逆エビ日記Ver3.0  Twitter

2014年03月20日 木曜日

sayokom2014-03-20

[] 旅に出る理由があった小沢健二と旅に出られなかったタモリ  旅に出る理由があった小沢健二と旅に出られなかったタモリを含むブックマーク

オザケンこと小沢健二さんの16年ぶりの笑っていいとも出演に関しては、生放送を凝視していた時には「あっボーダー」とか「あっ眼鏡」とかそういったことばかりに興奮していまひとつ冷静な気持ちでいられなかったので、録画したものを改めてひとりで見てみたらものすごくいろんな感情が揺さぶられ、有り体に言うとものすごく泣けました。

これから録画を見ようと思っている人はここから先は読まない方がいいです。出来ればご覧になった後にまた読みに来て下さると嬉しいです。


このテレフォンショッキングは、「旅に出る理由があった小沢健二が、旅に出ることが出来なかったタモリに送るメッセージ」であったように私には見えました。

トークの前半でこの16年住んできた世界各地の話をし、それを興味深そうに聞くタモリ。それは別に特別ではない風景で、この30年このコーナーで誰が来ようとずっと繰り返されてきたことでした。

しかしその雰囲気ががらりと変わったのが、「タモリさんと番組スタッフの皆さんに」と言い置いて小沢健二がギターを奏で歌い始めた時でした。

遠くまで旅する恋人に あふれる幸せを祈るよ
  ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり 誰もみな手をふってしばし別れる

「ぼくらが旅に出る理由」のフレーズです。この16年間、オザケンが世界中を旅して、エチオピアで追いかけられたりボリビアで息を吸うのに苦労したり南アフリカで市場に行ったりしている間中ずっと、タモリはここに座って毎日毎日ウキウキウォッチングし続けていた。そしてオザケンは、その32年間座り続けた椅子からタモリが立ち去ろうとしている正にこのタイミングで、タモリの前に帰ってきたのです。この32年間、タモリが決して見ることが出来なかったものをたくさん小沢健二は見て、そしてここに帰ってきた。

左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる
  僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも

この「さよならなんて言えないよ」はかつて、タモリがその歌詞を「生命の最大の肯定」と絶賛した曲です。

参照:「あれは生命の最大の肯定」タモリが絶賛した小沢健二-てれびのスキマlittleboy.hatenablog.com/entry/2014/03/19/151258

生放送中にも関わらず、オザケンがこの曲を歌い始めた時に思わずタモリが「あ!」と言っているのがマイクにもちゃんと入っている。そしてカメラに抜かれるタモリの心底嬉しそうな顔。

冒頭に今日のテレフォンショッキングは泣けた、と書きましたが、それは45歳になった小沢健二に対してではなく、タモリに対してでした。ギターをつま弾き自分のために歌ってくれる小沢健二を間近で見るタモリは、確かに少し老けて、そして穏やかな表情だった。16年間世界を放浪していた息子の報告を心から喜ぶ父親の表情でした。もはやそこにいるのは32年間という長い間、国民的テレビ番組を毎日やり続けた司会者の顔ではなく、この舞台を降りていく、そしてこの瞬間自分のためだけに歌ってくれる小沢健二のことだけを見つめる顔でした。そのタモリの表情に私はただ泣けた。

この16年間という時間は等しくタモリの間にも小沢健二の間にも、テレビの前で胸を滾らせている元オリーブ少女たちの間にも流れ、小沢健二は父になり歌い方を変え、かつてのオリーブ少女たちもツイッターではオリーブBBAなどと酷いことを言われるようになり、でもタモリだけは変わらずに、旅に出ることもなく、お昼休みにそこに居続けた。そのタモリさんも、変わる時を迎えている。

誰かにとってどころじゃなく、日本国民誰もにとって特別だったタモリの心を、このひととき小沢健二はマーク外す飛び込みでさっと奪い去った。そして曲が終わるとまた、タモリさんはいつものお茶の間の人気者の顔に戻っていた。

かつて小沢健二の楽曲をタモリが絶賛した、という以上にこの二人にどんな関係があるのかは私は知らないし、個人的に付き合いがあるのかどうかも知らない。でも、今日のテレフォンショッキングに小沢健二さんが出ることを決めたのはただ、いいともを勇退するタモリさんのために歌を歌いたかったからだと私は思うのです。タモリさんへの深い感謝と敬意が、今日のオザケンの歌声には宿っていたように思いました。そしてその歌声と、それを穏やかな笑みを称えて聴くタモリさんの表情はとても美しかった。それこそ、「生命の最大の肯定」でした。

本当は分かってる 2度と戻らない美しい日にいると
そして静かに心は離れてゆくと

オリーブだった頃オリーブだった頃 2014/03/21 23:01 はじめまして。
友人が、紹介していたので、拝読しました。
オザケンが全盛期の頃、オザケンを聴きながら、スピッツを聴きながら、そして、oliveをかかさず読んでいました。

泣きました。
こんな美しい「いいとも」時間は初めてだった気がします。
そして、あなた様の文面に、さらに熱いものがこみあげてきました。
ありがとうございます。

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