軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

“大乱”の「午年」か?

今年は「午年(甲午)」、過去を振り返ると「大化の改新」「本能寺の変」「赤穂浪士の討ち入り」「日露戦争」など、歴史的な事変が起きている。
「午」の文字は「忤」の形の象形文字で、「突き当たる」「逆らう」という意味がある。
「午」の文字を分解すると、上の「ノ一」は地表を、下の「一」は陽気、「|」は陰気が下から突き上げて地表に出ようとするさまを表し、相反する二つの勢力が衝突する可能性を孕んだ年だといわれている。また草木の成長が極限を過ぎ、衰えの兆しを見せ始めた状態を表している。そこで知人からの年賀状に「昨年の巳年は新たなスタートを切る切っ掛けの年でありましたが、本年は二つの勢力の激突によって大変革をもたらす可能性のある年だと考えられます」と書かれていたことを思い出し、改めて読み直すと、そこに「戦後の利権利得者らが、がむしゃらにしがみ付く戦後体制によって、わが国は真の自主独立を阻まれていますが、午年に当たり、愈々アメリカを後ろ盾にした戦後体制にもひびが入りつつあるように思います」とあった。
年明け早々からの出来事を眺めていると、見事に「緊張感に欠けた」今年の世相を予見しているように思う。


横浜地検川崎支部から「逃走」した凶悪犯の追跡劇は、治安を預かる部門の弛みきった状態を世間に晒したが、威信をかけた神奈川県警の大捕り物は、全県警の四分の一近くに当たる四〇〇〇人もの警官が動員され、陸に、空に、水上にと47時間も繰り広げられた。
捕えたのはよかったが、事態発生の反省はなく、予想通りこの大失態を償うために、川崎支部に「接見室」を設置するのだと言う。
役人が考えることは結局「予算請求」で終わるのであり、担当者の過失?よりも部屋がなかったことが主因となり、これが整備されて一件落着!となるのだが、その後も同様な事件が起きるのが習わしだ。

武田信玄は「人は石垣、人は城」と言った。人の育成なくして、改善はありえない。県警は猛省すべきである。


他方メディアもそうだ。陸上自衛隊の火力演習では、「いくらかかった!」と如何にも税金の無駄遣いかのように書くが、今回の「失態劇」で県警がどのくらい県民の税金を浪費したかは書かない。
それどころか、微に入り細にわたって捕り物劇を報道し、如何にも仕事をしているつもりのようだが、捕まったらそれでいいじゃないか。
にもかかわらず「どうして捕まえたか」など警察行動の詳細を報じる必要はあるまい。
特定秘密保護法違反」じゃないか?といいたくなる。今後の警察活動に支障があるとは考えないのか。
勿論国内に蠢く「間接侵略予備軍」に対するサービスだとは考えたくないが、相手側は治安情報がただで手に入って笑いが止まらないことだろう。確かにこの国は、事件事故、治安維持に対する感覚が異常である。

一方三重県四日市では、化学工場が爆発して5人が死亡する痛ましい事故が起きた。水素爆発らしいが、爆発物を取り扱っているにしてはいささか緊張が足りない。
この工場では一昨年2月にも、同様な洗浄作業中に排水溝の蓋が吹き飛ぶ事故があったはずだ。

更に不思議なのがアクリ・フーズ群馬工場の冷凍食品から農薬が検出された事件である。
2008年1月、千葉県市川市で冷凍食品の「手作り餃子」を食べた女性や小学生らが意識不明の重体になった事件があったが、当時は「中国製の毒入り冷凍ギョーザ事件」として有名になり「メタミドホス」という薬品名が巷で有名になった。中国側当局が容疑者をとらえたと言うが、その後中国政府から何らかの謝罪を含めて解決したとは聞いていないから、この手の事件の裏には何かがあるような気がしてならない。

更に奇妙なのは、餃子の王将社長射殺事件のその後の展開である。慎重に捜査しているのだろうと想像しているが、北九州の漁業組合長射殺事件もおかしい。

メディアは、おそらく外国人が絡んでいそうなこの事件を追求したらどうだ。
外国人の犯行か?と騒がれた世田谷一家殺人事件も、毎年年末に「お墓の前で逮捕を誓う世田谷署員」の写真が出るだけで終わっていて、このところ未解決事件が多すぎるのじないか?その原因はどこにあるのか?

川崎支部に接見室を新設するのもいいが、事件捜査の“達人”たちに対する処遇も見直すべきではないのか?
法治国家たる国家が衰退するのは、厳然たる法の執行と治安の確保が出来なくなった時である。
まるで我が国もシナの国内情勢に似てきたかのような気がして、今年は不安な気がする。
法務省はもちろん、警察庁も人材確保と処遇こそ緊要じゃないのか?今年は照覧足下を重視して「過失」が続かないようにしてほしいと思う。


さて、いよいよ都知事選が“過熱?”してきた。年末からアドバルーンを上げていた候補以外に、元航空幕僚長の田母神氏が名乗りを上げた。
氏は2008年10月31日に、アパグループ主催の懸賞論文へ応募したカドで、突如解任されたが、この時の「嫌疑」は、「上司に届け出ることなく部外に投稿した」という「保全規則上に問題」があったとされていた。直後に幕僚長を更迭され、以後登庁に及ばずと身辺整理も、部下に対する訓示も出来ないまま、航空幕僚監部付とされ、同日付で「航空幕僚長たる空将」から“単なる”空将(★4つから3つ)に格下げされ、冷たく防衛省から追放された。
任期中の最後の記者会見では、一部の記者から「賞金の300万円を何に使いますか?」と聞かれ、「みんなとラーメンでも食いに行くか」と笑いを誘っていたのだが、問題化して以降、受賞作品を読んだ関係者は「政府見解と対立する内容が書かれていた」と巧みに問題をすり替えた。ところが一般国民の間には「田母神氏の見解は正論だ!」という反響が広がり、熱狂的な支持を受けるまでになった。つまり、国民の大多数が、時の政府の軽率な決定の方を批判したのである。
その後彼の人気が高いことに目を付けた時の政府は、彼を、参院選に出馬させようと図り、やくざまがいの「手打ち」を計画した。その意を受けた記者OBから私にまで協力を依頼してくる始末。彼の決意を知っている私は「直接本人と交渉するように」とお断りしたのだが、それは実に見苦しかった。
彼は「手打ちするには条件がある。記者会見の場で時の大臣が土下座するなら応じよう」と突っぱねたという。
一田母神個人の問題ではなく、国の“空軍大将”の地位に関する問題だったからである。それまでの自衛隊に対する政治家(いや、戦後の利権利得に、がむしゃらにしがみ付く戦後体制べったりの政治屋)らの思考はその程度だったのである。

今回彼が都知事選に立候補を決意したと聞いていささか驚いたが、彼は6年後の東京五輪は「ロシアのソチ五輪同様、近隣諸国からの妨害がある」とみているようだ。直下型地震も油断できない。東京都初め、国内の治安維持はこれからの必須事項である。何よりも4つ星が都知事に選出されれば、同盟国も、反日アジア諸国も声が出まい。今までは“軍事音痴”の政治屋が相手だったのだから、彼らにとっては「赤子の手をひねるよりも楽」な外交だった…


今朝の産経は、東京都知事選に、元首相の細川氏が加わるらしいと混戦状況を報じているが、それぞれの主張を見比べてみると、予想される「午年」の混乱に関して「国家安寧の方策」を述べた者は一人もいない。
しかも全国紙にこの程度の見出し記事が踊っている様では、東京都民を馬鹿にするにもほどがあるだろう。
「菅元首相、細川氏にエール『宇都宮氏は当選できない』」
細川氏は『骨董品』 変わる流れ 各党・陣営やきもき 」
「細川元首相が出馬を検討 小泉氏と『脱原発』で連携模索 」
「時間切れ…自・民、舛添氏支援に動く」
「『本命』舛添氏の意向表明で情勢動き出す 宇都宮、田母神陣営も準備…」(産経)


我々有志が主催する平河総研の「甦れ美しい日本 第1463号」に西村真悟議員が「首都東京から『脱戦後』へ!」と題して、要点を掴んだ論評をしているのでメルマガをご覧いただきたい。

改めて「戦後の利権利得者らが、がむしゃらにしがみ付く戦後体制によって、わが国は真の自主独立を阻まれていますが、午年に当たり、愈々アメリカを後ろ盾にした戦後体制にもひびが入りつつあるように思います」という友人の年賀状が思い出されるが、「本年は二つの勢力の激突によって大変革をもたらす可能性のある年だと考えられます」という近隣諸国の動きも無視できない。


反日で固まっているシナは、渤海湾北西部に新たな海空軍基地を増設し、海軍力、特に空軍力の強化を開始した。これは2008年から2012年にかけて建設されてきていたものだが、殲11などの訓練を開始したという情報がある。これはいわば米第7艦隊の横須賀と厚木基地の関係を想像すればわかるだろう。瀋陽訓練空域の南約8キロに新空域を設定したともいうから、突如公表された「防空識別圏」とも関連している。
彼らは渤海湾の制海・制空権を確保し、異様なほどの軍事訓練を強化しているのは、日清戦争120周年目に当たり、人民解放軍は「歴史は動きつつある!」と今年を認識していると言うがその裏で起きている政争、特に周永康事件は「黙秘」を続ける彼に対して打つ手が無くなっているともいうから、暴発はあり得るだろう。


ところで習近平主席は意表をついて市内の肉まん屋で「肉まん6個とレバー炒め、野菜炒め」を食するパフォーマンスを演じたが、これが政府要人にとって衝撃的だったのは、農薬まみれのニンニク、ニラ、大根、ネギという毒入り食材から要人を守るために常時行われている側近による「毒見」がなされなかったことと、そんな“におい”が強いものを食べて「外交交渉」の場に出ると、外国要人から顰蹙を買う、という点にあったらしい。
他方人民の方は、習近平は21元をポケットから支払ったが領収書をとらなかったから「税金はどうなっている?」と批判しているという。
こんな程度の国が近代兵器というおもちゃを持ち、月を支配しようとしているというのだから、隣国としては安閑としてはいられまい。
少なくとも東京都民は「巧言令色少なし仁」という言葉をかみしめる時が来ているように思う……


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