分な部分を大胆に切り落としてVandercookに設置してあるベースに両面テープでしっかりと固定する。

えらいえげつない形になった樹脂版だけど、印刷には問題ない、むしろ余計な箇所にインキが付かない分ベター。

インキをローラーに付けて馴染ませる。


さてこのとき時間は13時を回っていた。開始時間は朝10時。1版目というのにここまでで3時間かかっている。まるで時間泥棒にあったような感覚に襲われる。何故こんなに時間が経過してしまったのか。それはね、1版目の薄赤色を調合するのにスンゴイ悪戦苦闘したわけなんだね。PANTONEで色指定もインキも揃えて、PANTONEの色チップの配合表で調合したんだけど全く合わなくて。最後の最後に一からなに活さんが調合し直してやっとこさ完了。こんな感じなのであった。


気を取り直して、1版目の印刷開始!
インキを樹脂版に馴染ませて、用紙をクワエにセットして、試し刷り。その後インキの濃度調整と位置合わせとをして、本刷りスタート!
手動でシリンダー+インキローラー部分を回すんだけど、あんまり力は入らない。簡単に楽しく印刷出来ちゃうのだ!

こんな感じ。印圧かかってるの見える?


そうそう、このVandercook、印刷位置の調整が他の活版機に比べて簡単で、版の位置を予め決めたら後はこちらは触らずに、用紙のクワエ位置を左右および斜め調整するだけで合ってしまう素晴しいヤツでもある(上下位置変更の場合は版自体を上下移動しなくちゃいけないが、これは版を貼る時点で決めるので後から変更することはまずない)。


引続き2版目、赤色版の印刷へ。
ここから、版の位置合わせはシビアに行っていく。が、上記したように版さえ予めキチンと位置合わせすれば、簡単に微調整出来るのでここでビビる必要はない。
 
 
ということで2版目刷り上がり。版があまりズレていないことわかるかな?(下のデータ上でのC・Dを参照。書体はPirouette―Designed by Ryuichi Tateno


こんな感じで3版目の墨と4版目のメジウムを引続き刷っていく。

空押しのようになっているのがメジウムで刷った部分。印圧がかかってイイ感じに。


結局朝10時から始めて、最初の3時間は難儀したけども、80枚を4版の計320通して19時に完了!ほぼず〜っと立ち仕事になるので足と腰が痛い。した甲斐あって結構良いものが仕上がったと自己満足。なに活さんありがとうございました。

仕上りはこんな感じに。



さて、今回刷ったこのB4大のカードというかポスターというか、一体ナニモノであるのか。一見したところカレンダーのような体裁のコイツ、実は今年の12月25日は何曜日?かが分かる「21世紀の12月25日」カレンダーなんである。


ん?!意味分からん?


まあいきなり云われてもねえw。
つまりは、墨の数字である2001年から2100年までのクリスマスは何曜日かをカレンダーの体裁をモチーフにしてみたのである。


分かってもらえたかいな?
わからなかったら実物見に「〜トニカク文字イリ〜 Christmas+Christmas展 in 関西」に来てね。