軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

何事にも動じない!?“戦後日本人”

シリアの化学兵器使用に対して間髪をいれず攻撃したトランプ大統領
大人の意見を聞く気もない北の指導者が、ミサイルを連発して核実験をにおわすと、今度はカールビンソン攻撃群を移動させた。
朝鮮半島をめぐる軍事活動は、米韓演習に引き続いて緊張の度を増しているが、“肝心要”の韓国はあの有様で「壊死状態」

一方、わが日本は、おそらく政府は自衛隊にそれなりの対処をさせているだろうが、政治家は全く体を為しておらず、暴言、失言にとどまらず、人間としての最低限度のモラルさえもわきまえない輩が頻発している。≪親が親なら子も子≫とはよく言ったものだ。多分DNAが濃いのだろう…。
世界情勢が緊張している時に、どこまで我が国の指導者たちは低レベルなのかと言葉もない。


軍事力と外交力をうまく交互に活用して行動している米国は、トランプ大統領が公約した「偉大なアメリカ」を世界に示しつつある。次の写真が明瞭に変化を示していると思うが…。


ビンラディン襲撃時のホワイトハウス情景。オバマ大統領は隅っこに蹲っている…


シリアミサイル攻撃時のホワイトハウス情景。トランプ大統領が指揮を執っている!


ところで、誰が見てもロシアは、かっての超大国ソ連ではなく経済的に疲弊しつつある中流国に成り下がっている。例えばシリアへの軍事介入費は一日100万$以上に膨れ上がり、ウクライナ東部とシリアの2正面作戦は不可能になりつつあるから、シリア内戦への干渉をそろそろやめたいと思っているに違いない。
化学兵器を使用する決定をしたのは、多分アサドだろうが、そうだとするとプーチンは煮え湯を飲まされたことになる。
今までだったら、クルーズミサイルを撃ち込まれれば対米反撃姿勢を示したものだが、今回プーチンがそうしなかったのは、何かわけがある。
アサドが“暴走した”ことを不快に思っているのか、それともミサイル攻撃を直前にトランプが教えてくれたことでメンツが保たれたからか?
いずれにせよプーチンは、表向きどうであれトランプに好感を抱いたに違いない。
その証拠にプーチンは、米国務長官の訪ロをキャンセルすることなく、ティラーソン国務長官と会談したではないか!


機を見るに敏で商売に長けたトランプらしい「戦略」は、中国に対しても効果を挙げた。
夕食会上で、シリアへのミサイル攻撃を伝えたことと、北朝鮮に対する影響力発揮を要請したことである。これには習主席は困惑しただろう。想定外の「米中会談」になったのだから、随行者の誰ひとりとして「想定問答集」を用意していなかったに違いないからだ。

これで北朝鮮情勢に関するボールは、中国の手に渡った!
そこでトランプは「お手並み拝見」の策に出た。
カールビンソン攻撃群をわざわざ南シナ海入り口で遊弋させ、中国に強大な戦力と行動力を見せ付けている。


他方、金正恩は米国の直接的“忠告”ではなく、“友誼関係にある中国”による説得を強要される形になったから、シナの助言なんぞ聞く耳を持つまい。
情報によると、行き詰った中国は、金正恩に「亡命」を奨励しているというが、亡命してもいつか「暗殺」されることは彼が一番良く知っているから受けつけまい。

さあ、大国である「中国」の実力が試されている! 今度は昔の6者協議の様にはいかないぞ! ところで、国内には何匹かのトラがまだ生きているから、習主席としても強硬策はとれまい。プーチンもアサドも習近平も、全てががんじがらめになっているのだが、一人、ジョーカーを握っているトランプだけは悠然たるものだ。

米国に直接届く(という)核搭載のICBMはまだ完成していないから、直接的脅威には程遠い。しかし金正恩としては今回説得に応じて、核とミサイルを放棄してしまえば、北朝鮮という国そのものの存在が危なくなる。だからそれだけは死守しなければならない。

アメリカは北の“実力”は先刻承知だから言っても効果はないが、脆弱な韓国には脅しは通用する。さらに、極楽とんぼの日本こそいいかもだ。在日の手を通じて情報は詳細に入手しているから、その弱点は十分知っている。脅すなら日本と韓国だ!正恩はそう思っていることだろう。
それで米国の足を引っ張ろう、というのが北の戦略になるのだが、見事に日本のメディアはそれを手伝ってくれていて、日本国民は在日米軍基地がある本土に北のミサイルが降ってくる、と恐怖心を持たされつつある。
憲法9条を守る会」はどうしたのか?一切無言だが、憲法9条がカラ念仏だったことと、軍事音痴の政治家らの手腕には期待できないことが国民に分かったことはよかったが、逆に国民はメディアによって無用な?恐怖心を抱かされつつある。

しかし実際には、どこのTVもバラエティーショウで視聴率稼ぎをしているだけで“恐怖に対する対策”を解説することはなく、せめてJアラートの解説どまりだ。サイレンが鳴れば恐怖心が消えるとでもいうのだろうか?

戦後日本人の“特徴”は、戦争は他国で起きるもので、日本には憲法があるから被害はない、と安心しきってきたことだ。しかしそれがまた素晴らしい“特徴だ”と感心させられる。

米国の国務長官や軍人らが、世界中を飛び歩いて危機に備える手立てを打っているにもかかわらず、一人日本人の脳みその中はお花畑だ。

花見で飲んで騒いで、芸能界情報に一喜一憂し、変態の殺人事件に聞き耳を立てている。
世界の危機なんぞどこ吹く風、その物事に“動じない”姿勢にはただただ感心するしかない。


「当たるも八卦」だが、一つだけ言っておきたい。
おそらく、トランプは、このままで事態が収束することを選ばないだろう。そうすれば、いつまでも北の核に振り回され、戦略的忍耐を繰り返すことになるし、中近東、欧州の変動に対する対処が遅れるからである。

本来ならば、アジアにおける事態は日本が中心になって解決すべきことだが、その気がない日本は頼りにならぬ。そこでアジアは中国に一任しよう、そうトランプが考えたとしてもおかしくはなかろう。日本は米国にとっての「キャッシュディスペンサー」だから、被害が及ばぬよう『守ってあげる』と言えば、日本人は喜んでくれる。


湾岸戦争の時も油がほしい癖に血を流そうとはしなかった!と悪評を買ったが…(当時の米国の新聞に掲載された漫画)


そこでトランプは、まずは当面の“敵”である中国を使う方策を決めた。しかしその期限は刻々と近づいている。何がレッドラインで発令時期は何時か?、とTVは喧しいが、中国の対北対処の出来高次第で動きが決まる。

中国の動きと北の対応が不満足なら、米国は自力で始末するだろう。
そしてその端緒は、カールビンソンが半島に向かって進行を開始する時であり、在日米軍の動きが活発化するとき、そして何よりも在韓、在日米軍家族の集結と移動が開始される時だ。
今後は、我が家上空を飛ぶ横田の輸送機の往来を気にしておこう!

頻繁に輸送機が往復した後、次は軍事力の再展開が開始される。

尤も、3・11の時にいち早く家族をシンガポールに避難させた“危機に敏感な”元大臣様も日本にいるから、政府要人の家族が、ガムかハワイ旅行に大挙出発するときも、危機の兆候を示しているといえるのかも…。

ある編集者が、「一度ミサイルが落ちないと、日本人は絶対に目が覚めませんから、落ちるといいのに」と真面目な顔で言ったことが忘れられない。
たしかに「多少の危険には動じない日本人」が多いから、それが今後のためにいいのかも…。


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