Hatena::ブログ(Diary)

本読みに与ふる日々〜どら猫的読書生活

2011-04-11

東日本大震災から1ヵ月後の随想、昨日の都知事選について

21:20

東日本大震災から1ヵ月が経った。とはいえ、あれほどの壊滅状態を目の当たりにして、つらい避難生活を余儀なくされたから、3ヵ月いや半年過ぎたように感じる。非常時は時が経つ速さが遅く感じられるのか。東北はまだ寒く、桜が咲くのは今月末から5月上旬あたりとのことだ。被災者たちが本当に心穏やかに過ごせる日が来るのを、祈ってやまない。

福島第一原発の被曝事故については、怒りもあり、かつ茫然とさせられた。原子力発電は危険だとこれまで本ブログで記したが、何故それほど安全性を過信してきたのか。チェルノブイリ原発事故当時はまだ子供で、何ひとつ知らずにいたが、この恐怖は他人事ではない。また原発で働いている社員たちもどのような想いで、この極限状態の恐怖と闘っているのだろうか。そこには下請け企業の社員たちも含まれているのだから、なおさら危険で悲惨だ。原発をやめろと言っても、まだそうはいかない実情がある。そのため、我々民間では節電意識が高まっている。少しでも明かりやテレビなどを消して、必要以上に使わないようにしている。少し前は派手にネオンやイルミネーションで使われたのだが、今となってからはそうはできなくなる。しかし我々は電気がなければ生活できないのも事実である。豊かさの裏側の危険性を思い知らされた話である。

さらに困ったのが、自粛ムードと前向き激励のダブルバインドだ。ACジャパンのCMが企業ものに代わって放映され続けたが、心底見るに耐えないものがある。それは「今、私たちができること」と「日本の力を、信じよう」だ。そのCMで伝えたいことはわかる。しかし、あまりにも押しつけがましいメッセージに、困惑気味だった。「必要以上あるいは無駄な消費はしない」など、ある自粛させるメッセージを無邪気に視聴者に植えつけさせる。さらに、派手な感じの祭りやイベントは次々に大震災の社会的影響(?)から中止を余儀なくされた。そのくせ「日本の力を、信じよう」と前向きな激励を飛ばすCMが放映されている。これはミュージシャンのトータス松本氏が出演したものだが、「日本は強い国」など威勢よく台詞を発するのだ。これを見た途端、かつての小泉劇場時代の自民党のCMを思い出してしまい、ぞっとし、なおかつ困惑した(最近では別の人のバージョンが放映している)。他にもサッカー選手が「日本全体がチームです」、「ニッポン、ニッポン」と激励したのには、ワールドカップなのかと思い、これまた困惑した。この違和感は

何か。自粛と前向きのダブルバインドではないかと睨む。そんなに「日本の力を、信じよう」というなら、日本製の商品(とりわけ東北の名産品)を買い、祭りや花見で、敢えて経済を活性化し大規模なイベントで元気づけるのが筋ではないのか。自粛していては、未来を生きる活力すら目減りしてしまうのではないのか。矛盾である。

サッカー選手もCMに出るだけで留まらず、チャリティープレーをするといいし、トータス松本氏もチャリティーライヴの決行を考えてもいいと思う。こんな矛盾に満ちた事態で粛々とすることが、非常に違和感なのである。

救いになったのが、多くの著名人や民間人が義援金を提供すべく募金活動を勤めたことだ。1ヵ月にして多額の義援金が集まった。これはもはや自分一人では生きることはおろか何もできない、もう無縁社会ではいられないことを表している。力を出し合うことで、他人を救うことができ、自分の存在価値をも見いだすことができるわけである。情けは人のためならず精神を呼び起こした光景だ。しかし、安心はしてはいられない。義援金はすぐには手渡せないのだ。日本赤十字社などの団体で計算をし、被災者側や復興のための資金に配分されるそうだ。いち早く届けて欲しいものである。

さて、昨日は東京都知事選挙だった。その結果は、惨憺たるものだった。選ばれたのは、また石原慎太郎氏だ。今回の大震災は天罰だという、馬鹿極まりない発言をかました人だ。他にも愚の骨頂というべき発言をした。石原氏も、もしやブッシュ大統領ではないかと思わせるが、その人に投票した人たちも愚民と言わざるを得ない。今まで散々都民ならず我々にも悪影響を及ぼしてきたにも拘わらず、また懲りずに翻弄させようというのか。

この期に及んで今更と思うが、是非読んで欲しい本がある。斎藤貴男著『東京を弄んだ男 「空疎な小皇帝石原慎太郎 』(講談社文庫)である。これを読めば、石原氏を投票したことを後悔するだろう。

http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4062769158/ref=mem_taf_books_a?qid=1302439100&sr=1-6

この大震災で、日本人の優しさや思いやり、繋がる力は証明した。しかし、足りないものがある。怒りである。怒りといえども単にバッシングして溜飲を下げるだけではない。この未来に何が必要か冷静に見極め、それに向けて理不尽にもめげずに闘う力のことを表す。ただ怒りを堪えて粛々いればいいということ自体、都知事や無能な政治家の思うつぼである。今だからこそ本気で、一時だけで収まらないほどに怒りを示すときが来たといえよう。そのときが来るのはいつかというのが問題である。

SPYBOYSPYBOY 2011/04/12 06:24 コメントありがとうございます。
ボクもACの今のCMは気持ちが悪くてなりません。特にニッポンは強い国、とか言ってるバカ。あのCMに出演しているタレントは今後ボイコットしようと思っています。節電ならああいうのこそ自粛しろと。ちなみにACは各電力会社が理事に入っていると思います。もちろん、あのCMも意図があるんでしょうね(笑)。
それにしても公私混同の権化 石原慎太郎に投票するような人間が260万人も居ると日本人の統治能力そのものを疑いたくなります。こらあ、見通し暗いわ、と(笑)。

satosuke-428125satosuke-428125 2011/04/12 07:07 ACジャパンのCMといい、石原都知事4選といい、震災後の日本人の感覚は鈍くなってきているように思いますね。
自粛では何も変わらないし、復興に向かえない。前向き思考では気力すらすり減っていくだけ。やはり一人一人が感じ考えていかなくてはいけないですよね。

SPYBOYSPYBOY 2011/04/12 21:27 >この大震災で、日本人の優しさや思いやり、繋がる力は証明した。しかし、足りないものがある。怒りである

仰るとおりだと思います。自粛では何も変わりません。無能な政治家だけでなく、マスコミや広告代理店が情報の汚染を垂れ流している、この国では。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/satosuke-428125/20110411/1302524458