国連総会で我が国を“盗人”呼ばわりした楊・中国外相は、良識ある列国から顰蹙を買ったことだろう。これが国連を牛耳る「安保常任理事国」の本当の姿なのである。
そんな“田舎の信用組合”を、自国の安全保障の根幹にしている方が異常なのだ。昭和32年に急ぎ作られた「国防の基本方針」という“怪文書”の第1項には「国際連合の活動を支持し、国際間の協調を図り、世界平和の実現を期する」と明記されている。
大方の国民は読んだこともなかろうが、今回の楊外相の「品格無き」発言で思い知ったことであろう。
こんな“組合”に、わが国は多額の“組合費”を払っているし、中国には年間40億円という、いわれなきODAを払っているのだ。
早く目を覚ますべきじゃないか?
「世界平和」を実現しようにも、皮肉にも今度の中国内での放火、略奪、破壊を伴ったテロ行為で、「平和堂」が総額30億円の被害を蒙った、と平和堂社長が会見した。
「平和」という看板には効き目がなかったことを今回やっと悟ったことだろう。
≪国連総会の場で日本を盗人呼ばわりした楊外相=産経から≫
今朝の産経6面の「from Editor」欄に、小林隆太郎編集委員は、≪「品格」まで失った中国≫と題して、今回の反日デモや抗議活動は、日系企業への破壊、略奪行為にまで発展したが、≪民衆が、政府や国民に向かって行動的な意思表示をするデモ行進まではいい。だが、特定の存在物に対して破壊・略奪行為を働くことは、一応、憲法をもつ国・国民として「あるまじき行動」である。そうした行為が「愛国無罪」などという、現代国家では信じられないような言葉や法概念で許されるのだとしたら、もうなにをかいわんやである≫
戦後の日中国交正常化に向けて実に多くの人々が辛労を尽くしたが≪そうした人や企業に「中国人は水を飲むとき、井戸を掘った人を忘れない」との考え方を示し、対応をとってきた。政治状況がどう変わろうと、また経済人に限らず、両国の友好と発展のために「井戸を掘った」外国人への尊敬と信頼感を持ち続けてきた。そうした「信義を重んじる」外国とのつきあい方は、中国という国がグローバリズムの中で持つ「国家の品格」といっていいものだ≫が、それが“崩壊”した。
≪日中経協の元幹部の言葉を思い出した。「日中は一衣帯水の隣国同士です。だから、問題も起きやすい。といって“地理的な移動”は永久にできない。互いに信義を大切にし、話し合いを続けていく以外ない」。でも、品格すら失った中国に、これからどう話し合えばいいのだろうか≫と書いた。
しかし、国共内戦で実権を握った、毛沢東率いる中国共産党には、もともと「品格」なんぞなかったのである。
孔子・孟子などという“賢人”は、3000年を誇ったシナの歴史上の登場人物であり、現代中国人には一切無関係なのである。このことを今の日本人は理解していない。
中国の知識人の中には理解している人も多いのだが、一党独裁の現政権下では、直ちに収監され、内臓を売買されてしまうから、とても口には出せないのである。
≪毛沢東の顔写真を掲げた反日デモ=産経から≫
産経抄子もこう書いた。
≪いやはや恐れ入った。小欄も時折、「孫も読んでいるので下品な表現はやめてください」といったお叱りを頂戴するが、国連総会の場で他国を「盗っ人」呼ばわりする中国の外相にははだしで逃げ出さざるを得ない。
▼ビアスの「悪魔の辞典」によれば、外交とは「祖国のためにウソをつく愛国的行為」だそうだが、楊潔篪外相は希代の愛国者だ。なにしろ、「尖閣諸島は中国領だ」というウソを論証しようと、次から次へと珍論を繰り出す力業は尋常でない。
▼珍論の白眉は、「第二次大戦後、カイロ宣言やポツダム宣言などに従い、これらの島々を含む占領された領土は中国に返還された」とのくだりだ。両宣言とも尖閣のセの字も書いていないばかりか、かの島々が中国や台湾に返還された事実はまったくない。
▼ただし、ウソも100回つけば真実になるのは人間社会の悲しい常で、日本側が即座に反論したのは良かった。外交の場では、沈黙は金どころか、黙っていては相手の言い分を認めたと宣伝されかねない。
▼日中国交正常化から40年の節目を迎えたが、偽りに満ちた「友好」の時代は終わった。河野洋平前衆院議長をはじめ、友好団体の長が雁首(がんくび)そろえて北京詣でをしても首相はおろか引退間際の幹部にしか会えなかった事実がすべてを物語っている。
▼反日暴動に文句も言えず、「非常にいい会談だった」と話す財界人にもあきれたが、「中国のみなさん申し訳ない」とテレビで尖閣国有化を謝罪した親中派もいる。「売国奴」という下品な表現は使わぬが、11年前の自民党総裁選に名乗りを上げようとした野中広務元官房長官の野望を、同じ派閥の幹部が潰してくれたことを小欄は今でも感謝している≫
ところで中国では、中国のテニス選手・李娜さん(30)が、日本の大会に出場したところ、「李娜は漢奸(売国奴)」だと批判が殺到しているという。
≪中国国内のインターネット上で「漢奸(売国奴)」などと罵られながらも、東京で行われた東レ・パンパシフィック・オープンに出場した李娜。3回戦で敗退した=26日、有明テニスの森(AP)=産経から≫
≪本来、政治・外交とは無関係であるべきスポーツ界にも、その影響が波及。互いの国で開催される大会への欠場が相次ぐ中、日本で開催されている大会に出場した中国の女子テニスのスター選手、李娜(りな)(30)が、中国国内のインターネット上で「漢奸(売国奴)」などと罵られている(産経)≫というのだが、日本では、中国に“謝罪”に行った方々がいる。その一部は次の表に出ている通りだが、これらの日本人??グループに我々は何と声をかけたらいいのだろう?
「売国奴!」というのは「品がない」から、「そんなに中国が好きなら中国に帰化なさい」とでも勧めるべきか?
自分は日本で「行動と言論の自由」を満喫しておきながら、人権否定する圧政国に「胡麻を擂る」のは、品位どころか2重人格者に見え、平和国家日本に甘えているとしか言いようがない。
≪「中国のみなさん申し訳ない」尖閣国有化を謝罪した親中派。元外交官は仕事かもしれないが、ほかの方々は案外シナ人かも‥=産経から≫
すでに書いたと思うが、楊さんや習さんは、人生の一番大事な時期を「文化大革命」という騒乱の中で過ごし、勉強したくてもできなかった世代である。
≪紅衛兵につるし上げられる劉少奇夫人=インターネットから≫
彼らは中学卒業後、否応なしに下放されて、紅衛兵とやりあうか、土木作業に従事するか、書物も焼かれ、とにかく読書もままならなかった。勉学の意欲はあっても、時代がそれを許さなかったのである。
日中安保対話の後、楊外相の実の弟と会食した時、ゆで卵を取った彼が私にこう言ったことがある。
「ゆで卵を見ると、つらかった文革時代を思い出します。1個の卵を4人で分けて食べたのです。幸い私は遠縁の寺院に預けられたので、新聞を買いに一日往復10キロ歩いて町まで出たものですが、その道すがら、中国の仏典を読む機会がありましたから、何とか空白を避けられました。実につらい10年間でした…」
この体験は一生頭から抜けないであろう。習さんは、文革が終わると親の引きで精華大学に無試験で入ったのだが、何を勉強したのだろう?というのがシナの友人の疑問である。
それと同じ現象は、わが国でも起きた。有名な≪学園紛争(1969)≫で、象徴的なのは東大の安田講堂攻防戦だろう。
≪安田講堂攻防戦。こんな戦争ごっこに明け暮れていた青年たちが、今や大臣閣下である!=日録20世紀(講談社)から≫
こう歴史を振り返って見ると、中国の現代要人たちに「品位がない」のは当たり前じゃないか?
だから、もともとなかった「品位」を失うことなどはあり得ないのである。我々が、彼らを我々と同じように品位があると誤解していただけなのである。
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