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2005-12-30

科博で科学コミュニケーター養成

 うっかり見落としていて、今日発見した。

国立科学博物館におけるサイエンスコミュニケータの養成について

 来年度からサイエンスコミュニケータ養成のための講座を開講するそうだ。

 科学館自らがコミュニケーターを養成するとは、新しい試みだ。今後を注目したい。

2005-12-29

研究者のノンアカデミック・キャリアパス(成果報告書)

 私も関わった研究者のノンアカデミック・キャリアパス(成果報告書)ウェブで公開された。

 これは、今はなくなってしまった産業技術総合研究所・技術と社会研究センターが中核的な実施機関として実施したものだ。

 サイコムジャパンメンバーでは、私や奥井理事が関わっており、私たちの主張も多く取り上げられている。

 ぜひご一読いただきたい。

25兆円は茶番劇か

 ここのところ、サイコムジャパンの仲間と、第三期科学技術基本計画の25兆円の意味を議論し続けている。

 25兆円と金額ばかりに目がいってしまうが、そもそも科学技術基本計画における投資目標とは何なのか、よくよく考えると、不明確になってくる。

 1期、2期に「科学技術予算」として計上された内訳のなかには、本当に科学技術予算なのか、不明確なものも多いらしい。

 また、科学技術予算に建設国債が使われていることは、あまり知られていないかも知れない。

 加藤紘一氏の講演にそのあたりのいきさつが詳しいので、少し引用させていただく。

【加藤】 しかもその額が遅々として伸びないというのです。杉村さんはその分野の世界的権威であり、日本を代表する科学者の一人でもあります。その杉村さんから「科学研究費補助金はわれわれにとっては命の網で、それを1000億円にするのが研究者の夢だ」とお聞きして、ハッとしました。

一方では当時、景気対策のための公共事業費として、8兆5000億円を5000億円増やして9兆円にするか、それとも3兆円追加で単発にしようかといった話をしていたわけです。どうして科学研究費補助金はなかなか増えず、公共事業費のほうは大判振る舞いをするか。それには一応理屈がありまして、橋や道路といった公共事業は50年、100年先まで財産として残るものだから、良い借金であり、建設国債という概念でとらえる。そういうことになっているわけです。

反町】 それにひきかえ、研究費のほうはあくまでコストであると。

【加藤】 いわば学者の給料などになって生活費として消えていってしまう経費だから、赤字国債の対象とされていたわけです。

法律でいえば、財政法第4条に公債発行や借入金は「公共事業費、出資金及び貸付金の財源」に限って認められるという歯止めがあります。なるべく借金をしないための仕組みがあるため、他の政治家大蔵省を相手にして、基礎研究を建設国債の対象とすることを説得するのはなかなか骨の折れる作業でした。

そこで私は当時の文部省科学技術庁通産省の若手官僚などに「10文字以内でその矛盾を解くキャッチフレーズを探してほしい」と頼んだのです。「1文字につき100億円の予算がつくかもしれない」と。ところが、待っていてもなかなか良い回答が来ない。

そんなおり、東北大学学長をされていた西沢潤一さんが「『知的資産』という概念で取り組まれたらどうですか?」とおっしゃられた。

これでいける、すぐにそう感じました。そして平成7年度の予算編成のとき、「知的資産の形成」というキャッチフレーズを用いて大蔵省主計局の説得にかかりました。

【加藤】 知的資産の価値は何百年も残るのだから道路や橋と同じ財産であるという理屈を唱えて、1年間のやりとりの後、建設国債の対象経費として基礎科学研究費を入れる突破口をひらくことに成功しました。今、建設国債の枠で、その関連の予算が年間700〜800億円ついていると思います。「研究テーマ型予算」として建設国債で集めた金を基礎研究費としてさまざまな研究機関に出資したり、その他にも、「1万人のポストドクター支援計画」として、若手研究者経済的に補助して研究活動を助ける政策などを行ってきました。

 議論になっているのは、25兆円という金額ばかりあれこれ取りざたされ、その内訳や使い方、効率に関する議論が手薄いのではないかということだ。

 もちろん議論がないわけではないが(たとえば最近の日経新聞社説は、「科学技術」を公共事業にするなと、予算の使い方に警鐘を鳴らしている。

 また、Natureは最新号のEditorial、A poor assessmentのなかで、日本の研究評価システムのまずさを指摘している。

Nature 438, 1051-1052 (22 December 2005) | doi:10.1038/4381051b

▼Given Japan's strong scientific record, the country has a badly flawed research evaluation system.

 本当はこういう議論は科学コミュニティ、ひいては研究者自身から出てこなければならないが、研究者の意識はまだそこまで至っていない。

 ただ、研究者の意識が低いと叩くのは簡単だが、それだけでは新聞の社説と同じで、効果は少ない。

 意識を高めよ、と声高に言うだけでなく、どうやれば意識が高まるか、仕組みを考えなければならない。

 サイコムジャパンは、社会と研究者の中間にいるような集団だ。一方的な科学者批判集団ではなく、かつ科学者の代弁者でもない。私たちも「お前らなんとかしろ」だけでない方法を考えて、科学コミュニティ内の意識改革を促したい。

2005-12-27

答申への回答

 基本政策専門調査会 (第16回) 議事次第に、科学技術基本計画案の意見募集に対する回答が出ていた。

 意見を出した人もそうでない人も、一度目を通してほしい。丁寧に回答されている。

 その意見を受けて、答申案が修正されている。

 その中に、以下の文章が書き加えられていた。16ページ。

若手研究者を対象とした競争的資金等の申請資格については、出産・育児や社会人経験等を伴う多様なキャリアに配慮し、一律的な年齢制限ではなく研究経歴によるものを設けるなど、それぞれの制度趣旨に応じ制度改善を進める。

 私たちは、研究歴を重視しろと述べたが、その意見が反映された。非常にうれしく思う。

 とりあえずご報告まで。

2005-12-25

メルマガ116号は黄教授問題、辛口の編集後記も

 メールマガジン116号が完成した。

 目玉は当然黄教授の問題。ひたすら記事を集めた。膨大になってしまったが。

 編集後記は立花編集委員執筆。研究者一人一人に辛口のエールを送る。

※SciCom NewsはNPO法人サイエンス・コミュニケーションの発行するメールマガ

 ジンで、

※毎週月曜発行される速報版と随時発行されるレギュラー版の二種類が配信され

 ます。

※詳しくはサイコムのサイトをごらんください。

※購読の登録、解除も以下よりお願いします。こちらで代行はいたしませんので

 ご了承ください。

 http://scicom.jp/mailmag/

ブログ 研究ニュースクリップ:http://scicom.blogtribe.org/

★発行部数 1692部(12月25日現在) まぐまぐ1544部+melma!148部

2005-12-20

決着25兆円〜科学技術投資金額をめぐる攻防

 既にメールマガジン研究ニュースクリップでも書いたが、第3期科学技術基本計画における投入金額目標が決定した。

科学技術予算:第3期基本計画で、25兆円盛り込む方針−−松田・科技担当相発表

科学技術分野の政府投資、「5年で25兆」で決着

科学技術への投資目標、5年25兆円明記で決着

次期科技5カ年計画の投資目標25兆円で決着

第3期科学技術基本計画、政府投資が25兆円に

[解説]科学技術予算削減

 おりしも平成18年度予算財務省原案財務省から出されたところである。科学技術振興費は0.4%増と、他の領域が減らされている中かろうじて増額となった。

 誰かが強く押したのではないか、との声がある。総合科学技術会議での小泉首相の「鶴の一声」が効いたと言われているが、果たして裏には誰がいたのか…加藤紘一議員か…

 ノーベル賞学者の方々の「陳情」がどこまで効果があったのだろう。

 いずれにせよ、政治的な駆け引きなどが行われたのだろう。

 私たちができることは、NPOとしてしっかり予算の使われ方を監視していくことである。無駄は排して、必要なところにお金を、というのが私たちの立場だ。

 今後も引き続きブログでとりあげていきたい。

 

2005-12-18

25兆円で決着、ファン教授問題ほか メルマガ115号

 メールマガジン115号が完成した。

 今週もさまざまなニュースがあった。

★発行部数 1682部(12月18日現在) まぐまぐ1535部+melma!147部

2005-12-15

サイエンスカフェポータル

 え〜、NPO法人なのに、フリーなウェブサービスを使うのは心苦しいのだが…できる限り独自ドメインに情報を集約するのが筋なのだが…

 とはいうものの、メルマガまぐまぐとメルマを利用しているし、もうひとつのブログ研究ニュースクリップも、News Handlerという中堅ブログサービス会社を利用している。というわけで、利用できるものは利用したほうがよいと思いつつ…

 一応公開させていただく。

サイエンスカフェ・ポータル

http://cafesci-portal.seesaa.net/

科学カフェの情報のみを集約したサイト。

 本当は科学技術コミュニケーターとかインタープリターの学生なんかが作ってほしいところだが…もし既にあるのなら、引っ込めます。

 とりあえず、代表理事の個人的なサイトということで、ご紹介まで。承認が得られれば、サイコムジャパンの事業にします。

2005-12-14

理科好きと科学者

 私たちサイコムジャパンのメーリングリストでも、以下の記事が大いに話題になっている。

理科大好きでも科学者イヤ 中3男子56%・女子81%

http://www.asahi.com/life/update/1210/006.html

 問題になっているのはやはり以下の部分。

ところが、「科学者になりたい」との回答はわずか34%(男子44%、女子19%)。男子の56%、女子の81%は「なりたくない」と答え、前者の回答との食い違いが目立った。

 男子の半分近く、女子の2割も科学者になりたいと思っているのなら、上等ではないかという意見が多数。

 つぶやきおやじさんの言われる

大量の理系大学院卒業生さらには理系ドクターが職にあぶれているあるいはあぶれるであろう日本の社会の中で、「科学者になりたいなんて誰も思っていないんだから、君たちもそろそろ科学者になることをあきらめて別の職を探したらどうですか」というようなメッセージが隠されているのかもしれない

 というのは、やはりちょっと穿ちすぎだと思うが、「理科教育、サイエンスコミュニケーションはこんなに重要なんですよ」ということを言いたいのかな、と思う。



 話は変わるが、最近、理科教育推進や科学コミュニケーション推進が無条件で善でいいのかと思うようになっている。

 3年前、NPOの名前にサイエンス・コミュニケーションと名づけたときには、「科学コミュニケーションって何?」と言われたものだが、いまや隔世の感がある。

 それは私たちの活動の成果であるかも知れないのだが、ただ、世の中がこうも科学コミュニケーションと言い出すと、これでいいのかな、と思ってしまう。

 昨日のパブリックコメントにも書いたが、私研究者、あなた市民、という区分がある以上、双方向とは言っても対等なコミュニケーションを行うことは難しい。それはサイエンスカフェに参加しても変わらない。

 双方向とは、関係がめまぐるしく変化するような状態を言うのだと思う。だとすると、市民も研究者であるべきではないかと思う。

 科学は伝えるではなく、やってもらう、なのではないか。理科実験のような興味、楽しさ重視ではなく、地域に根ざした、身近な対象を定めて、科学の手法を使って研究することによって、市民は研究者になるし、そのときに市民、研究者関係は逆転もありえるようになるのではないか。

 まだ考えがまとまっていない。米本昌平氏は、市民研究が経済を活性化しうるとの提案をしている。

 ここらで一歩踏み出した科学コミュニケーションを考えたい。

2005-12-11

メールマガジン114号発行予約

 今週も、ファン教授問題、京都議定書会議、科学技術基本計画をめぐる動きなど、大きな話題がいくつもあった。なかなか簡潔にできないのが悩み。

 あと、科学技術基本計画への答申に対する意見を作成した。これは別エントリーにて。

 以下目次。

★発行部数 1679部(12月11日現在) まぐまぐ1531部+melma!148部

NPO法人サイエンス・コミュニケーション有志、【「科学技術に関する基本政策について」に対する答申へ意見を出す

 パブリックコメントがなんとか間に合った。

 サイコムジャパンの総意というわけではないので、「有志」とさせていただいた。基本的に意見は、普段は見過ごされてしまうような点を中心に作成した。

 前回の中間報告案に出した意見

http://scicom.talktank.net/modules/news/article.php?storyid=29

が相当取り入れられているので、今回はマイナーチェンジ程度に見えるかも知れないが、前回の意見で取り入れられなかった点については再び意見を出した。



 NPO法人サイエンス・コミュニケーション有志は、第3期科学技術基本計画案「科学技術に関する基本政策について」に対する答申

http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon/kihonseisaku.html

に、以下のような意見を送付した。

 この意見が少しでも取り入れられ、日本の科学技術研究環境が向上することを望んでいる。

1) 特定の研究者への研究費の集中を廃し、比較的小額でも多数の研究者に配分するような研究費を

14ページ 若手研究者の自立支援、22ページ 競争的資金及び間接経費の拡充、23ページ 公正で透明性の高い審査体制の確立、30ページ 研究費の有効活用

 今回の答申では、若手研究者に対するスタートアップ資金の提供、競争的資金及び関節経費の拡充、審査体制の強化、透明化など重要な提案がなされており、それらを評価したい。

 特定の研究者への研究費の集中はデータベース化により是正されるとのことだが、その分、科学技術研究費補助金については、比較的小額でも、より多くの研究者にゆきわたるような資金(基盤CやBに相当)を拡充してほしい。

 たしかに、特定分野への研究費集中は、特定の分野を興隆させるという効果はもたらすが、過度な集中により、将来、社会動向が変化した時、集中投資した研究課題が時代遅れとなるというリスクも伴う。そこで、「集中」と「幅広い分配」による適度な分散投資によって、我が国の研究をバランスよくサポートしてほしい。

2) 科学技術に興味を持つ子供たちへの進学の援助等

20ページ 知的好奇心に溢れた子どもの育成、21ページ 才能ある子どもの個性・能力の伸長、第4章 社会・国民に支持される科学技術

 理科教育や科学コミュニケーションに力をいれることには賛成するが、科学技術に興味を持った子供たちが、その興味をさらに発展させるような施策を望む。

 具体的には、科学コンテスト等とリンクさせ、優秀な生徒が最先端の研究現場に触れる機会を、自己負担金なしで提供したり、理科教育に特化したバウチャーの発行、大学の理科系諸学部の学生向けの奨学金の創設など、家庭の経済的事情に関わらず優秀な人材が科学技術の研究開発分野に進出しやすいようにしてほしい。

 また、理科系文科系に関わらず、科学的な思考を重視する教育の推進を提案する。

3) ポストドクター、博士課程修了者に対する就職援助の方法について

19ページ 博士号取得者の産業界等での活躍促進

 博士号修了者が、産業界を含めた多彩なキャリアを歩めるようにすべきであると明記している点は高く評価したい。

 しかしながら、ポストドクターを人材派遣会社に登録するなど、名目上はポストドクターの雇用を創出したかにみえる施策によって、この問題を解決したとすることは避けてほしい。

 具体案としては、ポスドクの就職市場を活性化するために、博士課程修了者雇用に積極的な企業は税制を優遇するといった、踏み込んだ支援策を実施してほしい。

 ポストドクター問題は、バウチャー発行によるリカレント教育等、あるいはキャリアカウンセリング等、ポストドクター自身の手で、社会のさまざまな場に自らの道を切り開けるような施策も合わせて実施してほしい。

 また、ポスドク問題の影に潜む、ポスマス(ポストマスター;修士課程修了者)問題についても十分配慮してほしい。実験科学系の研究を遂行する上で、テクニシャン、研究補助者といった研究サポートスタッフはいまや必要不可欠の存在となっており、その主たる供給源は大学院修士課程卒業者である。しかし、その待遇は、非常勤の時間雇用が主体であり、収入も年間200万円以下である場合がほとんどである。

 修士課程という高学歴の行末が、いわゆる「下流」のフリーターであるという現状は、我が国の科学振興には著しいマイナスとなっている。ポスマス問題はポスドク問題の陰に隠れて、あまり触れられることはないが、次期基本計画では、この点にも踏み込んだ計画を打ち出していただきたい。

4) 教育、科学技術コミュニケーション活動にインセンティブ

17ページ 大学における人材育成、20ページ 知的好奇心に溢れた子どもの育

成、第4章 社会・国民に支持される科学技術

 第3期基本計画では、研究者や大学教員に、研究以外に教育や科学技術コミュニケーション活動など、様々な役割を期待している。それ自体は評価したいが、現在こうした活動に対して補助や評価などがなされていないため、研究者がこうした活動を積極的に取り組むというインセンティブが働かないのではないかと懸念される。

 米国では、優れた人材を輩出した研究者に、大統領から「グッドメンター賞」が授与されるが、これに類似した賞を出すなどして、科学コミュニティーに教育や科学技術コミュニケーションへのインセンティブを持たせるべきである。

5) 科学技術政策制定に、NPO、市民の意見を取り入れる仕組みを

40ページ 科学技術に関する説明責任と情報発信の強化、第5章 総合科学技術会議の役割

 今回の答申では、国民の科学技術への主体的参加や、科学技術と社会・国民との間の双方向コミュニケーションや国民意識の醸成への取り組みを明記してあるが、科学技術政策決定においても、タウンミーティングのような一対多の形態ではない、市民や非営利組織、NPO等の意見を取り入れる仕組みを作るべきである。具体的には環境政策等ですでに実行されているように、市民と政策担当者の対話や政策コンペティションなど、継続した取り組みが期待を期待する。

6) 市民が自ら科学研究を行える仕組みを

19ページ 科学技術コミュニケーターの養成、第4章 社会・国民に支持される科学技術

 現在想定されている科学技術コミュニケーションは、研究に取り組む者とそうでない者を明確に分けており、双方向といいつつも役割分担は明確である。しかし、分野によっては、大掛かりな設備等を使わなくても、市民が関与しうるテーマも数多く存在する。もし市民が自らや地域の関心に基づいて研究を主体的に行えるような仕組みがあれば、科学技術の考え方をより深く理解でき、科学技術に対する市民の関心をより高めることにつながるのではないか。

 そこで、理科クラブやNPOといった主体的に研究活動を行うグループあるいは個人に場所や情報を提供する施設として科学館や大学を活用したり、個人や市民向けの小額の研究費を申請しやすくするなど、市民が科学研究を行うための環境整備をしてほしい。

6)人事の透明性と人材の流動性を高める制度的な取り組みを

14ページ 人材の育成、確保、活躍の促進

 第3章では人材の育成、確保、活躍の促進として、性別、年齢、国籍等を問わない競争的な選考を行うこと、若手一回異動の原則、自校出身者の抑制等が挙げられている。これらの取り組みを支持するが、これらの取り組みが言葉だけに終わらいような取り組みをしてほしい。

 たとえば、年齢に関して、いまだ年齢制限を明記した募集要項を散見するが、年齢ではなくたとえば研究歴を基準にすることを促進してほしい。また、退職金や保険等職を変えると不利益になる制度の改善への取り組みを推進してほしい。

2005-12-07

数値目標、大詰め

 さて、今日もいろいろな動きがあったようだ。

ノーベル賞受賞3氏、財務相に科学技術予算増の要望書

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051207AT1F0700T07122005.html

●野依氏らノーベル賞受賞者6人 科技予算で国に要望

http://www.asahi.com/politics/update/1207/011.html

●「科学技術に財政支援を」野依氏らノーベル賞受賞者

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20051207i214.htm?from=main2

●科学技術費:ノーベル賞受賞者3人 財務相に財政支援要請

http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/news/20051208k0000m020032000c.html

●第3期科学技術基本計画答申

宇宙予算復活なるか

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sci/20051206/ftu_____sci_____001.shtml

●科学技術関係予算:財政再建へ「聖域」認めぬ/他国の伸びに後れ、取る

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051207ddm016040178000c.html


 大物科学者の陳情は、昔から繰り返されてきた方法だ。それなりに効果があるのかも知れないが、現場の研究者や市民には仕えない手法だ。

 私たちがNPO法人を作ったのは、現場の声を政策現場に伝えたい、と思ったからで、いずれは私たちも、何らかの方法でアドボカシーを行えたらと思っている。

 さて、それはともかく、数値目標のせめぎあいが激しい。

 正直言って、私は迷っている。もしここで数値目標がなくなれば、それを契機に科学予算の減額に走られるだろうという科学界の恐れも分かる気がする。一方で、特定の研究者に莫大な資金を投入して、その分必要なところにお金が回らないという現実を見聞きするので、予算が無駄に使われているという声も理解可能だ。

 その中間というのはできないのだろうか。

 ある程度の予算を約束してもらう代わりに、効率のよい予算運営をすることを約束するとか。素人くさい感想で申し訳ないが…

 研究費のデータベースが整備されつつあり、特定研究者への集中が是正されるだろうが、研究費は小額でその代わり多くの研究者に配分すべきだと思う。

2005-12-06

文部科学省VS財務省 数値目標のゆくえ

 第3期基本計画に数値目標をいれるか否かで、裏でいろいろな動きがあったようだ。 以下昨日発行のメールマガジンから。

●第3期基本計画 投資目標設定へ 小泉総理が前向き発言 総合科学技術会議

2005/12/02 科学新聞

小泉総理のしめくくり発言で、数値目標の決定プロセスが明確になったことから、21日の専門調査会開催前にも両大臣での折衝が行われ、結論が出てくる可能性が出てきた。

●科学技術予算増額に「黄信号」 数値目標財務相が反対

http://www.asahi.com/science/news/TKY200511280354.html

▼上記の記事と正反対の内容。

 大蔵省財務省は以前より基本計画の数値目標には反対していたようだ。先に加藤紘一氏の著書

●新しき日本のかたち

加藤 紘一 (著) 価格: ¥1,680 (税込) 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN:

4478180431 ; (2005/11/18)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478180431/nposciencecom-22/

を紹介したが、その中で、

 大蔵省は、「数字を入れられたらたまらない」と言ってきた。幹事長だった私のところに「どうしても尾身さんを押しとどめてくれ」「党でつぶしてくれ」という依頼があったのだ。

 だが、私は何としても尾身氏の考えを実現したかった。「いや、それは正しいこと。応援するつもりだ」というと、大蔵幹部は肩を落として帰っていった。

という記述がある(P188)。10年前の再来ということか。最近でも中川主計官が科学新聞に登場して、科学政策に厳しい注文をつけていたが、それもその流れとも考えられる。

今後の科学技術予算

財務省主計局主計官(文部科学省担当)中川真氏に聞く

http://www.sci-news.co.jp/news/200509/170902.htm#5

 5号館のつぶやき経由で知ったが、財務省の科学技術予算に関する見解は、

平成18年度予算の編成等に関する建議

平成17年11月21日

財政制度等審議会

http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/zaiseia171121/zaiseia171121.htm

に書かれている。

(2)科学技術予算

 「6月建議」でも述べたとおり、近年の厳しい財政事情の中でも科学技術予算が拡充されてきた結果、我が国の政府研究開発投資は、既に対GDP比で欧米主要国に遜色のない水準に達してきており、政府と民間を合わせた研究費総額の対GDP比は、主要国中で群を抜いた水準にある。今後は、官民連携の推進などにより、政府研究開発投資の質的向上を図ることが必要である。

 こうした状況を踏まえれば、第3期科学技術基本計画の検討を進めている総合科学技術会議においては、従来のような官に量的な規模の拡大を求めるという発想を排し、国民に対する説明責任の強化と科学技術投資の重点化に積極的に取り組むことが不可欠である。すなわち、これまでの政府研究開発投資の結果を十分に検証した上で、国民に対してもたらされる成果に着目した目標設定と評価の仕組みを確立するとともに、官民の連携強化の観点と重点化対象領域の一層の絞込みにより、投資効果を最大限に発揮させることが必要である。また、こうした問題意識の下では、官だけに着目したこれまでのような研究開発投資の投入目標を設定すべきでないことは、いうまでもない。

 平成18年度予算においても、このような考え方に立って、科学技術予算といえども聖域扱いすることなく、経費の大胆な選択と集中を推進し、一層の質的向上を図る必要がある。

 なお、研究資金の配分に当たっては、特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な「目利き」が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用することが求められている。

●第50回総合科学技術会議議事要旨

http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/giji/giji-si50.htm

 によると、各出席議員数値目標を訴える中、谷垣財務大臣

 科学技術予算が将来の投資であるということは、私も全くそう思っている。ただ、それを総額目標という形で拡充していこうということになると、ほかの分野は投資目標から成果目標というのに大きく移ってきている中で、いわゆる聖域なき改革、あるいは徹底的な歳出改革を図っていくという政府全体の姿勢と矛盾が出てくるんじゃないかという感じがして、私は慎重な検討が必要であると思っている。

と述べている。

 で、小泉総理がどう語ったかというのが、以下に出ている。

議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

科学技術の重要性は皆さん御指摘のとおりであります。予算は削減の一方ですが科学技術は数少ない重点的に増やしていかなければならない予算です。今までSABCで努力していただきましたが、みんな増やすばかりの要求ですけれども、減らすべきは減らす、増やすべきは増やす、更に今の皆さん方の御意見を集約して、財務大臣とよく折衝していただいて、大事なところを伸ばしてください。明日への投資ですから。

 科学新聞のいうように、小泉総理数値目標に積極的なのか、それとも朝日新聞が言うように、数値目標が危うくなったのか、なかなかに分かりにくいが、どうやら科学新聞のほうが正しいらしい。

 例の「加藤の乱」のときに、涙ぐむ加藤氏をなだめていたのが谷垣氏である。その谷垣氏が加藤氏が導入した基本計画の数値案に反対している。裏に何かがあるのだろうか。

 今回の総選挙後に加藤氏は派閥を離脱して、旧加藤派(小里派)が谷垣派に(事実上)なったわけだが、そのあたりは加藤氏の戦略も見え隠れするという。

http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/200509250000/

 科学技術予算は政治的な思惑もはらんでいるのかも知れない。

 いずれにせよ、貴重な国民の税金を使う科学技術政策である。今後の動向に注目していきたい。

2005-12-05

基本計画を読もう!

 サイコムジャパンの仲間の立花さんが、科学技術基本計画の認知度が低いという記事を投稿している。

http://blog.so-net.ne.jp/kagaku/2005-12-04

 その通りだと思う。あれほどポスドク問題や博士の問題で荒れたブログ界でも、この計画のことはほとんど誰も触れていない。

 多少意見があっても、表面だけ読んで形だけの批判をするだけ。

 それじゃだめなんだと思う。

 パブリックコメントがどの程度効果があるか分からないが、黙っていても誰も何もしてくれない。誰かが何かをしてくれる、なんて他力本願じゃだめだと思う。

 意見があるならどんどん言おう。長すぎるというのは分かるから、私たちが解説する。

 「当たり前のことしか言っていない」「どうせ何も変わらない」なんてことはないと思っている。

 

 ただ、総合科学技術会議も、43ページもの答申をPDFファイルでぼんとのせるだけなので、不親切だと思う。

 科学政策と市民をつなぐ領域も、科学技術コミュニケーターが活躍すべき領域だと思っている。

第三期科学技術基本計画を読む〜全体を概観する

 本日発行のメールマガジンに、科学技術基本計画案を解説した文章を書いた。

 今までこのブログに書いてきたことをちょっと縮めてダイジェストにしている。こちらにも掲載する。

【第3期科学技術基本計画案を読む】

■第3期科学技術基本計画の案である「科学技術に関する基本政策について」に対す

答申(案)が、現在一般の意見を募集している。

http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon/kihonseisaku.html

■第3期基本計画は、来年からの5年間の科学技術政策の方向を示すもので、研究者のみならず、市民生活にも関わってくる重要な文書である。御一読を是非お勧めする。

■とはいうものの、43ページもある文章のため、いきなり読んで意見しろ、といわれても難しいものがある。ここでは、ポイントと思われる部分だけかいつまんでご紹介したい。

■この答申は5章からなる。第1章は基本理念について述べている。

■科学技術基本計画は、国歌戦略として科学技術を振興することにより、産業や基礎科学を強化し、国際競争力を得るのが目的である。この方針の下、第1期、第2期の基本計画が立案され、実行されてきた。第3期はどのような方向でいくのか。

■「第1期、第2期基本計画期間中を通じた投資の累積を活かし、様々な面で強まる社会的・経済的要請に応えていくためには、第3期基本計画は、社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術を目指し、説明責任と戦略性を一層強化していくことが求められる。その戦略の基本は、質の高い研究を層厚く生み出す人材育成と競争的環境の醸成、科学の発展と絶えざるイノベーションの創出に向けた戦略的投資及びそれらの成果還元に向けた制度・運用上の隘路の解消であり、このような多様な政策課題への挑戦が今後5年間の科学技術の使命である。基本計画はこうした基本認識に基づき、総合科学技術会議の主導の下、政府全体で着実に実行すべき主要施策を提示するものである。」(P1)

■第3期は、第2期に立てられた3つの理念に目標が付記されている。

理念1 人類の英知を生む

〜知の創造と活用により世界に貢献できる国の実現に向けて〜

◆目標1 飛躍知の発見・発明− 未来を切り拓く多様な知識の蓄積・創造

(1) 新しい原理・現象の発見・解明

(2) 非連続な技術革新の源泉となる知識の創造

◆目標2 科学技術の限界突破− 人類の夢への挑戦と実現

(3) 世界最高水準のプロジェクトによる科学技術の牽引

理念2 国力の源泉を創る

国際競争力があり持続的発展ができる国の実現に向けて〜

◆目標3 環境と経済の両立− 環境と経済を両立し持続可能な発展を実現

(4) 地球温暖化エネルギー問題の克服

(5) 環境と調和する循環型社会の実現

◆目標4 イノベーター日本− 革新を続ける強靱な経済・産業を実現

(6) 世界を魅了するユビキタスネット社会の実現

(7) ものづくりナンバーワン国家の実現

(8) 科学技術により世界を勝ち抜く産業競争力の強化

理念3 健康と安全を守る

〜安心・安全で質の高い生活のできる国の実現に向けて〜

◆目標5 生涯はつらつ生活− 子どもから高齢者まで健康な日本を実現

(9) 国民を悩ます病の克服

(10) 誰もが元気に暮らせる社会の実現

◆目標6 安全が誇りとなる国− 世界一安全な国・日本を実現

(11) 国土と社会の安全確保

(12) 暮らしの安全確保

■この目標を達成することにより、以下のことを目指しているという。

(世界への貢献) ★ 人類共通の課題を解決

国際社会の平和と繁栄を実現

(社会への貢献) ★ 日本経済の発展を牽引

★ 国際的なルール形成を先導

(国民への貢献) ★ 国民生活に安心と活力を提供

★ 質の高い雇用と生活を確保

■さて、理念や目標はこれくらいにして、具体的なところをみていこう。第2章は科学技術の戦略的重点化である。

■今回の基本計画では、2期よりの「重点推進4分野」(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)に加え、「推進4分野」(エネルギーものづくり技術、社会基盤、フロンティア)に重点配分すると明記してる。(P11)

■第3章科学技術システムの改革では、人材の育成、確保、活躍の促進として、(1)個々の人材が活きる環境の形成と(2)大学における人材育成機能の強化、(3)社会のニーズに応える人材の育成、(4)次代の科学技術を担う人材の裾野の拡大を挙げている。

■(1)では公正で透明性の高い人事システムの徹底、若手研究者の自立支援、人材の流動性の向上、自校出身者比率の抑制、多様で優れた研究者の活躍の促進を挙げてる。このなかで、「ポストドクターに対するアカデミックな研究職以外の進路も含めたキャリアサポートを推進するため、大学や公的研究機関の取組を促進するとともに、民間企業等とポストドクターの接する機会の充実を図る」と述べている点が目をひく。

■(2)では、大学院教育の抜本的強化や博士課程在学者への経済的支援の拡充などを挙げている。「博士課程(後期)在学者の2割程度が生活費相当額程度を受給できることを目指す」と数値目標が明確に示された点が注目に値する。

■(3)では、まず産業界との人材交流を挙げる。博士号取得者の産業界等での活躍促進として「、学生はもとより、大学、産業界等が、博士号取得者はアカデミックな研究職のみならず社会の多様な場で活躍することが望ましいとの共通認識を持つことを期待する」と述べている。

■また、知の活用や社会還元を担う多様な人材の養成として、知的財産・技術経営、科学技術コミュニケーターの養成を挙げる。後者は私たちにも関心が深いので、引用させていただく。

■「科学技術を一般国民に分かりやすく伝え、あるいは社会の問題意識を研究者技術者の側にフィードバックするなど、研究者技術者と社会との間のコミュニケーションを促進する役割を担う人材の養成や活躍を、地域レベルを含め推進する。具体的には、科学技術コミュニケーターを養成し、研究者アウトリーチ活動の推進、科学館における展示企画者や解説者等の活躍の促進、国や公的研究機関の研究費や研究開発プロジクトにおける科学技術コミュニケーション活動のための支出の確保等により、職業としても活躍できる場を創出・拡大する。」(p19)

■(4)では、知的好奇心に溢れた子どもの育成、才能ある子どもの個性・能力の伸長について触れている。

■科学技術システムの改革としては、もうひとつ科学の発展と絶えざるイノベーションの創出を取り上げている。ここでは、競争的資金の改革について触れている。

■注目すべきは以下の記述である。

「各制度を支えるプログラムオフィサー(PO)、プログラムディレクター(PD)について、制度の規模に見合う人数で、これらの職に適切な資質を備えた者を確保できるよう、処遇に配慮する。また、大型の制度を中心として、できるだけ早期にPO・PDを専任へ転換していく。さらに、PO・PDが研究者キャリアパスの一つとして位置付けられるよう、研究者コミュニティ全体が、PO・PDの職務経験を適切に評価することを期待する。」(p23)

■その他、大学改革や研究費制度、産学連携についても述べている。

■大学や公的研究機関による研究者のエフォート管理では、「各研究費制度において、研究費が人材の育成・活用に充てられるよう努めることとし、必要な制度改善を行う。これにより、博士課程在学者への生活費相当額程度の支給により若手を育成することや、ポストドクター・研究支援者・外部研究人材等への人件費の措置によって若手研究者が自立して研究組織を編成すること等を促進する。」(p31)と述べられている点が注目に値する。

■科学技術システム改革についてはもう一つ、科学技術振興のための基盤の強化について述べられている。設備の強化から、学協会の改革まで幅広い。

■第4章では「社会・国民に支持される科学技術」として、倫理問題や科学者説明責任、科学政策への国民参加について触れている。すこし詳しくみてみよう。

■1.科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組では、生命倫理ナノテクノロジーを取り上げ、対応を強化していくと述べている。こうした領域での研究ルールつくりのために、総合科学技術会議と日本学術会議の役割が重要であるとしている。

■2.科学技術に関する説明責任と情報発信の強化では、国民から科学技術に支持をえるために、成果の還元と分かりやすい説明が必要であるとして、「研究機関・研究者等は研究活動を社会・国民に出来る限り開示し、研究内容や成果を社会に対して分かりやすく説明することをその基本的責務と位置付ける」としている。(p41)

■またアウトリーチについては、「研究者等と国民が互いに対話しながら、国民のニーズを研究者等が共有するための双方向コミュニケーション活動であるアウトリーチ活動を推進する。このため、競争的資金制において、アウトリーチ活動への一定規模での支出を可能にする仕組みの導入を進める」と明記している。

■3.科学技術に関する国民意識の醸成では、科学技術リテラシーを高めることが重要であり、「科学技術リテラシー像(科学技術に関する知識・技術・物の見方を分かりやすく文書化したもの)を策定し、広く普及する」、「幼少期から高齢者まで広く国民を対象として、科学技術に触れ、体験・学習できる機会の拡充を図る」と述べている。このために日本科学未来館NPOの活用、研究施設の公開や出前授業を推進するとしている。

■4.国民の科学技術への主体的な参加の促進では、「各府省が、社会的な影響や国民の関心の大きな研究開発プロジェクトを実施する際、その基本計画、研究内容及び進捗状況を積極的に公開し、それに対する意見等を研究開発プロジェクトに反映させるための取組を進める」としており、我々のようなNPOにとってはどのような取組がなされるのか注視したいと思う。

■第5章は総合科学技術会議の役割について述べている。「社会・国民から顔の見える存在となるべく、科学技術と社会・国民との間の双方向のコミュニケーションや国民意識の醸成に努め、「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」を目指す」としており、注目したい。(p43)

■少し長くなり申し訳ないが、以上今回の答申を概観してみた。舌足らずで分かりにくい面もあると思うので、時間があれば是非提言を読んでほしい。

■今回の基本計画では、私たちが主張してきた若手研究者の自立、大学院生経済支援、科学技術における双方向コミュニケーションの推進を含め、様々な現場の希望が取り入れられている。そういう意味で、私たちはこの計画を基本的に評価したい。

■もちろん重要なのはこれらの計画がどの程度実行に移されるのかということである。たとえば最近「日経ビジネス」で指摘されたように、産学連携など科学技術予算がある種の公共事業と化しているいう懸念もある。

■また、科学技術における双方向コミュニケーションがどの程度なされるのか、一方向の「欠如モデル」的なアウトリーチにならないのか、不安に感じる面もある。

■この計画を評価しつつも、問題点を指摘し、今後とも厳しい目で見つめていく必要があると感じている。

■近年ブログや掲示板などで、現場の研究者が様々な声を挙げている。今回の計画では、それらの声に応えているような政策も多い。しかし、現場の研究者の意識は低く、科学技術基本計画の存在すら知らない人さえいるという。

研究者側も、政府から投げかけられたボールに何らかの意思を表示するのではないか。是非みなさんも、意見募集に応じてほしい。締め切りは12月11日である。

2005-12-03

第三期科学技術基本計画を読む〜その三、システム改革

 さて、ぼやぼやしていると時間がなくなるので、がーっといこう。

 14ページからの第3章 科学技術システム改革は、おそらく現場の研究者に最も関わってくることだ。非常に重要な案が書かれている。

 個々の人材が活きる環境の形成

1)公正で透明性の高い人事システムの徹底

 能力主義に基づく公正で透明性の高い人事システムの徹底をうたっている。具体的にどうするか。

研究者の採用において、公募等の開かれた形で幅広く候補者を求め、性別、年齢、国籍等を問わない競争的な選考を行う。また、研究者の処遇において、能力や業績の公正な評価の上で、優れた努力に積極的に報いる。

 これは皆が望んできたことだ。年齢、性別に関しては、ぜひ早急に実現させるべきだ。

国は、組織に対する競争的な支援制度において、制度の趣旨に応じ人事システム改革の状況を審査の一指標とすること等により、大学や公的研究機関の取組を促進する

ということなので、ある程度の強制力を使うということだろう。

2)若手研究者の自立支援

 「若手研究者に自立性と活躍の機会30を与える仕組みを導入することを奨励する」とのこと。そのために以下のことをするという。

国は、このための環境整備(スタートアップ資金の提供、研究支援体制の充実、研究スペースの確保等)に組織的に取り組む大学等を支援するとともに、大学等の取組状況を組織に対する競争的な支援制度の審査の一指標とする。また、若手研究者が研究スペースを確保できるような大学の施設マネジメントを促進する。

 若手研究者に独立したスペースを与えるという案は、実力ある若手研究者から聞かれる。これが実現されれば、若手が精神的にも自由に研究ができるかも知れない。

 また、若手に対して「スタートアップ時期に配慮したプログラムの設置や、若手研究者自らが研究組織を率いて研究を遂行できる金額が支給されるプログラムの拡充に配慮する」とのこと。はじめて独立する若手にはうれしい話だと思う。

 そして、ここからがサイコムジャパン的にも関心があるところだ。

なお、ポストドクター等1万人支援計画が達成され、ポストドクターは今や我が国の研究活動の活発な展開に大きく寄与しているが、ポストドクター後のキャリアパス不透明であるとの指摘がある。このため、研究者を志すポストドクターは自立して研究が行える若手研究者の前段階と位置付け、若手研究者の採用過程の透明化や自立支援を推進する中でポストドクター支援を行う。また、ポストドクターに対するアカデミックな研究職以外の進路も含めたキャリアサポートを推進するため、大学や公的研究機関の取組を促進するとともに、民間企業等とポストドクターの接する機会の充実を図る。

 これが、概算要求7億円で話題になった競争的資金の話にもつながる。

 そのほか3)人材の流動性の向上では「「若手一回異動の原則」の奨励」を、4)自校出身者比率の抑制では「国は、各大学の教員の職階別の自校出身者比率を公表する」とのこと。

 5)では多様で優れた研究者の活躍の促進として、女性、外国人、高齢者の活用をうたっている。一部には女性を他の二つといっしょに論じるのはおかしいとの声もあるが、

現在の博士課程(後期)における女性の割合に鑑みると、期待される女性研究者の採用目標は、自然科学系全体としては25%(理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%)である

 と明確な数値目標を入れている点などは注目に値する。これに対してはアファーマティブアクションではないかとの指摘もある。

 とりあえずこの辺で。