島の南の砂丘と磯で環境教育

 小学校5年生57名を対象に,島の南の砂丘と磯で自然学校の講師をした.午前2時間,午後2時間.いきものの豊かさが大切だと思う人が世の中に少しでも増えてほしいから,小学校からの依頼は断らない主義(いまのところ).
 この梅雨時に,前日の雨がうそのように,ほどよい薄曇り.
 勤務先の学生5人にも協力してもらって,もはや定番となった砂丘植生をテーマとしたゲームラリーをやる.早めにゴールしたチームが手持ち無沙汰にならないように,ゴール地点では「ゴールしたとおもったらまだあったミッション」を手渡す.まだあったミッションは虫探し.アカスジカメムシ(5点),ヤマトマダラバッタ(10点),シロスジコガネ(30点),オオヒョウタンゴミムシ(50点)のカードを手渡して,これら4種をさがしてもらう.時間いっぱい虫探しに夢中.どのチームもやたらたくさんのヤマトマダラバッタを捕まえてきた.オオヒョウタンゴミムシの死体をみつけた子がひとりだけいた.すごい!アカスジカメムシとシロスジコガネはみつからず.
 午後は磯の生き物観察で,これは僕的にはちょっとココロにひっかかりを感じながらここ3年ほどやりつづけているもの.自分の専門から大きくはずれていて,はずれてるどころかドシロウトなのに,こんなんやってていいのかという居心地の悪さ.それでも,うちの学校の学生にとっては環境教育実践の機会でもあり,なんとかやっているという感じ.プログラム自体は(専門じゃないから深みがないという反省はありつつ),小学生どころか僕だってめちゃくちゃ楽しめてしまう,という内容ではある.まあ,いきもの豊かな磯にいったら,それだけでプログラムもへったくれもなく,楽しい.とくに今年は大潮で,ちょうど最干潮の時間帯.ケヤリムシのいるところまで余裕で干出するひきっぷり.今回は児童にいくつかの課題をだしておいた.そのうちのひとつは「フナムシにさわる」だ.さいしょの説明のときにうちの学生たちとともにフナムシを手のひらに載せて児童の前にたった.そのときに「いやー」「ぜったいむりー」と騒いでいた児童も,プログラムがおわる頃には8割か9割の子がフナムシを手のひらにのせていた.うちの学生の一人もフナムシは私は無理といってたが,最後は触ってた.課題とはいっても,児童にも強制はしない.いやがる子供にそんなことをしていきものぎらいをつくるのはばからしい.ただ,何人かが手のひらにフナムシを載せて楽しんでいたら,やってみたいという子がだんだん増えていく.フナムシ,間近で見るとすごくかわいい顔をしている.そして,色彩に意外と変異があって同じ磯でも黒いのからオレンジから青く光るものまである.脱皮前後のタイミングとか,なにかしらの感染症とかによる色彩の変化なのだろうか.それともフナムシには色彩変異があるのだろうか.フナムシ以外では,カメノテフジツボの蔓脚をみようというのも企画していたが,うまくできず.うまいやりかたを考えてみたい.バケツで水を掛けるとかじゃない,もっとがっつり見られる方法を考えたい.
 磯プログラムで児童があつめた生き物たち.プログラム終了後に,写真をとりながらリリースした.このいきものたちの種名をちゃんとわかるようになっておきたい.そうすれば,もっといろんな情報をあちこちから引き出せて,すこしは深みをもたせられるはず.僕はまだこの磯の宝をもちぐされにするプログラムしか考えられていないと思う.