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《おしらせ》
2011年12月より、このブログは文字る(文字情報。時折印刷・文字本・雑誌の紹介も)および活字の小箱(活字・活版印刷に関する情報(組織・個人・作品・イベント・ワークショップなど)の提供)へ移転しました。引続き新しい方もご贔屓に。ここはそのまま残しておきます。

2011-11-07

[][][][][][]『小林章氏WS「自分の書体をフォント化しよう!」in 大阪』に参加してきた I attended Akira Kobayashi's WS “Let's make a font from own handwriting scripts!” in Osaka

このところ毎週のように、関西でも文字関連の催しがあって大忙し、でも有難い限りな今日この頃、今度は小林章さんのWSに行ってきた。ワタクシは昨年の東京でのWSに引続き2回目、とはいえすっかりソフトの操作などは忘却の彼方、皆さんと共に一から始めることと相成る。今回も使用ソフトはFontLabのScanFontとTypeTool。

In recent weeks, I've been busy attending events and workshops on the letter. This time, I've attended Akira Kobayashi's WS held in Osaka. I went to his WS in tokyo last year, but operating the softwares “ScanFont” and “TypeTool” slipped my mind.


下準備 Preparation

今回は、このブログでも晒している書き文字(1415年の聖書で書かれたBastardaが元)をFont化してみようと、下準備の文字起こしから始める。大文字は一切練習さえしていないので今は小文字のみにする。で、文字の特性上合字が多いのでそれも予め書き起こすことにする(後で、何組か足りなくてデータから強引に合字を作ったのはヒミツ)。

For this WS, I intend to make a font from my own handwriting script “Bastarda” that is based on the Bible of 1415 England written by Middle English. I don't practice the majuscule, so I just write the minuscule only. It has a feature of the need for ligatures, I also write them.

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A4大の紙に3枚程、必要となる文字を書き連ね、その中から良いと思う文字を選択(文字の上下に鉛筆で小さい丸を付けた)。

I write letters on three sheets of paper (each A4 size: 210×297 mm) and pick the best ones of those.


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文字を書いた紙を複写して、選択した文字を切り抜き、台紙に貼付ける。

Duplicating three sheets of paper on a copy machine, cutting out the selected letters, pasting them on a paper


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文字を貼付け終わったら、スキャナで画像データ化。

Scanning in and imaging the paper


以上、ここまでが自宅で事前に準備しておくこと。

This is the preparation at home by the WS.


WS開始

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今回は、とある縁でデザイン専門学校をお借りしてのWS。

A design college that the WS was held in


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WS開始直前の準備風景。

Preparation just before the WS


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WS開始。参加者皆さんの自己紹介タイム。その後直ぐさま文字読み込み作業に入る。

Self-introductions in the beginning of the WS. Then Doing a work of loading the image of the letters.


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ソフトウェア「ScanFont」に画像化した文字を読み込ませ、各文字のアウトラインを取っているところ。右は左のキャプチャ画像。この段階でアウトラインが上手く行ってないところを修正し、また余分なものを削除したりしてアウトラインデータを完成させる。そしてこれを画像右下に出ているウインドウの一番右ボタン「Export」を押して、ソフトウェア「TypeTool」に文字のデータを読み込ませる。

Loading the image of the letters in “ScanFont”, and outlining each letter. The right photo is the image capture of the screen of the left photo. At this time, you correct, clean and complete the outlines of the letters. And then you load them in “TypeTool”.


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「TypeTool」に文字が読み込まれた直後。右は左のキャプチャ画像。

Complete loading the letters in “TypeTool”. The right photo is the image capture of the screen of the left photo.


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適切な場所に入らなかった文字や元々場所のない合字を適当な場所に配置し直す作業。

Rearranging letters and ligatures in place


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配置し終わったら、サンプル文字を適当に打ち、画面を見ながら各文字幅(Metrics)を設定して適切な文字間を設定する。文字幅(Metrics)だけで対処出来ない場合はカーニングを設定して調整していく。この作業が実は一番時間が必要で、かつ一番大変。そして、文字の形の美しさは勿論のこと、文字幅・カーニング調整がフォント制作の一番の肝である。なので、このWSでも一番時間を割いた作業であった。

After rearranging, you type a text, adjust “Metrics” and fix up the proper character space. Additionally, as necessary, you can set the kerning pair. It is most important for and put in a lot of time on making a font.


先に云った通り、文字幅・カーニング調整している段階でどうしても文字の繋がりが変になる組合せが出てきたので、この時に併せて追加合字を作ることになった(上記画像の「form is empty」のうちの「rm」と「ty」がそれ)。

When I adjusted “Metrics” and the kerning, certain pairs of letters were the “poor connection”, and I additionally ligated the pairs. (e.g. “rm” and “ty” of “form is empty” above)


以上、そんなんこんなんで時間が来てしまい、調整など未完成なまま取り敢えずフォント化してWSは終了。皆々様お疲れさまでした&ありがとうございました。

Thus, as coming closing time, I made my font in the rough and the WS ended.


帰宅後

怒濤のような3週間が過ぎ、別の作品制作も終了してほっと一息、バタンキューと寝落ち。

本日程よく目覚め、落ち着いたところでフォントになった自分の文字を自分のMacにインストール! そしてテキストエディタで打ち出してみた。

The next day, I installed my font in my Mac, and typed a text with a text editor in my font.

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こんな感じ。いかが?

How's that look?


次は大文字と約物練習しなければ。

The next time, I'm going to practice the majuscule, the numeral and the punctuation mark.

2011-11-02

[][][][][][]KCF主催ワークショップ「Ewan Claytonローマン体活字の発展 カリグラフィーからドローイング」に参加してきた

10月29日〜31日の3日間、神戸・カリグラフィー・フォーラム主催ワークショップ「Ewan Clayton(ユーアン・クレイトン)ローマン体活字の発展 カリグラフィーからドローイング」に参加。他にカリグラファーやデザイナー、そして書体デザイナーの面々も参加した良いWSだった。3日間で2000年を俯瞰し、そしてそこから手を動かして書体の形を見ていくという濃い内容。以下3日間の内容をかいつまんで報告するとともに、内容に関する参考文献などを紹介する。

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Ewan Clayton(ユーアン・クレイトン)氏


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2日目のみ違う部屋。


自己紹介

・参加者各自の簡単な自己紹介。しかし、初日終了後の懇親会で面々の意外な経歴を知って吃驚。人に歴史有り。


ラテン文字成立までの歴史

色々な説や呼称があったりしてややこしいが、一般的なものとしては以下の通り。

ヒエログリフ(Egyptian hieroglyphs)

  ┃

原シナイ文字(Proto-Sinaitic script)/ワディ・エル・ホル文字(Wadi el-Hol script)

  ┃

フェニキア文字(Phoenician alphabet)

  ┃

ギリシア文字(Greek alphabet)*1

  ┃

エトルリア文字(Etruscan alphabet)

  ┃

ラテン文字(Latin alphabet)


手書き書体/小文字発生の歴史

ギリシア文字(Greek alphabet)

  ┃

Roman Monoline Capitals

  ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

Rustic Capitals           Roman Square Capitals/Roman Imperial Capitals

  ┃

Old Roman Cursive

  ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

New Roman Cursive         Uncials

  ┃

Roman Half Uncials

  ┃

Carolingian Minuscule

  ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

Italian Carolingian Minuscule    Protogothic

  ┃                 ┃

Humanistic Minuscule        Gothic

  ┣━━━━━━━━━━┓      ┃

  ┃          ┃   Gothic Cursive

  ┃          ┗━━━━━━┫

  ┃                Italic

  ┃

Roman Lowercase Type    


例として、R, D, E, A, B, Hからr, d, e, a(一階建て single-storey), b, hが発生する過程を見せてもらう。驚きはB→b。途中まではdのような形状になるが、筆順が変わることで形状も変化して最終的にbになるのが興味深い。


活字書体の歴史と、その時代の代表的な活字書体をトレースし自分ながらの形に整える作業

概要と重要人物について解説。

  • グーテンベルクの聖書の書体はBlackletterで、活字は400字母あった(幅違いなど沢山の種類を用意して、手書きの雰囲気を活字でも出したかったらしい)

  • 最初のローマン体活字―ニコラ・ジェンソン―この書体から数文字をトレーシングペーパーで模写し、自分なりに形を整える作業をする。そしてこの整えた文字を元に、時代別の代表である以下の書体の特徴を踏まえて文字を作る作業。
  • ジョン・バスカヴィル(John Baskerville)
  • ディドーとボドニ(Didot & Bodoni)
  • ファット・フェイス(Fat Face)
  • エジプシャン(Egyptian)や、Robert Besleyの書体―コントラストの余り無い、黒々とした書体

質問コーナー

自分が質問したのは以下の3つ。

  • 二階建てa, gと一階建てa, gの成立の経緯
  • K, Rのleg(tail)にセリフが付いたり付かなかったりする理由―これは答え出ず
  • long sの成立の経緯―2つの説がある

カリグラフィーペン・平筆で字を書いてみる

今回は体験として。


セリフの起源


以上の内容を元に、最終的に、自分の書体を何文字かでつくる

自分は、その時代の代表的な活字書体をトレースしたものを元に、ウェイト(Weight)ではなくコントラスト(Contrast)の差―太画と細画の差―を同一書体のファミリーとして展開出来るかを試みた。

オーソドックスなローマン体形状を元に、骨格とステム(Stem)の太さを変えずセリフ(Serif)とテーパー(Taper)の太さを順次変えて4つのコントラスト―「エジプシャン・クラレンドンスタイル」、「ジェンソンスタイル(オーソドックス)」、「バスカヴィルスタイル」、「ボドニスタイル」を制作。

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小文字nで4種類制作。小文字aは2種類のみで時間が来てしまった…。左から順に、「エジプシャン・クラレンドンスタイル」、「ジェンソンスタイル(オーソドックス)」、「バスカヴィルスタイル」、「ボドニスタイル」


結局時間が来てしまい、遅筆かつ細かいことに腐心してたワタクシは上記の通りnとaしか書けず。もっと他の文字で様子を見てみたかったがまあ仕様がない。また今回のWSは具沢山過ぎてメモに取り切れなかった。故に今回のレポートはごらんの通り。


文字の形を追いつつ文字の輪郭を3日間書き続けるという経験も中々無いこと。色々な経験が出来た3日間だった。満腹です。


【補足】線のタッチについて

上記写真で、文字の形は線の微妙で微細な位置取りで全体の雰囲気が変わってしまう(それこそ「毛一本分の差」で)ことを2年前のWS(ゴードン恵美 ワークショップ「レターカッティング入門」)で経験し、鉛筆の線の太さ分でさえ文字の形が違ってしまうため、出来る限り書く線は細くして書いた。これにより文字の形をより微細なところまで把握可能となる。芯は尖らせて、紙を撫でるように書いていく。


参考図書

以下に紹介する書籍は、比較的一般的なものに限定している。

資料として配られたものから
Reed, Pen and Brush Alphabets for Writing and Lettering

Reed, Pen and Brush Alphabets for Writing and Lettering

Roman Capitalsの平筆に関する資料として提供されたもの。

Bodoni: Manual of Typography

Bodoni: Manual of Typography

Bodoniの書体見本として提供されたもの。


当日置かれていたもの
Origin of the Serif

Origin of the Serif

西洋書体の歴史―古典時代からルネサンスへ

西洋書体の歴史―古典時代からルネサンスへ

Historical Scripts: From Classical Times to the Renaissance

Historical Scripts: From Classical Times to the Renaissance


文字の歴史
文字の歴史 (「知の再発見」双書)

文字の歴史 (「知の再発見」双書)

世界の文字の図典 普及版

世界の文字の図典 普及版

Writing Systems: A Linguistic Introduction

Writing Systems: A Linguistic Introduction

A Study of Writing (Phoenix Books)

A Study of Writing (Phoenix Books)

Writing and Script: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Writing and Script: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

アルファベットの事典

アルファベットの事典


カリグラフィー・レターカッティング
The Art Of Calligraphy

The Art Of Calligraphy

A Book of Formal Scripts (Calligraphy)

A Book of Formal Scripts (Calligraphy)

The Art of Letter Carving in Stone

The Art of Letter Carving in Stone


欧文活字書体
Letters of Credit: A View of Type Design

Letters of Credit: A View of Type Design

Letter Fountain: On Printing Types

Letter Fountain: On Printing Types

Designing Type

Designing Type

Lettering: A Reference Manual of Techniques

Lettering: A Reference Manual of Techniques

Typography Sketchbooks. by Steven Heller, Lita Talarico

Typography Sketchbooks. by Steven Heller, Lita Talarico


参考サイト

*1:その内の西方ギリシア文字(Western Greek alphabet、またはエウボイア文字(Euboean alphabet)、クマエ文字(Cumaean alphabet)などと呼称)

2011-09-26

[][][][][][][]Zapf展図録販売、代引きの取扱はじめました

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2011.10.11追記:J-LAF様がZapf展図録の販売を開始いたしました。

Zapf展図録の販売が、J-LAF様にて開始されました。 詳細はJ-LAF様のサイトをご覧ください。

なお、なに活様(大同印刷所)での販売は終了しておりますので、なに活様(大同印刷所)へのお問合せ・お申込はお控え頂きますようお願い申し上げます。




2011.9.29追記:おかげさまでなに活様(大同印刷所)にて販売分の図録は完売いたしました。多くのお問合せありがとうございました。


この度は多くのお問合せありがとうございます。

先週9/24より、なに活様(大同印刷所)にて販売しておりました分のZapf展図録(作品解説付)は完売いたしました

残り僅少ではありますが、ご好評につき、なに活様(大同印刷所)へ直接受取の他に、なに活様(大同印刷所)のご助力により、代引きによる発送が可能となりました。図録本体価格と代引き手数料(送料込)は下記の通りとなります。

  • 図録:2,800円
  • 代引き手数料(送料込)
    • 関西・中部・北陸・四国:965円
    • 関東・信越・四国・九州:1,065円
    • 東北:1,275円
    • 沖縄:1,575円
    • 北海道:1,785円

つきましては、ご購入希望の方は下記アドレスのフォームに必要事項と、

  • なに活様(大同印刷所)にご来社して直接受取をご希望の場合
    • 「お問い合わせ内容」に『Zapf展図録希望』と『来社の上直接受取を希望』およびご来社希望日時(なに活様(大同印刷所)営業日時内に限らせて頂きます)をご記入の上(この場合、ご注文後お取り置き致します)、
  • 代引発送でのご購入をご希望の場合
    • 「お問い合わせ内容」に『Zapf展図録希望』と『代引発送希望』の旨をご記入の上、

送信していただきますようお願い致します。

その他ご質問なども、フォームでのご注文時に併せてご記入ください

フォーム内容受取後、なに活様(大同印刷所)より折り返しご案内いたします。

何卒宜しくお願いいたします。

2011-09-16

[][][][][][][]Zapf展図録販売いたします

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2011.10.11追記:J-LAF様がZapf展図録の販売を開始いたしました。

Zapf展図録の販売が、J-LAF様にて開始されました。 詳細はJ-LAF様のサイトをご覧ください。

なお、なに活様(大同印刷所)での販売は終了しておりますので、なに活様(大同印刷所)へのお問合せ・お申込はお控え頂きますようお願い申し上げます。




2011.9.29追記:おかげさまでなに活様(大同印刷所)にて販売分の図録は完売いたしました。多くのお問合せありがとうございました。

2011-09-26追記:残り僅少ではありますが、ご好評につき、なに活様(大同印刷所)のご助力により代引きによる発送が可能となりました。詳細は拙ブログ「Zapf展図録販売、代引きの取扱はじめました」をご覧ください。

今回どうしても都合でZapf展に行けない、でも図録は欲しい、という方のために、9/24よりPrismShop(なに活様)にてZapf展図録(¥2,800、作品解説付)を10冊(+もう数冊)販売致します。

-販売場所:PrismShop(なに活様)

  • 住所:〒531-0076 大阪市北区大淀中3丁目8-11 株式会社大同印刷所
  • 開店時間:11:00~19:00

<申し訳ありませんが、郵送などは致しておりません。悪しからずご了承ください。(当日は活版ワークショップや雑貨販売などもしていますので、見学がてらお立ち寄りください。たのしいですよ!……殆どなに活様の回し者状態ですなw)


図録以外にも、様々な用紙(和紙や特殊用紙など)、活版や製本などの古道具、木活字などなど、たのしいモノも販売していますし、色々な印刷機(手フート6台、アダナ3台、ガリ版、バーコ印刷機など)もあったりして楽しい場所ですので、一度立ち寄ってみてくださいまし。


なに活様にはこんな機械があります。

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手フート6台(写真はワークショップ開催時のもの)


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Heidelberg社製プラテン活版印刷機Windmill(Tiegel)


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左右は米国製ガリ版印刷機、真ん中はミニな手フート機


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箔押し機


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エンボス機2台


上記以外にも色んな機械があります。なに活様の詳細は、なに活様blog をご覧ください。

2011-09-15

[][][][][][][]個人的Zapf展顛末記

遂にZapf展が無事開幕した。今回縁あって、Zapf展の様々な事柄に携わることに相成った。助っ人としてだが、ここでワタクシが関わった事柄をここに書き連ねつつ、Zapf展の紹介をしてみようと思う。


チケット

今回は先にZapf展のポスター・チラシ・図録の制作が進行している状況で、それらのデザインを踏まえたZapf展チケットのレイアウト作業に関わる。

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日付の箇所に訂正シールが貼られているが、これは当初3月開催予定が震災のため延期した名残りである。


会場資料(作品解説)

図録に付録される図録解説を踏襲しながら、サイズが異なるため版面設計から組版作業、版下制作全てに携わる。途中色々と修正や見直しがあって関係者皆大変だったが、その分図録解説と会場資料(作品解説)は良いものになったのではないか。小林章さんが図録解説と会場資料(作品解説)について書かれているように、是非読んでいただきたい。

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会場資料(作品解説)

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図録解説(図録に付属)


展示会場用作品キャプション

会場資料(作品解説)からテキストを流用して展示全作品のキャプションシール版下を制作。

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作品キャプション貼付作業。アクリル板に貼っているが、後ほどテーブルクロスの方に貼り替えることになる(泣


作品運搬

本来は3月開催予定が、震災のため9月に延期になったが、その間作品たちは何処に眠っていたか?

実は大阪市内の某倉庫なのであった。8月下旬に某倉庫からの搬出作業の運転手をコッソリしてたりするw


搬入作業

ワタクシ自身は昼過ぎに「重役出勤」したゆえ途中参戦だったので、壁への作品展示作業は既に終了済だった。なので写真もない。


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トップライトの調整


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テーブルの上への作品の配置作業


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テーブルの作品にアクリル板をかぶせる。静電気がっ!


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作品キャプション貼付作業。自家製物差しと共に


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プロジェクターの接続確認作業。翌日思わぬ事態が…


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という訳で搬入作業完了。初日を待つのみと相成った。皆密かにドキドキ


初日

無事初日の朝を迎える。

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ギャラリー玄関口にもポスターが貼られて準備万端


開廊の時間、午前11時。

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既に観覧者が!


その後も観覧者は途切れることなく見えられ、順調に夕方へ。

ギャラリー横の白壁にZapfさんの作品のイメージ映像を流していて、日中はほとんど見えていなかったが、夕方になり見え始める。

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宵の口に入り、オープニングパーティーの準備に入る。

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パーティーに参加される方々が続々と。

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著名な方が続々と!ス ゴ イ


パーティーの挨拶

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嘉瑞工房 高岡さんのご挨拶


Linotype社 小林章さんのドイツからの講演

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Skype経由での生中継!サーバー等のトラブルにも関わらず見事完遂


パーティーに参加された方々、作品観覧中

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物品販売:図録、書籍、見本帳など

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レアアイテムばかり


物品販売:ポストカードや、見本帳CD-ROMなど

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Zapf夫妻向け記名帳

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用紙は嘉瑞工房さんの活版印刷!行かれた方は是非ご記帳を


ワタクシ自身は、合間を見つけては、ひたすら作品を凝視しては字の形や繋がり方、筆勢などを頭に染み込ませようとしていた。特に魅入っていたのは、ギャラリー入口すぐ右のHermannさんのcursiveの作品2点(図録p.19とp.20)と触って観てよい書籍1点(図録p.26)。字の繋げ方が、思いもしない、でも理に適っている書き方や、先日のTypeTalkでJ-LAF代表の三戸師匠が解説されていたという、小文字dの色々な書きぶりを垣間見ることが出来て、早速真似をしようと心に誓ったのであった(このブログに多分、恐らく、性懲りもなく、書いた文字を載せることになると、思う)。あと、GudrunさんのDiotima-Kursivのスケッチは、カリグラフィーペンを使って、小文字aでもcounterを広くしたり狭くしたりbranchingを深くしたり浅くしたりと様々な書きぶりを試したことや、一般にこのようにカリグラフィーペンで書体設計する方はあまりおられないと思うので、その辺が垣間見えて密かに興奮していた。

結局2日間も観覧する機会に与ったが、それでもまだ観足りない気分。観れば観る程新しい発見があるので、時間が許す限りじっくりと目を皿にして観ていただきたい。


搬入作業や初日の模様は、上記掲載分以外の写真もFlickrにて観ることが出来たりするので、是非ともご覧くだされ。


あとがき

まだ色々書きたいことがあったような気がしているがどうにも思い出せないので、思い出した時に密かに追記しておくことにする。

2011-01-25 「大文字のß」

[][][]「大文字のß」の概説

深夜twitterを眺めていたら「Capital Sharp S」という記事を見つけた。これは何だ、とリンク先をクリックしたら「大文字のß」についての記事だった。

「大文字のß」の存在は、「エスツェット」などと名乗っている手前知ってはいたが、由来などは気にかけて来なかった。

今回は拙い英語力で、主に『Capital Sharp S – Germany’s new character | Ralf Herrmann’s Typography Weblog』を解読しながら、ざっくりとした概略を解説することにする。

詳細を知りたい方は、下記の「参考文献」をどうぞ。


はじめに

2008年4月4日にUnicode 5.1が公開された際に「大文字のß」は「U+1E9E LATIN CAPITAL LETTER SHARP S」として登録された。

元々「小文字のß」はあって普通に使われていたが、「大文字のß」は、それまでのドイツ語表記法とドイツ語自体の特徴により、ある時期までは必要とされなかった。


ドイツ語表記法とドイツ語自体の特徴

大体第二次大戦終了まで、ドイツ語はblackletter(俗にドイツ文字)で表記されることが多く、且つ語頭は大文字で他は小文字で組み、現代のように大文字のみまたはsmall capsで組むというような組み方はしなかった。

またドイツ語自体の特徴として、文章の最初または名詞の語頭は必ず大文字にするが、語頭に「ß」が立つことは決して無かった(今もない)。

それ故、「大文字のß」は単純に必要がなかったのである。


「大文字のß」の必要性の議論と代用綴り

現在ではドイツ語はblackletter(俗にドイツ文字)で組むことは無く、ローマン体などで組まれ、また頻繁に大文字のみまたはsmall capsでも組まれることが多い。故に「大文字のß」の必要性が出てくることになる。

1903年に、ドイツ・オーストリア・スイスの印刷業者と活字鋳造業者のとある委員会でblackletter以外の書体にも「ß」が必要であると宣言した際に「大文字のß」についても協議されたが、字形が決まらないままであったため、大文字で組んだ文章では「ß」は「SS」または「SZ」で代用されるのが習慣となった。

その後も、度々「大文字のß」を使用した実例が出てくるのだが、大きな話題になることも無く、今も「SS」で代用されることが続いている。


「大文字のß」の必要性の一番の理由は、1996年7月に改正されたドイツ語の正書法にある。

それまで「ß」の使用は慣習のままであったが、この改正では一つの新たな使用法が「ß」に与えられ、「ss」との住み分けが明確に行われた。

その住み分けとは、「ß」は直前に来る母音が長母音になる場合に、「ss」は直前に来る母音が短母音になる場合に夫々用いられることを厳密にしたことである。そのため、これまで「ß」を用いていた「Kuß」(英:kiss)は元々発音が[kús]のため「Kuss」となり、「Fuß」(英:foot)の発音は[fúːs]のため「ß」のままである。

この明確な発音の住み分けのため、大文字で「Fuß」を表記したい場合、従来のように「ß」を「ss」で代用して「FUSS」をした場合、発音が[fúːs]ではなく[fús]と短母音化した表記となるという問題が出てくるだけでなく、「Masse」(英:weight)「Maße」(英:measures)のように別語が両方とも「MASSE」となり語句の区別が出来なくなる問題も出てくる。


ただ、スイスでは正書法として既に「ß」を使用しておらず、すべて「SS」「ss」と綴るので、上記の問題はどうしているのか、そしてそもそもの「ß」の成立の由来、などはまた別のお話。


追伸:『Capital Sharp S – Germany’s new character | Ralf Herrmann’s Typography Weblog』中の画像(A design for a capital Eszett by the font foundry “Schelter & Giesecke” (Hauptprobe 1912))内の「Ö」「Ü」のウムラウトの位置が面白い。


参考文献

「大文字のß」

「ß」の由来を知りたいという方は、以下をご覧あれ

2009-12-10 今週の書籍

[]購入準備中

Origin of the Serif

Origin of the Serif

カリグラフィークラスで最初にトラヤヌス帝の記念柱の碑文のローマンキャピタルを模写していて、

どうにもSerifの形状が気になって、偶々この本がある事に気付いて。

Amazon Japanでは現在扱っていないので別ルートでお願いしているところ。

中身のことは全くわかってないが、はて大丈夫か?