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2005-11-30

第三期科学技術基本計画を読む〜その2 重点分野

 さてさて、パブリックコメントの締め切りまで間がないので、どんどん読んでいこう。

 科学技術基本計画の特徴は、重点領域を決めているところである。これが科学技術政策の司令塔たるゆえんであるし、トップダウンと批判もうけるわけだが、それはともかく、三期計画の重点領域を見ていこう。

 はじめにこんなことが書かれている(P10)

これまでの重点化の進捗と成果、今後の我が国の経済社会状況や国際的な情勢を展望すれば、効果的・効率的な科学技術政策の推進という観点から投資の重点化は引き続き重要であり、政府研究開発投資の戦略的重点化を更に強力に進める。その際、第3期基本計画においては、第2期基本計画で進めた研究分野の重点化にとどまらず、分野内の重点化も進め選択と集中による戦略性の強化を図るとともに、基本計画において基本理念の下で新たに設定する6つの政策目標との関係を明確にしていく。

 で、何に重点をおくのか。

1.基礎研究の推進

 人文社会科学も含めて、と明記されている。

基礎研究には、人文・社会科学を含め、研究者の自由な発想に基づく研究と、政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究があり、それぞれ、意義を踏まえて推進する。すなわち、前者については、新しい知を生み続ける重厚な知的蓄積(多様性の苗床)を形成することを目指し、萌芽段階からの多様な研究や時流に流されない普遍的な知の探求を長期的視点の下で推進する。一方、後者については、次項以下に述べる政策課題対応型研究開発の一部と位置付けられるものであり、次項2.に基づく重点化を図りつつ、政策目標の達成に向け、経済・社会の変革につながる非連続的なイノベーションの源泉となる知識の創出を目指して進める。

 ただ、そうは言っても基本計画。これに続いて重点領域に関する記述が出てくる。

2.政策課題対応型研究開発における重点化

(1)「重点推進4分野」及び「推進4分野」

 第二期計画では、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野を取り上げ、重点的に推進してきた(重点4分野)。なぜこれらを指定したのか、理由は以下である。

1)3つの基本理念への寄与度(科学技術面、経済面、社会面)が総合的に見て大きい分野であること。

2) 国民の意識調査から見て期待や関心の高い分野であること。

3)各国の科学技術戦略の趨勢を踏まえたものであること。

4) 戦略の継続性、研究現場への定着等実際的な観点からも適切であること。

三期ではこれに加えのエネルギーものづくり技術、社会基盤、フロンティアの4つの分野を「推進4分野」に指定している。

 この8分野は、以下の点に留意するという。

1)デルファイ調査などにより科学的インパクト、経済的インパクト、社会的インパクトを軸とした将来的な波及効果を客観的に評価すること。

2)我が国の国際的な科学技術の位置・水準を明確に認識(ベンチマーク)した上で投資の必要性を明確化すること。(強みを活かし競争優位を確実にする研究開発課題なのか、強い社会ニーズがあり課題解決すべき研究開発課題なのか、パラダイムシフトを先導する研究開発課題なのか等)

3)知の創造から社会・国民への成果還元に至る各々の研究開発の段階に応じて、本計画で設定された政策目標達成への貢献度、達成までの道筋等の観点から、投資の必要性を明確化すること。

4)官民の役割を踏まえ、研究開発リスク、官民の補完性、公共性等の観点から、投資の必要性を明確化すること。

 そして、この8分野は、たとえ三期の期間中であっても評価されるという。

8つの分野で策定される分野別推進戦略について、最新の科学技術的な知見、新興領域・融合領域等の動向を踏まえて、基本計画期間中であっても、必要に応じて重要な研究開発課題や戦略重点科学技術等に関しての変更・改訂を柔軟に行う。また、総合科学技術会議による資源配分方針立案に向けた最新知見の吸収、概算要求前の資源配分方針の提示、概算要求に対する優先順位付け等の実施、次年度の資源配分方針立案に向けた準備といった年間の政策サイクルを確立し、関係府省や研究機関のネットワーク・連携を進める基盤となる「活きた戦略」を実現していく。


 さらに、この8分野以外で重要だと考えられる領域を戦略重点科学技術として選定するという。選定基準は以下のとおり。

1)近年急速に強まっている社会・国民のニーズ(安全・安心面への不安等)に対し、本計画5期間中において集中投資することにより、科学技術からの解決策を明確に示していく必要があるもの。

2)国際的な競争状態及びイノベーションの発展段階を踏まえると、基本計画期間中の集中投資・成果達成が国際競争に勝ち抜く上で不可欠であり、不作為の場合の5年間のギャップを取り戻すことが極めて困難なもの。

3)国が主導する一貫した推進体制の下で実施され世界をリードする人材育成にも資する長期的かつ大規模なプロジェクトにおいて、国家の総合的な安全保障の観点も含め経済社会上の効果を最大化するために基本計画期間中に集中的な投資が必要なもの。

 1)では「国際テロ大量破壊兵器の拡散、地震台風等による大規模自然災害・事故、SARS・鳥インフルエンザ等の新興・再興感染症」、2)では抽象的だが「既存の知の体系の根源的な変革や飛躍的な

進化に向けた研究競争が激化しているもの、我が国固有の強みを活かして追随が困難な高付加価値化を一刻も早く確立すべき段階にあるもの、大きな付加価値獲得に波及する限界突破を狙う国際競争をリードする好機に至っているもの」、3)は「、次世代スーパーコンピューティング技術、宇宙輸送システム技術」を想定しているという。

 以上重点分野をみてみた。次は私たちにも関心の深い科学技術システム改革である。これは別エントリーにて。

2005-11-29

第三期科学技術基本計画案を読む〜その一

 現在『「科学技術に関する基本政策について」

http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon/tousinan.pdf

を読み進めている。なかなか長いので、ご紹介するにも難儀するのだが、お約束なのでやっていこう。

 全体を見通すには目次から。というわけで、まず目次をご紹介しよう。目次だけでも長大だ。

目次

はじめに

第1章 基本理念

1.科学技術をめぐる諸情勢

(1)科学技術施策の進捗状況

? 政府研究開発投資総額

? 科学技術の戦略的重点化

? 競争的な研究開発環境の整備等研究開発システムの改革

? 産学官連携その他の科学技術システムの改革

(2)科学技術施策の成果

(3)科学技術をめぐる内外の環境変化と科学技術の役割

2.第3期基本計画における基本姿勢

(1)社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術

(2)人材育成と競争的環境の重視 〜 モノから人へ、機関における個人の重視

3.科学技術政策の理念と政策目標

(1)第3期基本計画の理念と政策目標

(2)科学技術による世界・社会・国民への貢献

4.政府研究開発投資の目標

第2章 科学技術の戦略的重点化

1.基礎研究の推進

2.政策課題対応型研究開発における重点化

(1)「重点推進4分野」及び「推進4分野」

(2)分野別推進戦略の策定

(3)「戦略重点科学技術」の選定

3.分野別推進戦略の策定及び実施に当たり考慮すべき事項

(1)新興領域・融合領域への対応

(2)政策目標との関係の明確化及び研究開発目標の設定

(3)戦略重点科学技術に係る横断的な配慮事項

? 社会的課題を早急に解決するために選定されるもの

? 国際的な科学技術競争を勝ち抜くために選定されるもの

? 国家的な基幹技術として選定されるもの

(4)分野別推進戦略の効果的な実施 〜 「活きた戦略」の実現

第3章 科学技術システム改革

1.人材の育成、確保、活躍の促進

(1)個々の人材が活きる環境の形成

? 公正で透明性の高い人事システムの徹底

? 若手研究者の自立支援

? 人材の流動性の向上

? 自校出身者比率の抑制

? 多様で優れた研究者の活躍の促進

(2)大学における人材育成機能の強化

? 大学における人材育成

? 大学院教育の抜本的強化

? 大学院教育の改革に係る取組計画の策定

? 博士課程在学者への経済的支援の拡充

(3)社会のニーズに応える人材の育成

? 産学が協働した人材育成

? 博士号取得者の産業界等での活躍促進

? 知の活用や社会還元を担う多様な人材の養成

(4)次代の科学技術を担う人材の裾野の拡大

? 知的好奇心に溢れた子どもの育成

? 才能ある子どもの個性・能力の伸長

2.科学の発展と絶えざるイノベーションの創出

(1)競争的環境の醸成

? 競争的資金及び間接経費の拡充

? 組織における競争的環境の醸成

? 競争的資金に係る制度改革の推進

(2)大学の競争力の強化

? 世界の科学技術をリードする大学の形成

? 個性・特色を活かした大学の活性化

(3)イノベーションを生み出すシステムの強化

? 研究開発の発展段階に応じた多様な研究費制度の整備

? 産学官の持続的・発展的な連携システムの構築

? 公的部門における新技術の活用促進

? 研究開発型ベンチャー等の起業活動の振興

? 民間企業による研究開発の促進

(4)地域イノベーション・システムの構築と活力ある地域づくり

? 地域クラスターの形成

? 地域における科学技術施策の円滑な展開

(5)研究開発の効果的・効率的推進

? 研究費の有効活用

? 研究費における人材の育成・活用の重視

? 評価システムの改革

(6)円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路の解消

3.科学技術振興のための基盤の強化

(1)施設・設備の計画的・重点的整備

? 国立大学法人、公的研究機関等の施設の整備

? 国立大学法人、公的研究機関等の設備の整備

? 公立大学の施設・設備の整備

? 私立大学の施設・設備の整備

? 先端大型共用研究設備の整備・共用の促進

(2)知的基盤の整備

? 知的基盤の戦略的な重点整備

? 効率的な整備・利用を促進するための体制構築

(3)知的財産の創造・保護・活用

(4)標準化への積極的対応

(5)研究情報基盤の整備

(6)学協会の活動の促進

(7)公的研究機関における研究開発の推進

4.国際活動の戦略的推進

(1)国際活動の体系的な取組

(2)アジア諸国との協力

(3)国際活動強化のための環境整備と優れた外国人研究者受入れの促進

第4章 社会・国民に支持される科学技術

1.科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組

2.科学技術に関する説明責任と情報発信の強化

3.科学技術に関する国民意識の醸成

4.国民の科学技術への主体的な参加の促進

第5章 総合科学技術会議の役割

1.運営の基本

2.具体的取組

? 政府研究開発の効果的・効率的推進

? 科学技術システム改革の推進

? 社会・国民に支持される科学技術

? 国際活動の戦略的推進

? 円滑な科学技術活動と成果還元に向けた制度・運用上の隘路の解消

? 科学技術基本計画の適切なフォローアップとその進捗の促進



●この基本計画の目的とは?

 政府がどのような目的で第三期計画を立てているのか、まずそこから考えみてる。

 1ページ目には、ずばり、以下のように書かれている。

資源に乏しい日本が人類社会の中で名誉ある地位を占めていくことは決して容易なことではない。日本の未来を切り拓く途は、独自の優れた科学技術を築くことにかかっている−こうした考えの下、我が国は「科学技術創造立国」を国家戦略として打ち立てた。

 国家戦略として、科学技術により産業や基礎研究を強化することにより、国際競争力を得るのが目的だ、ということだ。この方針の下、第一期、第二期の基本計画が打ち立てられ、実行されてきた。

 第三期計画のポイントは以下である。

第1期、第2期基本計画期間中を通じた投資の累積を活かし、様々な面で強まる社会的・経済的要請に応えていくためには、第3期基本計画は、社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術を目指し、説明責任と戦略性を一層強化していくことが求められる。その戦略の基本は、質の高い研究を層厚く生み出す人材育成と競争的環境の醸成、科学の発展と絶えざるイノベーションの創出に向けた戦略的投資及びそれらの成果還元に向けた制度・運用上の隘路の解消であり、このような多様な政策課題への挑戦が今後5年間の科学技術の使命である。基本計画はこうした基本認識に基づき、総合科学技術会議の主導の下、政府全体で着実に実行すべき主要施策を提示するものである。

 ちょっと分かりにくいので、具体的なところを見ていこう。

 5ページの「2.第3期基本計画における基本姿勢」では、以下の点が強調されている。

(1)社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術

(2)人材育成と競争的環境の重視 〜 モノから人へ、機関における個人の重視

 ずばりこれが基本計画の骨である。成果の社会還元と研究者の個の力を生かすことを主眼においているということだ。これを実行にうつすために、6ページの「3.科学技術政策の理念と政策目標」では、第二期から続く3つの理念を基盤におきつつ、より詳しい目標を掲げている。

理念1 人類の英知を生む

〜知の創造と活用により世界に貢献できる国の実現に向けて〜

◆目標1 飛躍知の発見・発明 − 未来を切り拓く多様な知識の蓄積・創造

(1) 新しい原理・現象の発見・解明

(2) 非連続な技術革新の源泉となる知識の創造

◆目標2 科学技術の限界突破 − 人類の夢への挑戦と実現

(3) 世界最高水準のプロジェクトによる科学技術の牽引

理念2 国力の源泉を創る

国際競争力があり持続的発展ができる国の実現に向けて〜

◆目標3 環境と経済の両立 − 環境と経済を両立し持続可能な発展を実現

(4) 地球温暖化エネルギー問題の克服

(5) 環境と調和する循環型社会の実現

◆目標4 イノベーター日本 − 革新を続ける強靱な経済・産業を実現

(6) 世界を魅了するユビキタスネット社会 の実現

(7) ものづくりナンバーワン国家の実現

(8) 科学技術により世界を勝ち抜く産業競争力の強化

理念3 健康と安全を守る

〜安心・安全で質の高い生活のできる国の実現に向けて〜

◆目標5 生涯はつらつ生活 − 子どもから高齢者まで健康な日本を実現

(9) 国民を悩ます病の克服

(10) 誰もが元気に暮らせる社会の実現

◆目標6 安全が誇りとなる国 − 世界一安全な国・日本を実現

(11) 国土と社会の安全確保

(12) 暮らしの安全確保

 これらの政策目標が達成されたらどうなるのか。9ページでは以下のように述べられている。

(世界への貢献)

★ 人類共通の課題を解決

国際社会の平和と繁栄を実現

(社会への貢献)

★ 日本経済の発展を牽引

★ 国際的なルール形成を先導

(国民への貢献)

★ 国民生活に安心と活力を提供

★ 質の高い雇用と生活を確保

 後者の2つが、科学技術予算がある種聖域化され、不況下でも伸び続けたゆえんである。

 ところが、科学技術の聖域化を続けられるか怪しくなってきた。

 10ページの4.政府研究開発投資の目標は

< 検 討 中 >

となっている。第一期が約17兆円、第二期が約24兆円で、第三期はどうなるだろう、ということだが、今日の朝日の記事にこんなのが出ていた。

科学技術予算増額に「黄信号」 数値目標財務相が反対

http://www.asahi.com/science/news/TKY200511280354.html

 文部科学省財務省の間で激しい綱引きが続いているとのこと。確かに財務省の言う、「『投入総額を決めて配分しましょう』では、かつての公共事業と同じ発想だ。納税者の理解が得られない」との指摘(科学新聞などでも発言している中川主計官)は一理あると言える。

 一方アジアの諸国も含めて各国が科学予算を増額する中では、「長い目で見て、基礎研究から技術革新につなげる投資をしないと、日本の活力は維持できない」(丸山剛司科学技術・学術政策局長)という指摘も分からないではない。

 私たちのようなNPOとしては、科学予算の特定研究者への無意味な集中はよろしくない、といわざるを得ない。予算が有効に使われているのか、本当に必要な人のところにいっているのかを厳しくみつめていきたい。そのあたりのことは、基本計画案のなかにも触れられているので、また改めて紹介したい。

 とりあえず、息切れしそうなので、今日はこの辺で。

科学技術基本法制定のいきさつ

 第三期の科学技術基本計画だが、科学技術基本法の中に制定が明記されている。

 科学技術基本法については

http://www8.cao.go.jp/cstp/cst/kihonhou/mokuji.htm

 以下引用する。

第二章 科学技術基本計画

第九条 政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図る

 ため、科学技術の振興に関する基本的な計画(以下「科学技術基本計画」とい

 う。)を策定しなければならない。

2 科学技術基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 研究開発(基礎研究、応用研究及び開発研究をいい、技術の開発を含む。

  以下同じ。)の推進に関する総合的な方針

 二 研究施設及び研究設備 (以下「研究施設等」という。)の整備、研究開発

  に係る情報化の促進その他の研究開発の推進のための環境の整備に関し、政

  府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

三 その他科学技術の振興に関し必要な事項

政府は、科学技術基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、科学技術

 会議の議を経なければならない。

政府は、科学技術の進展の状況、政府が科学技術の振興に関して講じた施策

 の効果等を勘案して、適宜、科学技術基本計画に検討を加え、必要があると認

 めるときには、これを変更しなければならない。この場合においては、前項の

 規定を準用する。

政府は、第一項の規定により科学技術基本計画を策定し、又は前項の規定に

 よりこれを変更したときは、その要旨を公表しなければならない。

6 政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資

 金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上す

 る等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 法案提出のいきさつは以下の通り。

平成6年3月   自民党科学技術部会(尾身幸次部会長 [当時] )において議

        員立法による「科学技術基本法」の制定を目指し検討を開始。

         その後、与党3党(自民党社会党新党さきがけ)の科学

        技術調整会議においても検討開始。



平成6年12月   自民党科学技術部会に、科学技術基本法委員会尾身幸次

        委員長)を設置し、「科学技術基本法(第1次素案)」をとり

        まとめ。この頃から、連立与党に加え、新進党も協議に参加。



平成7年5月   連立与党内に、科学技術基本法検討プロジェクトチーム(渡

        海紀三朗座長[新党さきがけ])を設置し、検討を促進。



平成7年10月19日 与党プロジェクトチームにおいて、新進党の意見も織り込ん

        だ国会提出法案を決定。



平成7年10月20日 与党政策調整会議及び院内総務会で、法案提出を決定。



平成7年10月27日 新進党が「トゥモロー・キャビネット」で法案提出を決定。

同日、自民党社会党新党さきがけ及び新進党の4党共同提

案により、「科学技術基本法案」を衆議院に提出。

 詳しくは尾身幸次議員の著書

●科学技術立国論―科学技術基本法解説

尾身 幸次 (著) 価格: ¥1,427 (税込) 出版社: 読売新聞社 ; ISBN: 4643960507 ; (1996/04)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4643960507/nposciencecom-22/

をごらんいただきたい。

 最近発売された二つの本

●新しき日本のかたち

加藤 紘一 (著) 価格: ¥1,680 (税込) 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN:

4478180431 ; (2005/11/18)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478180431/nposciencecom-22/

●21世紀を支える科学と教育―変革期の科学技術政策

井村 裕夫 (著) 価格: ¥2,625 (税込)  出版社: 日本経済新聞社 ; ISBN:

4532165342 ; (2005/10)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532165342/nposciencecom-22/

 にも科学技術基本法制定のいきさつが触れられている。

 加藤氏の本には以下のようなことが書かれている。

 大平内閣の政策文書作成のスタッフになった

 アポロ計画に胸打たれ、ビッグサイエンスを政策に盛り込めないかと思案した

 大平首相はうなずいたが、最終文書に盛り込まれなかった

 1980年代後半、中村喜四郎科学技術庁長官に頼まれ「基礎科学技術研究委員会」を引き受けた

 基礎研究の価値を見出せず会合を一回しか開かなかった

 1995年ごろ、自社さ政権政策調査会議の座長をしていた

 円高をなんとかしなければと思い、大蔵省幹部を呼んだがアイディアが出なかった

 2〜3ヶ月考えて「科学技術立国」で行くしかないとの結論に達した

 1995年9月に幹事長になったので、山崎拓尾身幸次議員とともに四年間強力に推し進めた

 当時尾身氏はライフワークとして「科学技術基本法」に力を入れていた

 尾身氏が「応援してくれ」と言ってきたので、渡りに船と二つ返事で引き受けた

 尾身氏のアイディアは具体的で「科学技術基本計画」という枠組みを新たに立ち上げたいというものだった

 基本計画は国家予算を取るために必須だった(公共事業では通例だった)

 科学技術でも同じ方式を取り入れたい

 大蔵省は「数字を入れられたらたまらない」と言ってきた

 加藤氏はつっぱねた

 井村氏の本では歴史的経緯が触れられている。

1959年、科学技術会議発足

1960年 科学技術基本法の制定についてという答申を出す

 人文社会を含むか否かで自民党ともめて人文社会科学と基礎科学を除く形となった

 1968年廃案になる

1982年 政策委員会設置

1986年 科学技術政策大綱閣議決定

1993年 細川連立政権

 野党自民党橋本政調会長から、党内各部長会に議員立法の検討について指示

 当時自民党科学技術部会長尾身幸次議員は、科学技術基本法を取り上げる必要性に思い至る

1994年より検討開始

1995年 超党派議員立法として国会に提出、可決

2005-11-28

加藤紘一氏、科学政策を語る

●新しき日本のかたち

加藤 紘一 (著) 価格: ¥1,680 (税込) 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478180431 ; (2005/11/18)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478180431/nposciencecom-22/

 数少ない「科学技術族」議員の一人、加藤紘一衆議院議員

http://www.katokoichi.org/

が、科学技術基本計画やポスドク1万人計画の経緯について語っている。

 知財NPO法なども含め、気になる存在である。現在の科学技術政策の方向性をある程度決めた人といってもよいだろう。

 おりしも来年度の概算要求に関して「科学技術はもはや聖域ではない」

(たとえば日経新聞社説

科学技術でも小さな政府

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20051126MS3M2600C26112005.html

 との声が高まっている。また、ポスドク後の就職難が指摘されている。

 こうした中、日本の科学技術をどのような方向に導きたいのか、ビジョンなどを伺ってみたい一人である。

2005-11-27

ブログ移築作業

 melma blogの消滅が迫ってきたので、移築作業をする。melmaはデータの移築もできないので手動でやっている。

 2年分のデータが消滅するのは非常に痛い。とりあえず、普通のブログとして利用しはじめた9月からの記事を移築する。

 アクセス数も一日1000から50程度に激減した。メルマガのデータを検索でひっかける人が多かったということだろう。

 フリーのブログを使うということは、こういうリスク?を伴う。ブログがすごいといったって、企業のサービスに依存しているうちは、こういうことだ。

 フリーでなくても状況は同じ。movable typeを導入しても、サーバはレンタルでお金を払っている。

 考えれば、ネットでの日常の活動はマイクロソフト社のソフトに依存しているわけだし、コンピュータだってインテル社に依存したりしている。

 私たちのネット社会は、わずかな巨大企業の手のひらの上に咲いたあだ花なのか。

 いちユーザーとしては、したたかに利用できるものは利用していきていくしかない。

2005-11-22

すみません

 このブログのフィルターが強すぎるのか、コメントが迷惑コメントになってしまうことが多くて困っています。

 というわけで、非常に重要な指摘をコメントでいただいていたことにいまさら気づきましたので、ご紹介させていただきます。ハンドルネームyesさんです。11月15日

ブログのものを使って、一般向けに情報公開していくのはさほど難しく無いけど、その背景のツールの使い方にある。ここでもmovable typeを利用しているけど、blogとしてじゃなくてcmsとして使うなら、ページ一つ一つの統一感を気にせずに発信していける分大変楽になりますね。zopeを使った研究室(奈良先端だっけな)もあったよ。

wikiを使って発信されている方も少なからずおられますよ。ただし、一般向けに噛み砕いたものかどうかは別だけど。

また、問題があるとすると、優秀な方になればなるほど、時間が足りないってことは言えるかもしれませんね。それだけに、妥協点は学会発表アブストラクトを公開したりに留まるかもしれませんね。個人的にはプレスリリース形式は実現させてみたいけどね。

また、ネットの悪意についてだけど、炎上するのは大体公衆道徳に反するものや、歴史認識問題や近隣諸国の問題に触れる場合が多いですし、政治系のことに関する記事は本当にリスクが高いと思っています。後は、子供っぽい言動(誹謗中傷含めて)がガソリンになるようです。口が悪い研究者は後を絶たないけど、それをネット上でやれば間違いなくヤバいだろうと思う。中学生程度のいじめと同様に弱者や少数意見に同意しようとするだけでも炎上することが有り得ますがね。

ネットで確かに多くの研究者が日記を書いているけど、その中でも特に背中を見られてる(要するに指導者)立場の方もいますが、そのことをわきまえている限り問題はないと思う。

もう一つ付け加えると、一般向けというのはかなり抽象的だといえます。検索して見に来てくれる人となると、多少の見識は持っていると判断してよいでしょう。その分野のことを知らなくてもですよ。。。個人的には、学部生位を対象に考えた内容で十分だろうし、プレスリリース的なものはもう少し噛み砕くくらいじゃないかな。と思います。

実は学部生向けというのは発信側にもかなりのメリットはありますよ。それは興味を持って門を叩いてくれる院生の候補を捕まえられる可能性が増えるわけですしね。負担にならずにやっていける方法や指針を考えていったらいいかもしれませんね。

第三期基本計画

 11月11日から、総合科学技術会議が第三期科学技術基本計画のご意見募集をしている。

『「科学技術に関する基本政策について」に対する答申(案)』についてのご

意見募集

http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon/kihonseisaku.html

 私たちサイコムジャパンでは、一年前に文部科学省が募集したパブリックコメントに意見を出している。

http://scicom.talktank.net/modules/news/article.php?storyid=29

 いまさらながら読むと、結構取り入れられた施策もあるような気がしている。もちろん、私たちの意見が取り入れられたというよりは、私たちの意見が、多くの人が考えそうなことを言っているだけ、ということなのだろうが。

 ともかく、今回のご意見募集にも、きっちり基本計画案を読み込んで意見を出したいと思う。

 ご要望もいただいたので、このブログで基本計画を読み解きながら、みなさんと意見を考えてみたい。

7億円は無駄遣いか

 日経ビジネス 2005年11月14日号

http://nb.nikkeibp.co.jp/free/backnumbers/2005/20051114.shtml

の特集

「虚妄の大学発ベンチャー

民営化時代のタックスイーター」

が話題になっていた。産学連携に巨費を投じているが、果たして有効に使われているのか、という問題提起である。刺激的な内容で、たしかにこの記事を読めば「税金ドロボー」と叫びたくなる。

 その取材メモ

起業大国を目指す日本の実態

http://nb.nikkeibp.co.jp/free/note/2005/20051114.shtml

 には、産学連携だけでなく、ポスドク問題について、こんな記述がなされていた。引用させていただく。

ポスドク1万人計画」という政策があります。日本の科学技術力を向上させるため、博士号を持つ非常勤の研究者ポスドク)を増やそうと1996年に閣議決定されました。たしかに研究者層は厚くなりましたが、急増したポスドクの行き場がありません。教授などのポストは簡単には増やせないからです。困った文部科学省は、来年度から「科学技術関係人材のキャリアパス多様化推進事業」を開始するため、7億4600万円を概算要求しました。

  研究者だけ厚遇されるのはなぜか。就職先が見つからない女子学生のため税金が投入されたという話は聞いたことがありません。博士号を取るほど優秀であれば、自分の進路は自分で切り開いてほしいものです。

 非常に重要な論点をはらんでいると思うので、ここで議論させていただく。

1)7億円は高すぎるか

 ポスドクの就職に7億円をつぎ込むことが無駄か、そうでないかを考えるには、投入した7億円以上の効果があるかどうか、ということになる。

 ポスドクが1万人強いるといわれており、その他大学院生なども含めると、この事業の対象者は2万人くらいになるだろうか。

 7億を2万で割ると、一人当たり35000円になる。果たしてこれを安いとみるか高いとみるか…

 現在のポスドク問題を、適材適所がなされていない状態と考えると、ポスドクを欲する職種(これはなにも民間企業だけではない、教育現場とか、シンクタンクとか…)にポスドクを再分配することにより、利益(何らかの形で社会にプラスになる)が出ればOKなわけだ。

 ところが、確かに中小企業などでポスドクを欲しているところがあるようだが、それほど多くはない。文部科学省が毎年出している民間企業の調査

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/10/05102001.htm

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/09/04091501.htm

によれば、ポスドクや博士号取得者を採用する企業はわずかである。

もちろん、これは「食わず嫌い」の可能性もあって、さまざまな職種で実際にポスドクを活用してみて分かることも多いかも知れない。

2)優秀なものは自力で就職先を探せるか

 自力というのが何を意味するのか分からないが、たとえば大学生の就職先を考えてみる。

 大学生は何も自力で就職先を探しているわけじゃなくて、リクナビ

http://www.rikunabi2006.com/

のようなサイトを見たり、大学の就職窓口を利用したりしている。女子大生にお金が出てないか、ということだが、大学のお金ということで間接的に税金が投入されている。

 もちろん、それは金額の問題で、女子大生の就職に一人当たり3万5千円も出ているかは不明だ。

 ともかく、リクルートのような民間企業が就職情報に参入するのは、それだけ市場があるからだろう。

 大学院生ポスドクリクナビがあるか、というと、ないわけではない。たとえばリクナビNEXT

http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/rnc/docs/cp_s00010.jsp?__r=1

では、技術職の転職斡旋のようなことをしている。

 また、サイコムジャパンの理事でもある奥井氏のサイト「博士の生き方」

http://www.hakasenoikikata.com/

では、企業と提携して、就職情報を提供しようと試みている。

 その奥井氏が今回の7億円問題を論じているので、ご一読いただきたい。

http://www.hakasenoikikata.com/zakan051105.html

 奥井氏が指摘するように、ポスドクの就職をあっせんすることがリクルートのような企業の利益になる可能性は少ない。よって、国費で職の斡旋をすることが意味がないとはいえない

 ともかく、大学生だって、どんなに優秀でも、まったくの自力で就職活動しているわけではない。それを考えると、研究者として優秀な人間が、自分で就職先を探しきれるのか、疑問を感じる。

 たとえば、どこかの中小企業が、ある技術を持った人間を探しているとしよう。そしてその技術を持ったポスドクがいたとしよう。もしこの両者を「自力」で結びつけようと思ったら、企業はどうすればいいだろう。

 めぼしい研究室に手紙を送ったり、会いにいったりするだろう。もちろん研究事情に詳しければ、特定の教授に斡旋を依頼するだろう。

 けれど、その技術どんぴしゃりを持った人材がいなかったらどうするのか。

 ポスドクが自分の技術を生かせる職場を探すことを考えよう。大学や研究所で学んだことなどは、企業のニーズに直接合っていない可能性は高い。その場合どうすればよいのか。日本中の企業に電話をかけたり手紙をだせばよいのか。

 というわけで、何らかの斡旋機関が存在すれば、その労力を軽減できるはずだ。研究の優秀さと、就職を探す能力は違うのである。

3)では、7億円は有効に使われるのか

 ちょっとラフな議論になってしまったが、適材適所がなされれば、7億円以上の効果がある可能性はある。

 しかし、奥井氏が指摘するように、

その昔、企業が不良債権を別会社に移して、自分の会社を財務的に綺麗に見せたように、大学や研究機関が抱えているポスドクを別の機関に移すことで、あたかもポストポスドク問題が解決したように見せることに、結果としてなってしまうのではないか

 という懸念は消えない。ポスドク不良債権化してしまうのは、ポスドクの能力が社会に有効に役立てない可能性があるからではないか。

 つまり博士やポスドクが、大学や研究機関の短期的な安い労働力として扱われているだけで、ポスドク歴や博士の学位が次のキャリアに生きていないという現実があるのではないか。

 だとしたら、7億円が無駄になる可能性は高い。

 しかし、人は環境で変わる。また、環境も人で変わる。

 7億円を企業とポスドクのマッチングだけに使ったら、上記のような懸念がある。しかし、社会のさまざまな場にポスドクを送り込むことで、ポスドクの新たな能力が目覚める可能性はある。また、ポスドクを受け入れた職場が、思ってもみなかった効果を得ることもある。

 7億円をジョブマッチングだけに使うのではなく、既存の価値観にとらわれない、もっと幅広いキャリアを視野に入れて使うことが必要なのではないか。ちょっと時間がないので、問題提起だけさせていただく。

 なお、サイコムジャパンの春日匠氏が、蛋白質核酸酵素

http://www.kyoritsu-pub.co.jp/pne/

の12月号に

「大学問題の“失われた10年”――20世紀型科学の終焉とノンアカデミックキャリアパス

という文章を書いているので、もし可能ならばご一読いただきたい。

2005-11-20

長いメールマガジンの言い訳

 サイコムニュースが完成した。いつものように月曜の朝、皆様のもとに届く。

 学会の場でも、その他さまざまな場でも、メールマガジンが長すぎて読みきれない、といわれる。

 非常に心苦しく思う。初期のメールマガジンから比べて、非常に長くなっている。それは自覚している。

 一時期3号にもなることもあり、それからはやや改善したが、それでも長い。読んでくださる方には申し訳ないと思っている。

 メールマガジンの読み方としては、全部の記事にすべて目を通す必要はなくて、さらさらと流して、興味のある記事だけクリックしていただけたらと思う。

 クリックしたらリンク切れだった、ということも多いようで、よく指摘を受ける。これについては申し訳ないとしかいいようがない。ネットの記事がもう少し長く掲載されていれば、と常々思う。

 言い訳をすると、メルマガは内容を減らしていくほうが労力がいる。現在の編集部の人員を考えると、そこまで手が回らないのが現状だ。いずれ改善したいと思っているのだが。

 なにかいいアイディアがあったら、ご教授願えると幸いである。

 以下111号の目次。そういえばぞろ目だ。

※SciCom NewsはNPO法人サイエンス・コミュニケーションの発行するメールマガ

 ジンで、

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★発行部数 1664部(11月19日現在)

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ブログでなくても

 本当はデジタルデバイドやネットの危険性に対してどうすべきか、ということを書こうと思ったが、またもやアウトリーチのことを書く。

 まず「アウトリーチ」という言葉に関して。

 アウトリーチとは何か、あまり定義しないで使ってしまったようで申し訳ない。昨年の科学技術白書に定義が書いてあったが、PDFファイルなので、その他の資料をぐぐってみた。

研究者によるアウトリーチ活動の効率的な推進にむけて

http://www.mri.co.jp/COLUMN/TODAY/SHINOZAKI/2005/1004ST.html

アウトリーチ活動という表現をご存知だろうか?アウトリーチ(outreach)とは「手を伸ばすこと」、「対象者のすそ野を広げる」という語義である。

研究者によるアウトリーチ活動とは、研究者と国民との双方向コミュニケーション資するような活動(例えば研究者による国民への直接の教育・指導、研究者と国民との対話等)である。また広義では、一方向の情報発信が主と考えられる広報活動(例えばパンフレットや映像資料の配布、ホームページ等)も含まれるといえる。

 アウトリーチ活動をブログに限定する理由はない。ほかの手段があるのだったら、そちらを使えばよいだけ。ただ、ブログにしろなんにしろ、「双方向コミュニケーション」が重要なわけだ。だったら、ブログを使ってもいいのでは、という思いは変わらない。

 で、問題はブログか否かではなくて、その中身なのだが、つぶやきおやじさんは

たとえ内容をかみ砕いて紹介したとしても、個々の研究者のやっていることなどは重箱の隅をつつくような小さなことであることが多いと思います。よっぽどのマニアを除くとそういうことを知りたいと思う人がそんなにいるとはとても思えません。

さらにそうして埋められた非常に狭い領域しか扱っていない研究ブログを喜んで読んでくれる読者などほとんどいないと断言できます。そういうものがもし存在し得たとして、敢えて読者を想定すると、当の研究室の学生だけではないでしょうか。

 と言われている。確かにそういう面はあるかもしれない。けれど、そこでとどまっていいのだろうか。

 恐ろしいことを言ってしまえば、数人しか分からない研究をしていることが、社会に認められるのか、という問題が出てくる。税金を投入して、同業者との間にしか分からないし話題にもならないことをやってもいいのだろうか、という疑問だ。

 研究のアウトリーチの話が出てきたのは、もっと言ってしまえば今の科学コミュニケーションブームがあるのは、研究者が自分や同業者の世界に閉じこもってしまったことが原因だったのではないか。税金を使って研究する人たちへの厳しい社会の目が、科学コミュニケーションの必要性を政府研究者に認識させたのではないのか。

 自分の研究を書いたって、分かってくれるはずはない、という段階はもう終わろうとしているように思う。分からせないといけないのではないか。分からせられないのなら、興味をもたせないといけないのではないか。

 重箱の隅をつつく研究をどうしてやっているのか、何が魅力なのか。マニアックだから人が読まないということはないと思う。マニアックだって魅力的に書けば人は読んでくれるのではないかと思う。

 また、少人数でもニーズがあるのなら、書いてもいいのではないか。ブログマスメディアでないので、マイノリティ(たとえばまれな疾患の患者さんとか)の人たちが交流するのに使えるかも知れない。

 研究者ブログで既に研究の様子が書かれているというが、確かにその通りだと思う。研究者の日記などは昔からちらほら読んだりしていたし、自分でも書いていた。けれど、まだ物足りない。工夫次第でもっと研究の魅力や面白さが書けるのではないか。

 ともかくブログでなくても、他の手段でも(デジタルデバイドを考えたら他の手段のほうが重要かもしれない)、研究者と市民の双方向コミュニケーションが重要だというのは共通認識だ。ブログという手段にこだわらず、逆に無理にブログを排除せず、いろいろな手段を考えて、双方向コミュニケーションを実現していきたい。

2005-11-17

ブログのアウトリーチ性

 お返事が遅くなって申し訳ありません。つぶやきおやじさんからは質問のお答えをいただいている。また別の項できちっと触れさせていただく。

 ブログアウトリーチとして用いないことについて、仙台通信さん、CoSTEPさん、5号館のつぶやきおやじさんから貴重なご意見をいただいた。

アウトリーチ活動の「場」としてのブログ

http://d.hatena.ne.jp/Namba/20051114#1131976202

さまざまなアウトリーチ活動

http://nosumi.exblog.jp/2196610/

 つぶやきおやじさんの学会でのお答えも、アウトリーチは他の手段でやるべきである、ということだった。

 確かに、さまざまな問題がからんできて、そう簡単に研究成果を公表できないのは理解できるし、文章中心のブログより、さまざまな媒体のほうが有効のときもあるだろう。

 お二人のご意見は非常によく分かる。

 ただ、それでもブログにも使いようはあると思う。

 森山さんがもう6年前に書かれた

研究者の方々へ、ウェブ日記のすすめ

http://www.moriyama.com/popular_science_node/backnumber/1999/PSN990629.html#essay

 は、今まで何度も引用させていただいた。それを読むと、こんなことが書かれている。

【生の科学の営みを】

思うに、いま科学離れなるものが言われるに至った理由の一つには、科学者なる人がいったいどんな人なのかさっぱり伝わっていないことがあげられるだろう。なんとかを発見しました、というアウトプットは出て来るが、どのような過程を経てそれが出ていったのか、いったい現場では何をしているのかがさっぱり出てこなくなった。つまり科学という過程そのものはすっかりブラックボックスと化してしまった。そこが「科学ってなんだかよく分からない」というイメージの遠因となったのではないかと思うのだ。そこで私は、研究者の方々の生の姿を伝えるメディア・表現方法として、ウェブ日記を提案したいのである(強引だけど)。

そんなものは啓蒙ではないと言われそうである。確かにそのとおり。啓蒙のためにはもう一つ、知識をいかに伝えるか、というポイントが重要になる。だがこのような、人間的な営みを生の形で伝えていくこともまた重要だろう。こうだろうかああだろうかと考え悩むことも科学の姿であるなら、なおさらである。

 つまり、研究内容そのもののアウトリーチ的な活動は、おっしゃるとおり厳密さも要求されるし、ブログだけが手段じゃない。もっと有効な手段もある。

 ただ、研究する喜び、悲しみ、その他研究者として生きる姿をもうちょっと出してもいいと思うのだ。その手段としてブログは使えると思う。

 長い間かかった研究の論文が通った時の喜びはどんなものなのか、この研究をやると何がわかるのか、どうしてやっているのか、何が面白いのか、そういうingの生の声ってなかなか聴けるものじゃない。

 そういう知的興奮(している人の様子)をもっとブログで読みたいなと思うのだ。

 卑近な例になるが、私の弟はカナダ生理学の研究をしている。ブログを書いているのだが、研究の内容が比較的多く出てくる。研究の内容自体にはそれほど触れていないが、日々の研究の喜びや悲しみ、学会に行ったり同業者と会話したときの興奮などを率直に書いている。

http://blog.livedoor.jp/dendrite/

 もちろん、外国にいるから、比較的自由にいろいろなことを書けるのかもしれないが、研究の内容は分からなくても、研究が面白くて仕方ない、という様子が分かる。

 別に弟をほめているわけじゃなくて、研究内容に触れずとも、研究という営みの魅力を伝えることはできるし、その手段として、研究者にはブログを活用してほしいなと思う。あくまで要望だが。

解雇しろ?

 理系白書’05:第3部 流動化の時代/3 任期後の受け皿、少なく

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20051116ddm016070018000c.html

を読んで、少し驚いてしまった。

 理研のプロジェクトディレクターの発言である。

任期や評価に追われて馬車馬のように働く人たちがいる一方で、終身雇用に安住する人たちの方が圧倒的に多い現状には納得がいかない。「どんな制度でも、できる人はできる。業績が悪ければ、終身職でも解雇すればいい。人の能力より雇用制度を重視するようでは、独創的な成果は生まれない」と厳しい。

 人材の流動化と身分の不安定化、研究者モチベーションの問題は非常に重要な論点で、きっちり議論しないといけない。有能な人材をどんどん使って「使えない」人材をやめさせたい、という意見は、さまざまな反論をはらみつつも、そういう意見を持つ人がいるのは理解できる。

 しかし、それと「終身職でも解雇すればいい」という問題とは話が別だ。

 契約とか法律に詳しくないので、どなたか補足いただければと思うが、終身職を辞めさせるというのは、契約、法律は守りません、と言っているようなものではないのか。「終身職をなくしたい」というのとは意味が違う。

 インタビューが乗ってしまい、軽快に本音トークが出たのだと推察するが、チームリーダーが違法行為を推奨するのは、モラルとして問題があるように思う。ルールが問題ならば、ルールを変えるべき、というのとは全然違う。ルールを破るべき、と言っている。

 問題提起をしていただくのはありがたいが、発言は慎重にしていただきたい。

 

 

 

2005-11-14

速報版 No110(研究ニュース・イベント案内号)

 メールマガジンを発行いたしました。

 詳しい内容はまぐまぐのログのページでご覧ください。

http://blog.mag2.com/m/log/0000116394

 先週は第三期科学技術基本計画の骨子がいよいよ固まり、意見募集やタウンミーティングがはじまったことが大きなニュースでした。

『「科学技術に関する基本政策について」に対する答申(案)』についての御

意見募集

http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon/kihonseisaku.html

●これからの科学技術 タウンミーティングイン東京

−第3期科学技術基本計画の策定に向けて−

http://www8.cao.go.jp/town/tokyo171211/index.html

 第三期基本計画の内容を読み、問題点や評価点などを抽出していければと考えています。


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つぶやきさんへの質問

 STS学会では、つぶやきおじやじさん

http://shinka3.exblog.jp/

ブログについての発表はじめ有益な話を聞けたと思う。

で、学会はやはり無料お試しみたいで、質問できず不完全燃焼という感じ。つぶやきおやじさんにも質問したが、時間切れ寸前だったので、簡単になってしまった。

以下もうちょっと詳しく質問したかったことを書いてみる。

ブログ(ネット)の悪意について

 2ちゃんねるなどに代表されるように、ネットが燃え上がると怖い。ブログは基本的に悪意に弱いのではないか。

デジタルデバイドの話

 これは以前にも問題提起させていただき、つぶやきおやじさんにも答えていただいたが、どういう方法があるか、議論してみたかった。

●つぶやきおやじさんは自分の研究をブログに書かないのか

 数日前にサイエンスライター森山和道さんがウェブ日記に問題提起をされていた。

http://moriyama.com/diary/2005/diary.05.11.htm#diary.05.11.06

以下引用させていただく。

▼最近、「アウトリーチ」とかいった言われ方で、研究者一般ピープルに自分たちがやってることを伝えなければならないと言われており、その一環としてブログをやってます、という人をちらほら見る。僕は以前「ポピュラー・サイエンスノード」に「研究者の方々へ、ウェブ日記のすすめ」というのを書いたくらいで、研究者ウェブ日記を書くことには賛成だ。だけど、最近のウェブ日記あるいはブログが、いわゆるアウトリーチになってるのかというと、どうにも疑問だ。

▼というのは、自分の研究をちゃんと紹介しているドキュメントを書いている人が少ないから。ウェブ日記ウェブ日記で、毎日の現在進行形の日々の様子、そのときどきでしか書けないことを書いていけばいい。だけど、「アウトリーチ」っていうのはそういうことが求められているわけじゃないと思う。

▼たとえば研究をまとめて論文あるいはポスターで発表したりしますよね。そのときの内容をかみ砕いて一つのドキュメントにする。そういうことをやってれば確かにアウトリーチだと思うけど、そういうのをブログでやってる人を見たことないですよ。つまり、「一人ニュースリリース」みたいなことですね。そういうのがアウトリーチ活動だと思うんだけど。

▼日々のずっこけ日記とか愚痴日記も確かに面白い。けれど「あなたがやってることの本当の面白さってそれですか?」と聞きたくなるようなブログが多い。自分の研究をゼロから一般人に説いてみる、というのも良いんじゃないの、と思うんだけどどうだろう。

 このあたりについてつぶやきさんのご意見を伺いたかった。

2005-11-13

オフ会?!

 昨日からSTS学会のため名古屋に来ている。

http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/phil/sts05/index.html

 内容は後日にまわすとして、懇親会はうれしかった。ネット上での知り合いに次々とお会いできたから。まるでオフ会のよう。

 5号館のつぶやきおやじさん

http://shinka3.exblog.jp/

はもう7年くらいの知り合いだが、リアルな場でお会いするのははじめて。

 そのほか、CoSTEPの難波さん

http://d.hatena.ne.jp/Namba/

 岡橋さん

http://hillbridge.ameblo.jp/

 粥川準二さん

http://www2.diary.ne.jp/user/91038/

 はずっと知っている人なのに、はじめて会うというのはなんとも言えない不思議な感じ。

 そのほか、心の師匠白楽ロックビルさん

http://www.haklak.com/

 にも久々に再会できた。今回の助成金の情報を下さったのは白楽さんだから。

 サイコムメルマガの感想も伺った。長いという指摘が多かった。長いのは心苦しく思うが、人手が足りなくて、要約まで手が回せない。今回の助成金でそのあたりも改善できればいいのだけれど…

 ともかくサイコムジャパンに関する生の声が聴けたのは非常にうれしかった。今後のはげみになる。

2005-11-09

助成金

 皆様にご報告させていただきたいことがございます。

 このたび、NPO法人サイエンス・コミュニケーション科学技術社会論学会STS学会)が募集していました柿内賢信記念賞研究助成金

http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/jssts/content/view/54/58/

の実践賞研究助成金をいただくことになりました。

 50万円ほどのお金をいただくことができそうです。これをもとに、科学技術政策をウォッチし、政策提言できるようにしていきたいと思っています。

 皆様には今後ともご協力、ご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。

 なお、今週末名古屋大学で開催されるSTS学会

http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/phil/sts05/index.html

にご招待いただきましたので、学会見聞も含めてでかけてこようと思っています。参加される皆様はぜひお声がけいただけたらと思います。

2005-11-08

サイエンスライティング講座in駒場2005

 このたびNPO法人サイエンス・コミュニケーションサイコムジャパン)

http://scicom.jp/

が主催するサイエンスライティング講座が東京にて開催されます。皆様どうぞ振るってご参加ください。

 なお京都大学との共催のサイエンスライティング講座は残り少なくなっておりますので、お早めにお申し込みください。

http://www.symlab.sys.i.kyoto-u.ac.jp/renkei/sciwri.html

 それではどうぞよろしくお願いいたします。

2005-11-06

速報版 No109 (研究ニュース・イベント案内号)

 11月7日発行のサイコムニュースが完成しました。目次です。

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★発行部数 1645部(11月5日現在)

まぐまぐ1503部+melma!142部

2005-11-05

*********************************************

 私たちサイエンス・コミュニケーションでも大変お世話になっている市民科学研究室さんが、新規会員を募集している。

 市民科学研究室さんは、NPOとしては10年以上の歴史を持ち、東京本郷に事務所を構えている。私たちよりはるかにしっかりしたNPOだ。私たちの目標でもある。

 代表の上田さんは、東京大学の科学技術インタープリター養成プログラム

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/sakuralab/STITP/index.html

 で客員教員を務められている。

 興味のある方はぜひご入会を!

**********

みなさま

こんにちは、市民科学研究室の上田です。

11月と12月に、新たに2006年度の市民科学研究室の会員になっていただけよう、

多くの方々にお声がけをしております。

市民科学研究室のホームページにおいて、

会員の方々に毎月お送りしている月刊『市民科学』の見本誌を

ダウンロードできるようにしました。

トップページ http://www.csij.org/ の

「新たに市民科学研究室の会員登録を希望されるへ 」に

はられたリンクをクリックしてください。

会員登録は同じページの「会員申込み」をクリックすることでできます。

以下、案内文を添付させていただきました。

どうかよろしくお願いいたします。

***************

 街路樹紅葉を目にして秋の深まりを感じる時節になりましたが、皆様いかが

おすごしでしょうか。日ごろは市民科学研究室をご支援いただきまして、本当に

ありがとうございます。

 さて、私ども市民科学研究室は、この2005年にもさまざまな新企画や連携事業

に乗り出して、現在のところ順調に活動の幅を広げております。『市民科学』や

ホームページをご覧いただければ、現在の活動状況は大まかに把握していただけ

ると思います。市民向けの研究発表「市民科学講座」も通算170回を超え、各プ

ロジェクトの勉強会も連日のように開かれています。

 

 科学技術振興機構JST)からの助成を受けてすすめている「生活者の視点に

立った科学知の編集と実践的活用」というテーマでの研究をはじめ、個別に助成

金を獲得してオリジナルの調査研究を行っているもの(電磁波プロジェクト、科

学館プロジェクト)、他の組織・グループとの連携によって活動を展開している

もの(「未来食アトリエ“いるふぁ”」と食の総合科学プロジェクト、(株)ソ

シオエンジン・アソシエイツとの「リビングサイエンスラボ」、ウェッブサイ

ト・コミュニティ「ベビーコム」との生命操作プロジェクト)、そして学校との

連携を目指して開発している「子ども料理科学教室」の試みや大学の授業を正規

に受け持ったりしている「ワークショップ 科学技術と社会」など、それぞれの

特性を生かした多彩な活動を続けています。

 

 それらの成果は、単行本、翻訳書、報告書、リーフレット、雑誌記事など出版

物の形で出てくるものもあれば、講演や大学での授業といった公の場で発表した

り、ウェッブサイトでの情報として提供したり、あるいは企業や省庁と交渉する

際に生かしたりしています。その大まかな様子は『市民科学』の誌面にも反映さ

せるように努めています。

 このように活動が勢いづき、たくさんの人が事務所に足を運んでくれるように

なってきたことは、本当に嬉しいかぎりです。とはいえ、そうした幅の広がりに

伴って必然的に、活動を維持・発展させていくための資金面の問題がますます重

くなってきてもいます。もちろん私たち自身も確かな収入に結びつく企画や事業

の立案に知恵を絞っているのですが、なかなか一挙に実現というわけにいかず悩

んでおります。宣伝・広報活動にいっそうの工夫を重ね、収入源の一つである

「市民科学講座」にもより多くの方に来ていただけるようがんばりたいと思って

います。

 そして、私たちが最も大切にしたいのは、やはり会費収入です。幸い会員数は

現時点で約200名を数え、少しずつ増加してもおりますが、安定した活動資金を

確保するためには何よりも皆様のご支援が欠かせません。年末の新規登録の時期

を迎えるにあたり、皆様に市民科学研究室をご支援いただきますよう、お願い申

し上げます。皆様の期待に沿えるよう私たちも鋭意努力してまいります。

 一人でも多くの方が新たに会員になってくださることを切に望んでおります。

どうぞ周りのご友人の方々に市民科学研究室をご紹介ください。事務局までご連

絡いただければ、見本誌などを直ちに送らせていただきます。

 

 皆様のご支援を心からお願いする次第です。

   2005年11月1日

   市民科学研究室・代表 上田昌文

上田昌文(UEDA Akifumi)ueda.akifumi@csij.org

市民科学研究室URL http://www.csij.org/

事務所TEL&FAX 03-3816-0574/自宅 045-532-1958

東工大科学技術コミュニケーション論

けけみさんのとっさ日記で知ったが、東工大でも科学技術コミュニケーション関係の講義がはじまるという。

●2005年後学期開講 新設大学院科目

科学技術コミュニケーション論(4単位)

http://www.ryu.titech.ac.jp/info/05newclass1.htm

シラバス

http://www.ryu.titech.ac.jp/info/05newclass_syllabus1.htm

シンポジウムもあるという。

シンポジウム「社会がサイエンティストに望むもの」

日時:平成17年11月16日(水) 17:30〜

場所:大岡山キャンパス 南6号館408号室

シンポジウムゲスト講師

読売新聞東京本社 編集局科学部次長 柴田文隆氏

日刊工業新聞社 科学部記者 山本佳世子氏

●「研究者情報発信活動推進モデル事業」に採択される

http://www.titech.ac.jp/news/j/news050929-2-j.html

▼ 東京工業大学は、JST(科学技術振興機構)が平成17年度から新規に事業の選定を行った「研究者情報発信活動推進モデル事業」に採択されました。

 採択が決定した事業の課題名は、「コミュニケーション能力を有する若手研究者育成のためのインターンシップモデルの開発」です。これにより、本学では、平成17年度後学期から新聞社等のメディアへ博士課程後期の学生を数週間派遣するインターンシッププログラムを開始します。それにともない、「科学技術コミュニケーション論」を大学院科目として設置し、諸分野の言語理論を習得し、若手科学者と社会との対話活動に必要な対人的・言語的スキルを涵養する場を設ける計画です。

 サイエンスカフェ実習なんていうのもあって、非常に興味深い。

 しかし、この一年ほどの科学コミュニケーションブームは、怖さを感じるくらいすごい。

 私がサイエンスカフェを知ったのは、3〜4年くらい前のNatureやScienceの記事で、ものめずらしくてMLなどで紹介したりしたけれど、この勢いでは、一大学一カフェの勢いだ。

 ブームがブームで終わるのか、定着するのか、これからが重要だ。

 資金が切れたらはいそれまで、ではなく、地域に根ざして、継続した活動を続けていくにはどうすればよいか、今から考えたほうがいい。

2005-11-03

ポスドク問題のゆくえ

このブログと旧ブログ

http://blog.melma.com/00106623/

とで、アクセス数が数日で1000も違ってしまった。多分キーワードの検索でひっかかるので、あちらのブログのほうがアクセス数が多いと考えられる。

皆様、あちらのブログは11月30日に、melma!blogが消滅するのにしたがってなくなります。もし定期的にごらん下さる方がいらっしゃいましたら、ブックマーク等の変更をよろしくお願いいたします。


 さて本題。

 理系白書第三部がはじまった。

理系白書’05:第3部 流動化の時代/1 漂う“ポスドク”1万人

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20051102ddm016070133000c.html

 関連情報として

●博士研究員:就職支援に5億円 文科、経産省が来年度から

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/news/20051102k0000m040164000c.html

●発信箱:足の裏の飯粒=元村有希子

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/news/20051102ddm002070008000c.html

 理系白書の取材班の方々が本気になってポスドク問題を取り上げようとしている。私はこの試みを全面的に応援したい。


 もちろんさまざまな声があるのは承知している。理系白書の記事でも触れているように、自己責任という声は大きいし、5億円で何をやるんだ、何ができるんだ、という話も出ている。

 けれど、斜に構えて、評論家のようにあれやこれやと言うだけでは変わらない。



 何度も述べてきたが、この問題は、個人だけの問題でも、政府だけの問題でもない。その中間に本質がある。

 後先のことを考えず、今使える安い労働力としてポスドクをとらえている現状を是とすることはできない。また、博士を持った人間を有効活用できないのは、社会にとって損失だ。

 一方で、あえてその道に飛び込んだ人たちの意思は最大限尊重しなければならないし、いやだというものを無理やり別の道に送ることはできない。

 だから、求めるならば再チャレンジのチャンスを与えるようにする、というのが、ポスドク問題の対策、あるいは5億円の使い道としては妥当なのではないか。

 記事ではジョブマッチング的なモデルが例として挙げられている。ジョブマッチングは今までもあったのではないか、という声もあるが、中小企業ポスドクを結びつける大規模はものはまだないように感じている。だから、まったく意味ないというわけではないし、いろいろなジョブマッチングがあってもいいだろう。

 一方で、5億円はあくまで競争的資金なので、ジョブマッチング以外の事業を提案してもよいはずである。産業界とのジョブマッチングが問題だと思うなら、どんな事業ならよいのか、考えてみよう。

 たとえば、産学連携的ジョブマッチングではなく、社学連携、つまり産業界以外のさまざまな職種とのマッチングも考えてもいい。キャリアの転換という人生の節目に、自分がどのような職につけばよいのか、アドバイスする機関を設けるという方法もある。

 また、多彩なメンター、先駆者を紹介して、こんな道もあるという例を示すという方法もある。



 今回の理系白書は賛否両論いろいろな議論を巻き起こすだろう。それはよいことだと思う。ただ、「自己責任」「どうせやったって無駄」「意味ない」「金の無駄遣い」「机上の空論」と批判するのは容易いが、それでは今までの議論となんら変わらない。

 ポスドク自身や当事者予備軍の大学院生、大学の教員や私たちのようなNPO、市民も含めて、一方的な非難合戦や個人的体験の披露だけでなく、何が問題でどうすればよいのか、という建設的な議論が高まることを期待したいし、私たちも、批判を超えて提案をするということを心がけていきたい。

2005-11-01

あきらめない

 今月号の現代科学

http://218.251.126.22:8080/t_dojin/FMPro?-db=maindb.fp5&-format=detail%5fg.htm&-lay=cgi&-sortfield=%8f%91%96%bc%82%e6%82%dd&-sortorder=descend&-max=1000&-recid=33437&-findall=

の記事「社会不安を生む科学」(渡辺 正)を読んで、またか、と思ってしまった。

 記事の内容はマスメディア批判。地球温暖化環境ホルモンなどが根拠に乏しいことを批判し、そんな間違った記事を書くメディアはけしからん、と言っている。

 正直言う。この手のメディア批判は何ももたらさないのではないか。

 とかく研究者は、メディア批判をしたがる。

 もちろん、正しくない、間違っている、という指摘はすべきだし、マスコミュニケーションの影響力の大きさを考えると、正しいデータや解釈で報道してほしいと考えるのは当然だ。

 けれども、得てしてマスコミ批判マスコミ関係者の無能を馬鹿にするような論調になるのは、横で見ていて不快な気持ちになる。

 間違ったことには間違ったというべきだ。しかし、間違ったものをけなすような批判が多すぎる。上の文章でも、

マッチポンプ」「ドブに捨てる」「狼少年」

などといった刺激的なコトバが並ぶ。

 研究者マスコミ批判には、記者の知的レベルへの見下しのような感情が見え隠れする。そして一方的に非難するばかりである。

 しかし、見下された側が、はいそうですか、となる可能性は低い。ますます頑なになり、批判を強めていくだろう。そんな関係からいったい何が生まれるのか。


 甘いといわれるのは分かっている。太陽で温めるより、北風を吹かしてしまえという人が多いのも理解している。


 けれど、それでも私は相手を尊重した上で対話から始めたい。

 間違ったら間違ったという。よければほめる。何がよくて何が悪いのか、顔の見える対話をする。

 研究者だって「科学者は云々」と言われるといやな気持ちになるだろう。だから、「マスコミは云々」はやめよう。○○新聞の何月何日のあの記事は間違っている、本当はこうである、というようにしよう。

 こういう作業は時間がかなるし、報われないかも知れない。しかし、レッテル貼りの非難は、コミュニケーションをストップさせる。

 対話を繰り返せば、どうしてそういう記事がでるのかが分かるかも知れない。そうすれば、改善点が見えてくるかも知れない。こうした解決策はレッテル貼りからは出てこないだろう。

 適度な距離感を保ち、協力できるところは協力し、批判すべきところは批判をする、そういう大人の関係でありたい。

 難しいのは承知しているが、私たちサイコムジャパンは、双方向のコミュニケーションの可能性を諦めず追求していきたい。


 話は変わるが、近年高まる「報道の前にチェックさせろ」という意見には賛同できない。報道機関側がこれでいいのですか、とチェックを求めてきたのならそれはそれでいい。しかし、事前チェックを義務付けるのはいきすぎだ。

 友人が教えてくれたフラー?のコトバ「民主主義は間違える権利を保障する」というのは名言だと思う(うろ覚えですみません)。

新ブログ始動!

melmablogの消滅が迫っているので、急いでブログを作成した。ようやく基本機能をつけることができたので、とにもかくにも公開。

今までどおり、このブログではメールマガジンNPOの代表理事としての雑感などを書いていきたいと思う。

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!