草刈りの最適化

 午前中は畑と畔の草刈りをする。いろいろな果樹を植えた畑は、これから先、全体を耕すことはなく、きっと草刈りばかりがつづく。地下部への攪乱がなく地上部だけに攪乱を与え続けるので、いずれ多年草だらけになるかもしれない。今日刈った場所で目立ったのは、コセンダングサエノコログサ(たぶんアキノ)、スギナなど。コセンダンは、夏を越したらめんどくさくなる相手。いまのうちに刈りまくる。畔はヒメジョオン祭り。今年は花つきがすごくよくて、まっしろな花畑。たしかにきれいではある。ヒメジョオンを刈り倒すと、下からヤマハッカやヨメナやコナスビが顔を出す。
 梅雨に入る前の5月に一度刈った場所では草がやわらかくて刈りやすい。エンジンの回転を低く抑えていても、草刈り作業はすいすいと進む。一方、5月に刈らなかった場所ではセイタカアワダチソウヨモギの茎が太く硬くなっていて、さらに茎の上部にクズやカエデドコロが絡みついていて(カナムグラはまだそこまで激しくのびてない)地際を刈り払っても草が倒れないので作業性がとても悪い。刈り進む速度が遅くなる。やわらかくて蔓の絡んでいない草を刈るのに比べて2倍以上の時間がかかっているなら、5月と6月の2回刈った方が合計の草刈り時間は短いことになる。おまけに草刈り機の燃料も少なくて済む。太くて硬くて蔓が絡んだ草を刈るのは、力がいるし、刈ってて楽しくない。まめに刈ることが結局は楽。鎌で刈っていたころなら、その差はもっと大きかったかもしれない。
 それで、来年からは梅雨入り前に一回目の草刈りをおわらせておこう、と思った。こんな僕でも一回やったらそういう反省がでてくるのだから、古くからの農家の方が畔の草をかる時期と回数は、少ない労力で最大の成果が得られるようにたぶん最適化されているだろう。そして、そのような草刈りのもとで畔の草原が維持されてきた。農家の方には、多様性云々より、「この時期・回数で草刈りをすることが畔の草を抑える一番楽な方法だ」ということを示したうえで、「その時期・回数で草を刈るとこんないろんな草花が生きられる」ということをおまけとして示すのがよさそうに思う。というわけで僕は、いちばん楽な草刈りの回数や時期を知る必要がある。
 農家はできれば草刈りを楽したいと思っていて、草原の多様性なんかは気にしていない。だから、近年では除草剤をまいたり、コンクリを塗ったり、ムカデシバやヒメイワダレソウを植えたり、いろいろ試している。除草剤は畔がくずれやすくなるというデメリットがあり、そのことを多くの農家の方から実体験として聞く。除草剤はあかんかったなあ、というのが農家の認識として広まってきているようだ。これが広まることで畔に除草剤を播く例は減っていくだろう。ムカデシバやヒメイワダレソウはどうだろう。コンクリはどうだろう。畔に草が生えていることの意義、農家にとってのメリットが見えてくると、草刈りをつづけて、畔の草原を維持する理由がわかりやすくなる。