「Oh My Angel」(5)

身体の自由が効くようになってきた翔太は院内を散歩していた。そこで
出くわしたのは!?
これは「Oh My Angel」     の続きです。
以下からどうぞ↓
























入院生活も2週間が過ぎ、やっと松葉づえで院内を散歩できるようになった。

そうなればじっとしていられない俺。今日も院内を歩き回って見る。


「きゃ〜〜〜!市東先生よ!」

「やばいね〜〜〜!」

「私も診察し・て・ほ・し・い」

「やだぁ〜色気作戦?ほんと私達の方が魅力的だよね!身体は特に!」

「ああ!彼女になりたい。出世街道まっしぐらだしね!ほんとうらやま

 しいよ〜〜〜せんせの彼女!」

「地位目当てじゃないの〜〜〜あんた?」


きゃははは〜〜〜



院内をうろうろしていると黄色い看護師の声が聞こえる。


(しとう先生・・・?あの内科の先生か)


噂の人物が翔太の前を通り過ぎて行った。確かにかっこいい。背は高く、

さらっとした髪に眼鏡を掛けていた。芸能人で言ったら福山似の市東の姿

に看護師の黄色い声は納得する。


あまり人を気にしない翔太はたまたま出くわした。その時はそれだけだった。

後々、気になる存在になるとはその時はまだ知らず・・・・。

そして、病室に戻ろうとエレベーターに乗ろうとした時、小児科病棟の方から

聞きなれた声が聞こえ、胸がどきんと跳ねた。



「ベ、ベロベロバーッ!」

「ふ、ふぇっえええええええ〜〜〜〜っ」


(この声・・・・)


思わず、ドアを開けてみる。ガラッ


「あわわわ〜〜どうしよう!!」

「やっぱり黒沼さん!どうしたの?」

「あっ!風早さん!あ、あのやっぱり赤ちゃんが泣いちゃって!」



黒沼さんは小さい子が好きでよく小児科に遊びに行くけど、いつも小さい子に

嫌われるって言ってたっけ。


「どうした?おらっ―!」

っと翔太が赤ちゃんを抱き上げると、ピタッと泣きやんだ。


「ス、スゴイ・・・!」

「え?」


「お兄ちゃん遊んで〜〜〜!」

「私も〜〜〜!」


子どもたちは翔太の周りに集まってきた。


(すごい・・・風早さん。)


「アハハハ〜〜!!」


爽やかな翔太の笑顔に引き寄せられるように見ていた爽子だった。


****************



「さっきはありがとうございました」


そう言って、爽子は深々と頭を下げた。


「そんな、お礼を言われることじゃ・・・」

「私、小さい時から子どもや動物には懐いてもらえないので」

「なんでだろうね?」


翔太は全く分からなかった。


(だって、こんなにかわいいのに//////)


「私・・・暗く見られるようで、人に距離を置かれることが多いんです。

 だから免疫も付いていて・・・・」

「免疫?」

「うん・・・好かれない免疫」


そう言うと、爽子は少し寂しそうな顔をした。


「ダメッ!」

「え?」

「そんな免疫つけなくていいから!俺は全然そんなこと思わない。むしろ・・・・」


(うわっ///////)


じっと見る爽子に恥ずかしくなり、翔太は思わず俯いた。


「ご、ごめんなさい!じっと見てしまって〜〜〜〜!!」


そんな翔太の態度に爽子は申し訳なさそうに目を逸らした。


あ、もしかして・・・・その好かれない免疫から、彼女は人との関係に遠慮

がちなのかもしれない。だとしたら照れてる場合じゃない。

翔太は必死で謝っている爽子の手首をぐいっと掴んだ。


「!」

「ちがう!!」

「え?」

「俺は・・・むしろ、黒沼さんは明るくて前向きだと思うよ。いつも何にでも

 一生懸命じゃん!それに、各病室に花を飾ってるのも黒沼さんだって知ってる!」

「それにそれに・・・・」


沢山、自分のいいところを挙げようとする翔太に爽子は思わず笑みがこぼれた。

そんな爽子の表情にはっと我に返った翔太は無意識で爽子の手首を掴んでいる

ことに気づく。



「うわっごめん〜〜〜〜っ/////」


翔太は慌てて、爽子の手首を離した。


どきん、どきん  俺の心臓の音が聞こえないことを祈った。


なんだろう・・・この感情。


「あ・・・ありがとう。そんなこと言われたの初めてで」


爽子は握られていた手首をもう一つの手で触って恥ずかしそうに言った。


「いつも・・・すごいと思ってたの。風早さんを見てると、人に対して

 壁がないから・・・・。」

「私と、正反対だなって」


病院の窓から日差しが入る。その光と黒沼さんの笑顔が重なって、俺には

天使に見えた。まさに白衣の天使だ。この感情の存在に、この時俺は段々

と気付き始めていた。

一方、爽子も真剣に怒ってくれた翔太に驚きと、不思議な胸の高鳴りを

感じていた。そして、触れられた手首を見るたびになぜだか、身体が

かっと熱くなるのだった。










あとがき↓

段々と「恋」を意識してきた二人。翔太はこの後、はっきり自分の感情に気付き
嫉妬とか独占欲が出てくるという展開。まぁベタっすね。
それではまた見に来てください♪

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