かーかん、はあい 子どもと本と私 俵万智 ☆☆☆☆

母になった俵万智、大人になって俵万智
自意識過剰!彼女の世界にふれたとき、そう反発したものです。私こそ、「山西記」にいたく共感するような、実に自意識過剰な中学生でした。元新聞記者に俵万智を薦められたのは半年前のこと。母になって感性がまた一皮むけた、というのです。そしてつい先週、とてもとても日常に疲れ、閉店間際の本屋で手にとったのが「かーかん、はあい」でした。


子と我と「り」の字に眠る秋の夜の りりりるりりりあれは蟋蟀
母ならではのおどろきやさみしさ―素直な幸福感が、短いエッセイにも、添えられた歌にもつまっています。母でもなんでもない私ですが、そのあたたかさにとっぷり浸りました。若いお母さんたちはもちろん、ひとり頑張る女性たち、やっと一息つけるおばあさんたち…いろんな世代に読んでほしい一冊です。


いつまでも母、いつまでも友
懐かしい絵本の右に出るものはありません。大人になって、悩んだり、途方にくれたり…どんな私をも懐かしい絵本は優しく迎えてくれます。そしてさりげなく、励ましや気付きのささやきを授けてくれるのです。幼馴染のひとしい目線で、母のような大きな優しさで。