SATOXのシテオク日記

~ふもっふ、ふもふも~

ゲームプログラマ界隈の変な用語

生業(なりわい)としてゲーム関連のプログラマをやってるSATOXさんなんですけども、まぁゲームに限らずプログラマさんの間の会話に出てくる面白い言葉や文化というのがあります。
実はもう当たり前になっちゃって違和感もないのですが、プログラマじゃない人からするとちょっと驚く言葉なんかもあるようです。
少なくともSATOXの周りの話になりますが、適当に、プログラミングをご存じない方にもちょっと判りやすいように書いてみます。
 

「ここで死ぬんだけど」
プログラミングでコンピュータにとって不都合なことがあると、いわゆる「クラッシュ」してしまうことがあります。
このクラッシュのことを「死ぬ」と言ったりします。
例えば「XXX関数で0を入力すると死ぬんだけど!?」なんて会話してます。
クラッシュ自身の言い方もいろいろありますが、「ハングアップ」とか「ハルト」と言ったりもしてますね。
総務の人から「よく死ぬとか言ってるけど何なの?」と聞いたことがあったのがこのネタを書くことにした理由です。
 
「上にいって」
プログラムは関数で出来ています。
ある目的を処理するためのプログラムコードを関数という形で記述しておき、いろいろな場所で関数を使い回す事で効率的に処理をコード化できるわけです。
関数の中から関数も呼び出せるわけですが、A関数からB関数を呼び、B関数からC関数を呼んでいるようなことがあるわけです。
デバッグ(プログラムを少しづつ実行しながらチェックする事)しているとき、B関数内を進んでいてA関数に戻ることを「上にいく」と言ったりします。C関数に行くことは「中に入る」と言いますかね。
……そのままだけど。
 
エルフとドワーフ
すべてのゲームプラットフォームで採用されているわけではありませんが、「ELF形式」というプログラム実行形式フォーマットファイルがあります。元はGNULinuxですが、それらのシステムベースで開発されているゲーム機は多いです。
Executable and Linking Formatの略でファンタジー世界のエルフと同じ単語です。
ELF形式とは別のプログラム実行形式フォーマットを考案したときに、DWARFと名付けられました。
これは完全にダジャレで、「ファンタジー世界の中で、エルフと言えばドワーフ」となったそうです。
 
エイジング
エイジングという言葉が最近一般にも流行ってきました。アンチエイジングって言いますよね。
工業機械などでエイジングという言葉は、正常に動作させるために温度を上げて温めたりする「慣らし運転」のことですが、プログラムの世界でもエイジングがあるんです。
お酒を熟成させることもエイジングって言いますね。
プログラムの世界でエイジングというと、長期間プログラムを実行させて問題がないか確認することを示します。
例えば、同じプログラム処理でも8時間繰り返すと問題が起きたりするようなことがよくあったりします。
 
ファーストマスター
ゲームが完成し後はリリースを待つだけという状態を「マスターアップ」といいます。最終版(マスター)が出来た(アップした)という意味ですね。
ゲーム業界であるのは「ファーストマスター」「セカンドマスター」と言ったりします。
最終版なのにファーストもセカンドもないはずなのですが、そもそもイベントや雑誌取材のためにパッケージを作るとか、マスターのつもりで作ったものの不具合が見つかってもう一回作り直すことなんかもあります。
マスターの前を「プレマスター」(そのまま)と言ったり、特に本当のマスターの事を「最終マスター」とか「マスターマスター」と言ったりしますかね。(「最終版セカンドマスター」ってのも聞いたことがありますけど)
ちなみに、プレマスターなどで作成されたメディアのことをプルーフと呼んだりします。試作メディアのことですね。
 
dead beef
プログラミングしていると、0とか最大値以外に適当な数字を使いたくなることがあります。
16進数という数字の扱い方法があり、これは012345789abcdefと増えていき、17個目で繰り上がって「10」になる感じの数字記法です。
この16進数を使って文字を表すことをhexspeakと言います。hex=ヘキサは16という意味です。
deadbeefというのはこのhexspeakで表せる言葉で、昔のOSのマジックナンバーでも結構使われてきました。
余談ですが、Pascal言語では16進数の接頭辞に「$」を使うため、シード値を表す際に「$EED」とすることがお約束でした。
 
余談
ゲーム開発の規模もいろいろありますが、特にマスターアップ直前になると徹夜は常で家に帰れなくなることもしばしばあります。
ある会社では、今ではもうさすがにないでしょうが「家に帰れる券」というのを月に何枚か配布し、この券を行使して家に帰られるというひどい惨状もあったそうです。
このようにマスター前はいろいろ大変なのですが、マスターを終えれば例えば「1ヶ月休み」など、まとまった休暇がとれることがあったりします。
ただ、昔はパッケージで出してしまえば基本的に修正しようもないのですが、最近はネットワーク経由で更新できたりするため、リリース後の対応作業というのがあって、なかなかそのプロジェクトが収束しない状況が続いたりします。
 
というわけで思いついた内容を書いてみました。
他にも何か思い出したらネタにしてみたいと思います。